こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
「スカウト、うちもやってるんですけどね、、」
この「、、」のあとに続く言葉は、だいたい決まっています。
反応がない。続かない。誰がやるか決まっていない。そして気づいたら止まっている。
私は前職で、不動産に特化した人材紹介のエージェントをやっていました。今は不動産営業のスカウトを運用する側です。送る側を両方から見てきて、はっきり言えることがあります。
スカウトで難しいのは、文面ではありません。
1行目の書き方はスカウトの返信率を上げる1行目に書きました。今日はその手前と、その先、つまり「何通送ればいいのか」と「返信が来たあとどうするか」の話をします。
不動産のスカウトは何通送れば1人採れる?先に結論
私たちが運用している不動産営業のスカウトでは、数千通を送って決まるのが1人です。1ヶ月あれば決まりますが、それは1ヶ月で数千通を送り切った場合の話で、週50通のペースでは同じ結果になりません。
壁は2つあります。
壁①:数千通という数を、効果が見えないまま打ち続けられるか。 返信率の話ではなく、送る通数の話です。数百通で判断すると、必ず途中で止まります。
壁②:返信が来たあとの後工程が弱いと、何千通打っても0で終わる。 スカウトは、送った瞬間には1円の価値もありません。価値が生まれるのは返信が来たあとで、そこからの対応が雑なら、通数を積んでも結果は変わりません。前工程を増やしても、0で終わります。
順番に書いていきます。
「数千通で1人」と、公開されている返信率を並べると何が見えるか
公開されている返信率で数えると、何通で何件返ってくるか
私たちの「数千通で1人」は、送ってから入社が決まるまでを通した決定の実数です。返信数や面談数は公表していません。入口の返信率は、媒体が実測を公開している例があります。
日経転職版が人材紹介会社向けに出している報告(2025年11月度)では、返信率の総計が1.1%、営業経験者への返信率が0.7%でした。この率で、送った数ごとの返信件数を計算します。数千通を一斉に送る運用にそのまま当てはめた表ではありません。私たちの運用でも、一斉送信では返信率が1%を割ることがあります。
| 送った数 | 総計(1.1%) | 営業が直近の経験職種の方(0.7%) |
|---|---|---|
| 200通 | 約2件 | 約1件 |
| 1,000通 | 約11件 | 約7件 |
| 3,000通 | 約33件 | 約21件 |
出典:日経転職版「サイト状況のご報告(スカウト編)2025年11月度」(日経HR)の返信率に、送った数を掛けて計算。報告の脚注は「RPA送信など一部大量送信のデータを除く」。
※人材紹介会社向けの報告で、自社のスカウトと条件が同じとは限りません。営業経験者は、日経転職版会員の直近の経験職種が営業の方で、不動産営業に限りません。報告の中身はスカウトの返信率の記事で表ごと見られます。
この表の1.1%や0.7%は、返信が来るところまでの入口の数字です。返信から入社までの途中の数は、私たちも公表していません。
目標値の返信率15〜20%で通数を逆算すると、何が起きるか
スカウトの通数を決めるときは、「ほしい人数から逆算する」と説明されます。パーソルビジネスプロセスデザインの解説記事も、面談数から、開封率と返信率の平均値を当てはめて送付数を求める方法を紹介しています。同じ記事では、目標値が開封率70%、返信率15〜20%です。
この式に、2種類の率を入れて比べます。返信が10件ほしい場合の送付数です。
| 使う率 | 送付数に対する返信の率 | 返信10件に必要な送付数 |
|---|---|---|
| 目標値(開封率70%×返信率15%) | 10.5% | 約95通 |
| 日経転職版の総計 | 1.1% | 約909通 |
| 日経転職版の営業経験者 | 0.7% | 約1,429通 |
