不動産・建設の「採用」だけを、現場の目線で。 元・不動産特化の人材紹介エージェントが執筆
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不動産営業の中途採用、面接の質問を「志望動機」から始めた時点で負けです

2026.07.10読了 約14分
この記事が含まれる完全ガイド 売買仲介 営業の採用 完全ガイド →

こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。

不動産売買仲介の中途採用で、面接の冒頭をこう切り出していませんか。

「では、今日は当社を志望した理由から聞かせてください」

丁寧で、真っ当な入り方に見えますよね。

でも、私に言わせると、その時点で「負け」が確定しています。

今日は、不動産営業の中途採用で、面接の質問を何から、どの順番で聞くかのお話をしたいです。そのまま使える質問リストと、厚生労働省が示している「面接で聞いてはいけない質問」を、不動産会社の面接に置き換えて載せました。

エージェントとして、不動産の面接の現場を見てきました。そこで痛感したのは、大手と同じ土俵では勝てない会社でも、応募から入社までの「扱われ方」、つまり候補者体験なら勝てるということでした。面接は、その真ん中です。

中途採用の面接の質問は「口説く→確かめる」の順で組みます

先に答えを言うと、不動産営業の中途採用の面接は、冒頭でこちらから会社の想いと期待を伝え、次に経験を確かめ、志望動機にあたる「決断の軸」は後半で聞きます。聞いてはいけない質問は、面接官全員で事前に外しておきます。

質問は、次の3種類に分けて用意しておくと迷いません。

種類目的面接のどこで聞くか
口説く質問候補者に関心を示し、入社後の姿を一緒に描く冒頭から最後まで
確かめる質問経験と、うちで活きるかを確かめる中盤
聞いてはいけない質問適性・能力と関係のない事項。最初から聞かないどこでも聞かない

※3つの区分はこの記事での整理です。「聞いてはいけない質問」の範囲は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」によります。

面接は見極める場? それとも口説く場?

面接は、候補者を見極める場です。ただ、見極めと同じ重さで、候補者を「口説く」場でもあります。候補者もまた、この面接でうちを選ぶかどうかを決めているからです。

特に、知名度で大手に敵わない中小・ベンチャーの不動産会社にとっては、口説くほうが死活問題になります。この前提に立つと、面接の最初の一言が変わります。

志望動機から聞くと負けになる理由

初対面のお見合いで「結婚するメリットは?」と聞きますか

初対面の候補者に、いきなり「なぜうちを志望したの?」と聞く。これはどういうことか。

婚活のお見合いで、初対面の相手に開口一番「で、私と結婚するメリットって何だと思います?」と聞くのと同じなんですよね、、。

言われた相手はどう思うか。「いや、まだあなたのこと何も知らないんですけど」。「なんでこっちが理由を用意して口説かなきゃいけないの?」。魅力を感じるどころか、一歩引いてしまいます。

面接も、まったく同じです。会社の魅力をまだ何も伝えていない段階で志望理由を求めるのは、「うちに入りたいなら、熱意をあなたが証明してみせて」と、選ぶ側の立場だけが前に出てしまいます。

候補者はその瞬間に、「この会社は自分を口説く気がないのかな」と受け取るかもしれません。逆に言えば、口説く順番に変えるだけで、選ばれる側に回れます。

志望動機はいつ、どう聞けばいいですか

聞いてはいけないわけではありません。問題は「最初に」「こちらが何も渡す前に」聞くことです。

会社の想いを伝え、候補者の話をひとしきり聞いて、お互いの温度が上がった後半で聞きます。聞き方も「志望動機は?」ではなく、本人の決断の軸(何を一番大事にして決めたいか)を聞く形にします。

「相手を惚れさせるために見極める」とはどういうことか

じゃあ見極めをやめろという話か。違います。

正しいスタンスは、「相手を惚れさせるために、見極める」です。

まず「この人にうちを好きになってほしい」という前提に立つ。そのうえで、「この人が本当にうちで活きるか、この人にとってうちが幸せな場所か」を確かめる。見極めは、相手を落とすためではなく、お互いが幸せになれるかを見るためにやります。

婚活で本気で相手を惚れさせにいく人は、相手が何を大事にしているか、何に喜ぶかを必死で知ろうとしますよね。惚れさせる気があるからこそ、真剣に相手を見極められる。

逆に、「うちを気に入るならどうぞ」という上から目線の見極めは、相手を惚れさせられないし、結局いい人も見極められない。両方を失います。

不動産営業の面接の流れと質問の順番(60分の目安)

口説く質問と確かめる質問を、60分の面接に並べるとこうなります。

時間やること質問・一言の例
0〜5分時間どおりに迎え、来てくれたお礼を言う「今日はお時間をいただき、ありがとうございます」
5〜15分こちらから会社の想いと期待を伝える「今、うちは売買の営業をあと2名増やすことを一番大事にしています」
15〜40分経歴を聞き、経験を確かめる「前職で任されていたのは、査定から決済までのどこからどこまでですか」
40〜50分入社後の姿を一緒に描く「うちの仕事の流れを聞いて、どこから任されたいと思いましたか」
50〜60分逆質問、決断の軸、結果を連絡する日「今回の転職で、何を一番大事にして決めたいですか」「結果は◯日までに、私からお電話します」

※時間配分はこの記事での目安です。結果を連絡する日は、選考スピードの記事の基準(面接結果は翌日〜3営業日)に合わせています。

冒頭の10分で、こちらから何を伝えますか

「口説く」は、会社の待遇やスペックを立派に並べることではありません。

「うちは年間休日120日で、平均年収がこれくらいで、福利厚生がこうで……」。このスペックは、他社も同じように並べます。条件で並べたら、資本のある大手のほうが強い。同じ土俵では勝てません。

エージェント時代の経験則では、中小・ベンチャーが候補者の心を動かすのは、剥き出しの熱量で「あなたが必要」と伝えることです。

冒頭で伝えるのは、なぜ今探しているかです。「今、うちは売買の営業をあと2名増やすことに一番コミットしていて、それは◯◯(自社の本当の理由)だからです」。こういう飾らない本音のほうが、条件表より伝わります。

透明性も、そのまま強みです。「正直に言うと、うちは成長が速い分、仕組みがまだ整っていない部分もあります。そこも含めて一緒に作ってくれる人を探しています」。

会社の想いを話すのは、最初の10分だけです。残りの時間は聞く側に回ります。

面接で話す数字や仕事の中身は、求人票にも書けているでしょうか。仕事内容の具体さや数字の裏付けは、求人票セルフ添削チェッカーの12項目で確かめられます。

中盤で経験を確かめるとき、何に気をつけますか

確かめる質問は、数を絞って用意します。答えを聞いたあとの掘り方と、定着まで見る5つの質問は、すぐ辞める人を見抜く質問の記事に書きました。

売買仲介の経験者なら、経歴書の数字を具体で聞くところから入ります。確かめる質問ごとに、何を見るかを先に決めておきます。

確かめる質問何を見るか◯△×
「担当していたエリアと価格帯を教えてください」経験の中身が、うちの取引と近いか
「査定から決済まで、一人で回していたのはどこまでですか」入社後すぐに任せられる範囲
「経歴書の成約件数は、反響と紹介でどんな内訳でしたか」経歴書の数字の裏付け
「経歴書の◯◯の成約、どんな流れで決まりましたか」本人の動き方
「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引を教えてください」お客様との向き合い方(人柄)
「一人で任されるのと、チームで動くのと、どちらが力を出せますか」合う働き方(価値観)
「前職を辞めようと思った一番の理由は」→「うちに来たら解決しそうですか」同じ理由がうちで繰り返されないか
「今回の転職で、何を一番大事にして決めたいですか」決断の軸

※「何を見るか」はこの記事での例です。右端の◯△×は、面接メモとして使う欄です(使い方は、このあとの「面接官ごとの評価は、どう揃えますか」)。

「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引」は、人柄を見る質問です。お客様とどう向き合ってきたかが、エピソードの選び方に出ます。

「一人で任されるのと、チームで動くのと、どちらが力を出せますか」は、価値観を見る質問です。個人の裁量で動く働き方が合う人もいれば、チームで動くほうが力を出せる人もいます。うちの働き方と照らして聞きます。

はい・いいえで終わらない聞き方とは?