出典:パーソルビジネスプロセスデザイン「スカウトメールの書き方|返信率と開封率を改善する7つのコツ」(更新2026.05.01)の目標値と逆算の考え方、日経転職版の返信率を使い、当メディアで計算。※同記事の返信率が何を分母にした数字かは書かれていないため、ここでは同社の説明どおり開封率と返信率を掛けています。営業経験者は上の表と同じ定義です。
同じ計算式でも、入れる率が違うと、必要な通数は約10〜15倍ちがいます。
目標値の率で通数を決めて始めると、100通ほど送って返信が来ない時点で「効果がない」と判断してしまいます。実際には、まだ評価できる段階ではありません。
週50通では同じ結果にならないのはなぜか
1ヶ月で数千通を送ると、1日に何通になるか
「1ヶ月あれば決まる」の中身を、日数に直します。月に3,000通を送るなら、営業日を20日として1日150通です。週50通のペースは、月に直すと200通。前の表の水準だと、返信は数件にとどまります。
週50通で始めて「やっぱり決まらない」となったときは、文面より先に、通数の前提を疑ってみてください、、。
送れる通数が決まっているプランは、どう見ればいいか
媒体の中には、契約の時点で送れる通数が決まっているプランがあります。たとえば不動産キャリアのダイレクトリクルーティングは、6か月プランが初期費用20万円・300通、1年プランが32万円・600通と公開されています。
良し悪しの話ではありません。3,000通を送る前提で見ると、300通はその10分の1、600通は5分の1です。通数に上限がある媒体を使うときは、契約の前に「上限の通数で足りるか」を計算しておきます。
出典:不動産キャリア「ダイレクトリクルーティング|スカウト機能サービス」(運営 Slash Co., Ltd.、2026年10月18日確認)。運営会社はページ末尾の著作権表示による。※通数の数え方(月ごとか期間合計か)はページに書かれていません。
効果が見えない期間を、止めずに越えるには
最初の数百通で返信が0でも、止めなくていいのか
求人広告は、掲載すると応募の数字が日ごとに見えます。スカウトは違います。先ほどの表のとおり、数百通を送っても返信がわずかな世界で、返信が0件の週があっても不思議ではありません。
だから、最初に決めておいてほしいことが1つあります。評価するタイミングを、送る前に決めることです。
「1,000通を送るまでは、返信率を評価しない」でかまいません。何も起きない期間は失敗ではなく想定内だと、始める前に握っておく。ここを決めずに始めると、途中の気分で止まる原因になります。
週10〜20通を丁寧に送る方法ではだめなのか
週10〜20通でも1通ごとの質を保って続けるほうが、大量送信より成果につながる、という解説もあります(Digital&「スカウト採用とは?返信率を高める4ステップと注意点を解説」、2026年9月16日更新)。1通ごとの質は大事です。
ただ、通数は計算で確かめられます。週15通なら月に60通。計算表の1.1%を当てはめると、1ヶ月の返信は1件に届きません。
3,000通に届くまでには50か月かかります。少数で続けるなら、1人採るのに年単位かかる前提で始めることになります。
質と通数は両立させる課題です。送り切る体制の中で、1通ごとの質を上げていきます。
月3,000通を回せない会社は、どう考えればいいか
回せない月があっても、数千通の前提は変わりません。変えるのは、評価する通数と、評価までの期間です。
評価する通数を先に決めて、その通数に届くまで期間を延ばします。通数に上限がある媒体なら、上限を使い切るまでは評価しません。途中で止めた時点で、評価できる材料がなくなるからです。
誰が送るのか、繁忙期に止まらないか
作業の本体は、文面を書くことではありません。候補者を見て、この人に送るかどうかを判断する時間です。経歴、エリア、転職の流れを見て、自社の求人と合うかを考える。
1通ごとに判断が要るので、誰が回すかを先に決めておきます。どう絞るかはスカウトは「誰に送るか」で決まるに書きました。
送る日をカレンダーに固定で入れる。担当が動けない週の代わりを決める。この2つを、始める前に決めておきます。
壁②【本題】返信が来たあと、どこで候補者は消えるのか