同じことを確かめる質問でも、はい・いいえで終わる形にすると、本人の言葉が出てきません。

はい・いいえで終わる聞き方本人の言葉が出る聞き方
「反響営業の経験はありますか」「経歴書の◯◯の成約、どんな流れで決まりましたか」
「お客様との関係づくりは得意ですか」「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引を教えてください」
「前職に不満があったんですか」「前職を辞めようと思った、一番の理由は何ですか」

※この記事での例です。

面接官ごとの評価は、どう揃えますか

「何を見るか」の表の質問を、毎回全部聞く必要はありません。ポジションに合わせて、見る点を4つまでに絞ります。応募0から半年で営業3名が決まった会社がやっていたのも、見極めを4点に絞って言葉にすることでした。決まる会社の共通点の一つも、基準がブレないことです。

面接官が何人いても同じ基準で見られるように、「何を見るか」の表をそのまま面接メモにします。絞った4つの行にだけ、右端の◯△×を付けます。4つの選び方と◯△×の付け方は、自社の求める人物像に合わせて面接の前に決めておいてください。

転職理由・退職理由は、どう聞いて一段掘りますか

転職理由も、中盤の経歴の流れの中で聞きます。大事なのは、答えを聞いて終わりにせず、一段掘ることです。

  • 「前職を辞めようと思った、一番の理由は何ですか」
  • (答えを受けて)「それは、うちに来たら解決しそうですか。解決しないとしたら、どこが引っかかりますか」

二つ目の質問で、辞める理由がうちで繰り返されないかを、候補者と一緒に確かめられます。うちの実際を正直に伝えるのは、ここです。

最後の10分で何を聞き、何を約束しますか

最後の10分は、逆質問の時間をたっぷり取り、出てきた質問に真剣に答えます。

そのうえで、前半の「志望動機はいつ、どう聞けばいいですか」で書いた決断の軸の質問は、このタイミングです。

話を聞き終えたここで、口説く一言を伝えます。「今日あなたの話を聞いて、正直うちで一緒にやってほしいと本気で思っています」。

そして、結果をいつ、誰から、どう連絡するかを約束して終えます。「今日会えてよかったです」の一言も、必ず伝えてください。

逆質問には、どう答えればいいですか

逆質問は、候補者が会社を確かめる時間です。スペックを読み上げるのではなく、本音で答えます。

正直に答える型は、次の3つです。

  • 数字:聞かれた数字は、自社の実際の数字で答える(いい数字だけを選ばない)
  • 課題:「正直に言うと、うちは成長が速い分、仕組みがまだ整っていない部分もあります」と、課題も隠さない
  • 入社後の流れ:入社してから最初に何を任せるかを、自社の実際の段取りで話す

答えに詰まったときは、ごまかさないことです。「今ここでは正確に答えられないので、◯日までに確認してお伝えします」と返し、約束した日に必ず連絡します。

志望度・入社意欲はどう確かめますか

「志望度はどれくらいですか」と正面から聞く必要はありません。この記事で並べた質問への反応で見ます。

  • 決断の軸の質問に、自分の言葉で答えられるか
  • 入社後の姿を描く質問:「◯◯さんなら、まずどこから任されたいですか」に、具体的な仕事の名前で返ってくるか
  • 逆質問:うちの仕事の中身や入社後の流れについて、確かめたいことが出てくるか

口説く質問を先に渡しておくと、この3つへの反応が、そのまま入社意欲の手がかりです。

口説く質問の例文(売買仲介の面接でそのまま使える)

アイスブレイクではどんな質問をすればいいですか

緊張をほぐす質問は、仕事の話につながるものを選びます。

  • 「ここまでの道、迷いませんでしたか。駅から少し歩くので」
  • 「最近いちばん手応えのあった案内は、どんな物件でしたか」
  • 「平日に時間を作っていただいて、ありがとうございます。今の時期、週末は案内で埋まっていますか」

ひとつ注意があります。アイスブレイクで「ご出身はどちらですか」と聞くのはやめてください。出生地は、厚生労働省が「本人に責任のない事項」として挙げている項目です。

経歴を聞くとき、関心を伝える聞き方は?

同じ経歴の質問でも、「あなたのことを知りたい」という聞き方にすると、確かめる質問がそのまま口説く質問になります。

  • 「経歴書にある◯◯の成約、どんな流れで決まった案件か聞かせてもらえますか」
  • 「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引を、1つ教えてください」
  • 「前職で、自分なりに工夫して手応えがあった営業のやり方はありますか」

入社後の姿を一緒に描く質問例

ここで初めて、候補者がうちで働く姿を一緒に描きます。会社の体制は、自社の実際の数字に置き換えて使ってください。

  • 「うちは査定から決済まで、一人の営業が担当します。今の話を聞いていて、◯◯さんならまずどこから任されたいですか」
  • 「入社して3ヶ月後、どうなっていたら『来てよかった』と思えそうですか」
  • 「ここまで話して、うちで働くイメージ、湧きました? 引っかかっているところがあれば、今聞かせてください」

強み・弱み、キャリアプラン、ストレス耐性など定番の質問はどう扱いますか

中途採用の面接の定番の質問も、この記事の3つの区分に当てはめると扱いが決まります。

定番の質問この記事での扱い置き換えるなら
「自己紹介をお願いします」冒頭では使わない冒頭はこちらから話し、そのあとで「◯◯さんの話を聞かせてください」
「あなたの強みと弱みは?」確かめる(聞き方を変える)「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引を教えてください」
「5年後のキャリアプランは?」口説く(入社後の姿を一緒に描く)「入社して3ヶ月後、どうなっていたら『来てよかった』と思えそうですか」
「ストレス耐性はありますか」使わない(はい・いいえで終わる)「前職を辞めようと思った、一番の理由は何ですか」から一段掘る
「志望動機を教えてください」後半に、決断の軸の形で聞く「志望動機はいつ、どう聞けばいいですか」の節を参照

※この記事での整理です。

Before/After:面接の最初の一言

  • Before(NG):「では、今日は当社を志望した理由から聞かせてください」
  • After(OK):「今日は来てくださって、ありがとうございます。最初に、うちがなぜ今、売買の営業を探しているのかを10分だけ話させてください。そのあとで◯◯さんの話をたっぷり聞かせてください」

面接で聞いてはいけない質問(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)

厚生労働省は、採用選考の基本的な考え方を2つ示しています。「応募者の基本的人権を尊重すること」と、「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」です。

そのうえで、次の表のaやbのような適性と能力に関係がない事項を「応募用紙等に記載させたり、面接で尋ねる、作文の題材とするなどによって把握すること」や、cのような採用選考の方法を実施することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。

面接の質問で外すのはaとbの11事項です。厚生労働省は「aやbのような」と書いており、これ以外でも適性・能力に関係のない事項は聞きません。cの3つは質問ではなく、選考のやり方として実施しないものです。

同じページは、「出自、障害、難病の有無及び性的マイノリティなど特定の人を排除しないことが必要です」ともしています(出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。

採用選考時に配慮すべき14事項とは(聞いてはいけない11事項と、やってはいけない選考方法3つ)

「聞いてはいけない11事項」は、厚生労働省が「面接で尋ねて把握すると就職差別につながるおそれがある」とした事項を、この記事でそう呼んでいます。

区分配慮すべき事項
a 本人に責任のない事項本籍・出生地/家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)/住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)/生活環境・家庭環境など
b 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)宗教/支持政党/人生観、生活信条など/尊敬する人物/思想/労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書など
c 採用選考の方法身元調査などの実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」採用選考時に配慮すべき事項

結婚や出産の予定を聞いてはいけないのはなぜですか

男女雇用機会均等法の指針は、採用選考で男女の扱いを変える例として、次のものを挙げています。「採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること」。

では男女どちらにも聞けばいいかというと、そうではありません。結婚や出産の予定は、上の表の「生活環境・家庭環境など」にかかわる話だと考えられ、どちらにしても営業の適性・能力とは関係がありません。

働き方で気になることがあれば、こちらから勤務条件を正直に伝えて、確認したいことを候補者に聞いてもらえば済みます。

不動産会社の面接で、うっかり口にしやすいNG質問は?