スカウトの相談を受けると、話題はまず「どう送るか」になります。文面、件名、送信数、どの媒体か。全部、送る前の話です。
でも決定率を分けているのは、返信が来たあとでした。
返信は応募と同じ扱いでいいのか
同じ扱いにはしない前提で設計します。求人への応募は、自分から手を挙げた人です。スカウトへの返信は、こちらから声をかけて、ようやく「話くらいなら聞いてもいい」と返してくれた人です。
つまり、志望動機がまだ固まっていない前提で面談を組みます。志望動機を試す前に、信頼関係を作る順番です。
候補者が消える3つの場所
返信のあとに候補者が離れる場所を、当メディアで3つに整理しました。(1)は選考スピード、(2)は面接で口説く話、(3)は内定後の連絡で、それぞれ元の記事に詳しく書いています。
(1)返信への返しが遅い。 書類の結果が1週間後に届いて、求職者が「自分は求められていない気がする」と辞退した。選考スピードの基準は、書類は当日から翌営業日、面接は翌日から3営業日です。守れている会社は、体感で全体の約2割。この基準を守れば上位2割に入れます(詳しくは選考が遅いと辞退される話)。
(2)面談が「見極め」一辺倒になっている。 自分から声をかけておいて、初対面で「志望動機を聞かせてください」と始める。婚活のお見合いで、自分から誘っておいて「私と結婚するメリットを説明してください」と言っているのと同じです。ここは面接は口説く場という話に書きました。面談の最初に「今回の転職で、一番叶えたいことって何ですか?」と聞くと、口説く材料が手に入ります。
(3)内定を出したあと、連絡が止まる。 内定後の連絡の設計は、内定辞退を防ぐクロージングにまとめています。
応募の事例では、後工程を直すと結果は変わったのか
応募は来ているのに決まらなかった大手不動産会社の採用データでは、連絡の即レス、人事としての惹きつけ、求人の見直し、スカウトの見直しの4つを進めた結果、決定率が約3倍になっています(応募は来ているのに決まらない話)。
これは応募のデータで、スカウトの数字ではありません。4つのうちどれが効いたのかも、数千通が何人に変わるかも、言えません。採用単価の考え方は不動産営業の採用は1人いくらかかるのかにまとめました。
そのまま使える、返信が来た直後の返信文例
返信が来た直後の1通が、後工程の最初の分かれ道です。日程は「折り返してください」と待たず、こちらから候補日を出して選んでもらう形にします。
Before(NG)
- 「ご返信ありがとうございます。来週以降でしたら調整可能です。ご都合のよい日時をお知らせください。」
After(OK)
- 「〇〇様、ご返信ありがとうございます。株式会社〇〇の△△です。経歴を拝見して、□□の経験をうかがいたいと思い、ご連絡しました。」
- 「面談は30分、オンラインです。次の3つのうち、合うものはありますか。①〇月〇日(〇)19時 ②〇月〇日(〇)12時 ③〇月〇日(〇)20時」
- 「どれも難しければ、合う日時を教えてください。こちらで合わせます。」
Afterのポイントは3つです。最初に誰が何のために連絡したかを書く。候補日を3つ出す。合わなければこちらが合わせると書く。
応募対応全般の初動は応募が来たあとの24時間にもまとめています。
数千通と後工程を両立させる、週次の組み方の例
専任の採用担当がいない会社向けの、組み方の一例です。ポイントは、送る日と返信に対応する日を分けないことです。返信対応は毎日やります。
| いつ | やること |
|---|---|
| 毎日(朝) | 前日までの返信を全部確認して、その日のうちに返す。日程は候補を3つ出す |
| 月・水・金 | スカウトを送る。時間の大半は、誰に送るかの判断に使う |
| 火・木 | 面談・面接を入れる日にする。候補者を待たせない枠を先に押さえる |
| 金(夕) | 今週の送信数・返信数・面談数の3つを記録する |
| 月1回 | 記録を見て、送る相手と求人票のどちらを直すか決める |
※当メディアが提案する組み方の例です。会社の規模や担当者の持ち時間に合わせて動かします。