不動産会社は住まいを扱う仕事です。だから雑談のつもりで住まいの話題に入ると、そのまま「住宅状況」に当たる質問になってしまいます。

NG質問当たる事項言い換え
「今のお住まいは持ち家ですか、賃貸ですか」住宅状況聞かない。住まいの話は「お客様の住み替えで、提案していて面白かったケースは?」と仕事の話にする
「ご実家はどちらですか」「ご出身は?」本籍・出生地「勤務地の◯◯店まで、通勤で気になることはありますか」
「ご両親は何のお仕事をされていますか」家族聞かない
「ご家族は転職に賛成していますか」家族「今回の転職で、何を一番大事にして決めたいですか」
「結婚のご予定は?」「お子さんができても続けますか」生活環境・家庭環境などにかかわると考えられる(この記事の解釈)。女性にだけ聞くのは均等法の指針が挙げる例「休日と勤務時間はこうなっています。働き方で確認しておきたいことはありますか」
「尊敬する人は誰ですか」尊敬する人物「前職で取り入れてよかった営業のやり方はありますか」
「普段どんな新聞や本を読みますか」購読新聞・雑誌・愛読書など「相場や金利の動きは、仕事でどうやって追っていましたか」
「支持している政党は?」「宗教は?」支持政党・宗教聞かない
「次回までに戸籍謄本と住民票、ご自宅までの地図を出してください」本籍・出生地(「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させること)/身元調査など(「現住所の略図等を提出させること」)選考の段階では求めない

※言い換えはこの記事での例です。 ※「当たる事項」のうち、結婚・出産の予定の行以外は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」の採用選考時に配慮すべき事項によります。 ※結婚・出産の予定の行の「女性にだけ聞く」は、労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(平成18年厚生労働省告示第614号)によります。「生活環境・家庭環境など」にかかわるという点は、この記事の解釈です。

雑談のつもりで聞いてしまうのを、どう防ぎますか

厚生労働省は、面接について「職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう」としています(出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。

確かめる質問ごとに何を見るかを先に決めておくのも、この考え方に沿っています(中盤の「何を見るか」の表)。

一番手っ取り早いのは、この記事の質問リストを面接官全員で共有し、「この表にない個人的な質問はしない」と決めておくことです。

候補者が自分から家族や住まいの話をしてきたときは、深追いせず、評価にも使わず、話を仕事に戻します。

NG質問をしてしまったら? 法的な位置づけは

まず位置づけを分けておきます。「公正な採用選考の基本」の14事項は、厚生労働省が事業主に求めている採用選考の考え方です。結婚・出産の予定を女性にだけ聞く例を挙げた指針は、男女雇用機会均等法に基づいて定められた告示です。

個人情報の集め方には、法律の定めもあります。職業安定法第5条の5は、求人者や労働者の募集を行う者に、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして「求職者等の個人情報」を収集するよう定めています。ただし書きは「本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」です。

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」のページも、個人情報保護の観点から、職業安定法第5条の5と平成11年告示第141号に触れています。

平成11年労働省告示第141号(職業安定法に基づく指針)が「収集してはならない」としているのは、次の個人情報です。ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合は除かれます。

  • 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
  • 思想及び信条
  • 労働組合への加入状況

違反したときの扱いも、職業安定法に定めがあります。

  • 第48条の2:厚生労働大臣は、求人者や労働者の募集を行う者などに、業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができる
  • 第48条の3第1項:労働者の募集を行う者などが、業務に関しこの法律の規定またはこれに基づく命令の規定に違反した場合、厚生労働大臣は業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる
  • 第65条第8号:第48条の3第1項の命令に違反したときは、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

出典:職業安定法第5条の5・第48条の2・第48条の3・第65条(e-Gov法令検索)/職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)/厚生労働省「公正な採用選考の基本」

厚生労働省は、適性・能力に関係のない事項について「採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります」としています。

ここからは私の考えです。もし面接中に聞いてしまったら、聞いた内容は記録せず、評価にも使わないことです。

面接の質問リスト(口説く質問・確かめる質問・聞いてはいけない質問)

ここまでの質問を、面接の前に見返せる一枚にまとめました。

種類質問ねらい
口説く「最初に、うちがなぜ今、売買の営業を探しているのかを話させてください」こちらから先に想いを渡す
口説く「最近いちばん手応えのあった案内は、どんな物件でしたか」緊張をほぐし、仕事の話に入る
口説く「お客様に『あなたで良かった』と言われた取引を教えてください」関心を伝えながら強みを聞く
口説く「◯◯さんなら、まずどこから任されたいですか」入社後の姿を一緒に描く
確かめる「担当していたエリアと価格帯を教えてください」経験の中身を具体で知る
確かめる「査定から決済まで、一人で回していたのはどこまでですか」任せられる範囲を確かめる
確かめる「経歴書の成約件数は、反響と紹介でどんな内訳でしたか」経歴書の数字の裏付け
確かめる「今回の転職で、何を一番大事にして決めたいですか」決断の軸(後半で聞く)
聞かない本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境本人に責任のない事項
聞かない宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、労働組合、愛読書本来自由であるべき事項
聞かない結婚・出産の予定「生活環境・家庭環境など」にかかわると考えられる(この記事の解釈)。女性にだけ聞くのは均等法の指針が挙げる例

※質問例はこの記事での例です。 ※「聞かない」の1行目と2行目は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」の採用選考時に配慮すべき事項によります。 ※結婚・出産の予定の行は、平成18年厚生労働省告示第614号(均等法の指針)と、この記事の解釈によります。

定着まで見る確かめる質問は、見極めの記事の5問を足してください。

施工管理の面接でも、この順番はそのまま使えます。職種ごとの見極めの質問は、施工管理の面接の記事に分けて書きました。

候補者の熱を冷ます、面接官のNG態度とは

質問の中身が正しくても、聞き方ひとつで台無しになります。

候補者から実際に聞いた生クレーム

エージェント時代に、候補者から実際に聞いた声をそのまま載せます。読者のみなさんの会社では起きていないことを祈りつつ、、。

  • 「面接官がずっと腕組みで怖かった」
  • 「開始15分遅れたのに謝罪なし」
  • 「尋問みたいでした」

候補者から見ると、これらは全部「この会社は自分を大事にしない」というメッセージに翻訳されます。

逆に言えば、態度を変えるだけで、来てくれた人を逃さずに済みます。

面接に入る全員で共有したいNG行動

  • 腕組み・威圧的な姿勢
  • 遅刻したのに謝らない
  • PCばかり見る
  • ため口・ぶっきらぼうな受け答え
  • 詰問・尋問調の質問

上の3つの生クレームは、このリストの1つ目、2つ目、5つ目と同じです。

面接の質問のあとまでが、候補者体験です

知名度でもブランドでも年収レンジでも、中小・ベンチャーが大手に真正面から勝つのは難しい。でも、資本がなくても勝てる土俵が一つだけあります。それが「候補者体験」です。

候補者体験とは、応募から入社までの一連の「扱われ方」のことです。要素を5つに分けて見ていきます。

  • ①選考スピード:結果連絡が速いだけで「求められている」と感じる。基準は選考スピードの記事へ
  • ②連絡の質:「総合的に判断し」でなく、具体で伝える。お見送りの伝え方は不採用連絡の記事へ
  • ③面接官の態度:上のNGをやらない。対等に、敬意をもって接する
  • ④透明性:いい所も課題も正直に。条件の伝え方はオファー面談の記事へ
  • ⑤入社前フォロー:内定後も放置せず、入社まで週1で連絡する。詳しくは承諾後の辞退を防ぐ記事へ

面接の前の段階、応募が来た直後の動き方は応募後24時間の記事に、内定を出したあとの詰めは内定辞退を防ぐ記事に書きました。応募は来るのに決まらない会社は、採用データを分解した記事も合わせて読んでみてください。