補足を3つ。面談枠を先に押さえておくと、返信が来てから予定を探す必要がなくなります。記録は3つに絞ると続きます。送る日は「時間ができたら」ではなく、カレンダーで固定する。
自分でやるか、外に出すかの線引き
この運用を自社で回せるのは、次の条件がそろっている会社です。
- 送る日に、繁忙期でも動ける担当者が決まっている
- 最初の1,000通で結果が出なくても止めないと、社内で握れている
- 返信への即レスが、担当者が不在でも回る体制になっている
欠けている項目が多いほど、自社で回すには重くなります。
ただし、外に出しても後工程は自社に残ります。面談で口説くのも、条件を提示するのも、内定後に連絡を入れるのも、最後は会社の人がやることです。外に出すときは、「送る部分を任せて、口説く部分を自社で強くする」という分け方で考えます。
スカウト運用チェックリスト
- ほしい返信の件数から、通数を逆算しているか(率は公開値の0.7〜1.1%を、上限の目安に置く)
- 何通を送るまでは評価しないか、始める前に決めているか
- 月の通数を、営業日で割って1日の通数にしているか
- 通数に上限のある媒体は、上限で足りるか計算したか
- 送る担当者が、繁忙期にも時間を確保できる人か
- 送信日がカレンダーに固定で入っているか
- 返信への返しが、当日から翌営業日で回っているか
- 最初の返信で、面談の候補日を3つ出しているか
- 面談を「見極め」に加えて「口説く」場にできているか
- 内定から入社までの連絡が設計されているか
- 送信数・返信数・面談数の3つを記録しているか
上から順に、前半の4つ(通数の計算)を先に埋めます。ここが抜けていると、後半を整えても途中で止まる形になります。
よくある質問
Q. 不動産のスカウトは、何通送れば1人採用できますか? A. 私たちが運用している不動産営業のスカウトでは、数千通に対して決まるのが1人です。返信率や職種、エリアで前後します。数百通で決まる前提で始めると、途中で止まります。
Q. 1日に何通送ればいいですか? A. 月の通数を営業日で割って出します。計算例は、本文の「1ヶ月で数千通を送ると、1日に何通になるか」に載せました。
Q. スカウトの返信率は、平均でどのくらいですか? A. 解説では15〜20%を目標とする例があります。一方、日経転職版が人材紹介会社向けに出している報告では、総計1.1%、営業が直近の経験職種の方は0.7%でした。通数を決めるときは、公開値の0.7〜1.1%を上限の目安に置いて計算します。
Q. 返信が全然来ません。文面を変えるべきですか? A. 変える前に、送った数を確認します。計算表のとおり、数百通では返信が数件にとどまる水準です。それでも来ないなら、送っている相手が合っているかを見て、そのあとで1行目を見直します。返信が来ているのに面談に進まないなら、原因は後工程です。
Q. どのくらいの期間で決まりますか? A. 送り切れる体制があれば、1ヶ月です。ただし、その1ヶ月に数千通を送る密度が必要です。
Q. 送る作業を外注しても意味はありますか? A. 意味はあります。ただし、返信後の対応が遅いまま通数を増やしても、結果は変わりません。外に出すなら、同時に社内の返信の速さと面談のやり方も整えます。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
スカウトの相談を受けると、話は「どう送るか」から始まります。でも、結果を分けていたのは、送ったあとの部分でした。
数千通という数字を見ると、途方もない作業に見えると思います。ただ、そこは仕組みと時間で解ける問題です。解けないのは、返信をくれた一人に、会社としてどう向き合うかのほうなんですよね。そこは外注できませんし、知名度で大手に敵わない会社が勝てる場所でもあります。
送る部分は、実務ごと巻き取れます。 誰に送るかの判断からスカウトの送信、求人票の作り直し、選考の対応まで、人の手で伴走する形です。
まずは無料相談で、今のスカウトがどこで止まっているのかを、一緒に見させてください。