面接を「口説く場」にするチェックリスト

次の面接からそのまま使えるように、チェックリストにしました。

  • 面接前の15分で、面接官全員がこのチェックリストと◯△×の4点を読み合わせる
  • 面接の冒頭は「志望動機」でなく、こちらから会社の想いと期待を伝える
  • 開始時刻を守る。遅れたら必ず謝る
  • 腕を組まない。候補者の目を見て話す
  • スペックの読み上げでなく、「あなたに来てほしい」という本音を言葉にする
  • いい所だけでなく、課題も正直に伝える
  • 質問リストを面接官全員で共有し、表にない個人的な質問はしない
  • 出身・家族・住まい・結婚の予定は、雑談でも聞かない
  • 志望動機は後半に、決断の軸の形で聞く
  • 逆質問の時間をたっぷり取り、真剣に答える
  • 最後に「今日会えてよかった」と、結果を連絡する日を伝える

全部を一度に変えなくて大丈夫です。まず上の2行、冒頭の一言と時間を守ることから始めてください。

よくある質問

Q. 中途採用の面接で、必ず聞くべき質問は何ですか?

経験を確かめる質問(担当エリア・価格帯・任されていた範囲)と、後半で聞く決断の軸の2つです。ただし、その前にこちらから会社の想いと期待を伝えるのが先です。

Q. 志望動機を聞いてはいけない、ということですか?

後半に、決断の軸の形で聞きます。質問の形は、確かめる質問の表と質問リストに載せました。

Q. 口説くと言っても、見極める前の相手を持ち上げすぎるのは違和感があります。

その通りで、心にもないお世辞は要りません。口説くというのは「あなたに関心があります・あなたを大事にします」という態度を、最初から見せることです。見極めた結果ご縁がなくても、丁寧に扱うことはできます。

Q. 面接官が複数いて、質問も態度もばらつきます。どうすれば?

この記事の質問リストとNG行動リストを、面接に関わる全員で一度共有してください。全員で揃えておけば、一人の尋問調で他の全員の丁寧さが打ち消されるのを防げます。

Q. 雑談で候補者のほうから家族や住まいの話が出たら?

深追いせず、評価にも使わず、仕事の話に戻します。厚生労働省は、家族や住宅状況を面接で尋ねて把握することを、就職差別につながるおそれがある事項として挙げています。こちらから広げないのが基本です。

Q. 未経験者と経験者で、面接の質問は変えますか?

変えます。経験者には担当エリア・価格帯・任されていた範囲を具体で聞きますが、未経験の方には聞ける実績がありません。代わりに、入社後の育成の道筋をこちらから見せて、そこへの反応を聞きます。

道筋は、たとえば「1ヶ月は先輩に同行、3ヶ月で自分のお客様を担当(月5〜8件のご案内)、6ヶ月で独り立ち」のように段階で示します(売買未経験向けの求人票の型で使っている育成ステップの例です。数字は自社の実際に置き換えてください)。そのうえで「この流れで、一番不安なところはどこですか」と聞くと、口説く質問と確かめる質問が一つになります。

Q. 施工管理など、売買仲介以外の職種でも同じですか?

同じです。うちの代表の渡辺も「全部一緒よ、施工管理でもそうでなくても」と言っています。口説いてから確かめる順番と、聞いてはいけない質問は職種を問いません。職種ごとの見極めの質問は、施工管理の面接の記事を使ってください。

おわりに

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

最初の面接室に、もう一度戻ります。「では、今日は当社を志望した理由から」。あの一言を、こちらから会社の話を差し出す一言に置き換える。そこから、候補者との面接の空気が変わり始めると私は考えています。

面接は、試験官になる場ではありません。お互いが「この人と働きたい」と思えるかを確かめる、お見合いの場です。

こちらから先に、相手に惚れにいく。中小・ベンチャーが大手に勝てるのは、この一点だと信じています。

売買仲介の採用を、求人票から定着まで順番に見たい方は、売買仲介の採用 完全ガイドからどうぞ。入社3ヶ月で辞める構造は3ヶ月離職の記事に書きました。

自社の面接の質問リストを一緒に作りたい方は、ご相談ください。


濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。

濱
濱名 勇輝
元・不動産特化の人材紹介エージェント/株式会社Jingas COO

不動産に特化した人材紹介のエージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担ってきました。採用を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきた立場で、「なぜ応募が来ないのか」「なぜ決まらないのか」を、きれいごと抜きで書いています。

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