こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、求人票でも媒体でもなく、その手前にある「自社の採用ページ」のお話をしたいです。
こういうこと、ありませんか。
「媒体には出している。求人票も書き直した。閲覧も少しずつ付いてきた。なのに、応募が伸びない」
「制作会社から採用サイトの提案が来た。まとまった金額になるけど、本当に必要なのか判断がつかない」
候補者の中には、応募ボタンを押す前に会社名で調べて、会社のサイトを見にいく人がいます。
そこで知りたいことが見つからなければ、せっかく直した求人票の手前で、応募が止まってしまうかもしれません。今日は、そのページに何を書けばいいかを、作り方の順番と一緒にお話ししたいです。
不動産の採用サイトは必要?まず会社サイトに採用ページを1枚足してください
不動産会社が最初に用意するのは、専用の採用サイトでなくて構いません。会社サイトの中に採用ページを1枚。書くのは理念・仕事・人・条件の4つです。デザインより中身で差がつきます。
もう一つ、採用ページには法律の決まりもかかわります。中身は後の法律の章で。
採用サイトと採用ページ、会社サイトの違いとは
言葉が混ざりやすいので、先にそろえておきます。
| 呼び方 | 中身 |
|---|---|
| 採用サイト | 採用の情報を載せるために作る専用のサイト。複数ページで、別のドメインのこともある |
| 採用ページ | 会社サイトの中に置く、採用の情報をまとめたページ。1枚から始められる |
| 会社サイト | 会社案内・事業内容・物件情報など、お客様に向けたサイト |
※この記事での呼び分けです。
この記事でおすすめしているのは、真ん中の「採用ページ」から始めることです。中身さえ整えば、後から専用サイトに広げるのは難しくありません。
採用サイトは本当に必要ですか
「求人媒体に出していれば、自社のページは要らないのでは」と思う方もいるかもしれません。私の答えは、専用サイトは無くてもいい。でも、会社名で調べたときに読むページは要る、です。
私が以前noteに書いたとおり、応募の前に会社のサイトを見て離れる理由は「デザインが古い」ではありません。知りたい情報が書いていないことのほうです。
エージェント時代、同じ候補者を複数の会社に紹介すると、給与も仕事内容もほぼ同じなのに「A社は受けたいけど、B社はいいです」と言われることが頻繁にありました。差の一つが、ホームページに社員の顔が出ているか、古く見えるか、でした(この場面の続きは「いい人が来ない」会社が見落とす3つのことに書いています)。
なんというか、婚活のプロフィールは頑張って書いたのに、SNSを見にいったら3年前の投稿で止まっていた、みたいな話なんですよね、、。プロフィールが良かったぶん、落差で冷めてしまうんです。
専用の採用サイトと1ページ追加、どちらから始めるべきですか
まず1ページです。どちらを選んでも、一番時間がかかるのは原稿づくりなので。
理念の文章、仕事の1日、社員3名分の紹介、条件の数字。この原稿は、専用サイトを作るときにもそのまま使えます。先に1枚で原稿を作り、候補者の反応を見てから、社員インタビューを増やしたくなった段階で専用サイトを考えれば間に合います。
求人票と採用ページは、何が違うのですか
どちらも「募集の情報」です。ただ、読まれる場面がまったく違う。
| 求人票(媒体) | 採用ページ(自社) | |
|---|---|---|
| 役割 | 見つけてもらう | 応募を決めてもらう |
| 読まれる場面 | 一覧の中で他社と並べて比べられる | 会社名で調べて、1社単独で読まれる |
| 文字数 | 媒体の枠に収める | 枠がない |
| 優先すること | タイトルと条件(開いてもらえるか) | 人と入社後の道筋(納得できるか) |
| 更新するとき | 募集の終了・変更があれば速やかに(媒体にも反映を依頼) | 募集の終了・変更があれば速やかに |
※私たちの整理です。更新の行は、両方とも職業安定法第5条の4第2項(正確かつ最新の内容に保つ義務)にもとづきます。
求人票は入口、採用ページは受け皿です。入口を直しても、受け皿に何も無ければ、同じところで候補者が離れてしまいます。
採用ページを直す前に、求人票で確かめることは
先に求人票の側を確かめます。私たちが運用している不動産営業の求人では、媒体を替えずに求人票の2ヶ所を直して応募が増えました。0件だった求人が、10件ほどになることも珍しくありません。
直したのは、業務内容のタイトル部分(「営業職」で止めず「反響のみの売買仲介営業(飛び込みなし)」まで書く)と、入社後の活躍イメージが浮かぶかどうか、の2つです。詳しいBefore/Afterは不動産営業の採用媒体、どれを選ぶ?と売買仲介の職種名の付け方にまとめています。
採用ページで見せるべきものも、この2つと同じ方向です。何をする仕事か、入社した自分がどうなるか。ここが書けていれば、求人票を見て調べに来た人の背中を押せます。
採用ページのどこから足すかは、今の困りごとで決めます。
| 今の困りごと | 先に足すP | 足す中身 |
|---|---|---|
| 応募が少ない | People | 採りたい職種の人を中心に、年代と入社の経緯が違う社員3名の紹介 |
| 辞退や、入社後の「聞いていた話と違う」がある | Profession | 1日の流れ・入社後のステップと、正直に伝えておきたい大変な点 |
| 条件で他社に負ける | Privilege | 残業・休日・有給の取得率など、給与以外の条件の数字 |
※この記事での整理です。
採用ページに載せる内容は?4Pで考える必要なコンテンツ
この記事では、採用ページを次の4つ(4P)で見直します。
| P | 何のことか | 採用ページに書く中身 |
|---|---|---|
| Philosophy | 理念・目指す方向 | 事業を始めた理由、今の方向、3年後の姿、求める人物像 |
| Profession | 仕事・成長 | 1日の流れ、入社後のステップ、キャリアパスの実例、資格取得支援と取得実績 |
| People | 人・風土 | 採りたい職種の人を中心に、年代と入社の経緯が違う社員3名以上、チームの人数と年齢構成 |
| Privilege | 待遇・条件 | 月給の目安、平均年収、歩合の計算方法、手当、休日、残業、有給取得率 |
出典:4Pは、組織づくりの枠組みとして麻野耕司氏が提唱した「組織の4P」です。※右の列は、それを採用ページに当てはめた整理です。
施工管理の会社でも、4Pの考え方はそのまま使えます。人材紹介の現場で施工管理の会社を見てきた中では、採用がうまくいく原理は職種を超えて同じです。他社との違いや魅力がわからないと、求職者は応募しません(施工管理の求人票は施工管理の求人票の書き方へ)。
4Pで自社のページを見直すと、理念と募集要項はあっても、真ん中の2つ(仕事と人)が抜けていることに気づくかもしれません。この2つが無いと、候補者は入社後の自分を想像できません。以下、1つずつ書き方を見ていきます。
Philosophy:理念・代表メッセージの書き方
長くなくていいです。300字から500字で、社長が自分の言葉で書いてください。
入れるのは、事業を始めた理由と、今どこへ向かっているか、です。「お客様第一」「地域社会への貢献」で終わる文章は、他の不動産会社と区別がつきません。
Before(NG):「私たちは、お客様第一主義を掲げ、地域社会に貢献する企業を目指しています。」
After(OK):「前職では、担当エリアを毎年替えられていました。仲良くなったお客様の家の前を、翌年は別の担当が通る。それが嫌でこの会社を作りました。今は◯◯区を、10年単位で担当し続けられる会社にしようとしています。」
※After は記入例です。自社の実際の経緯に置き換えて使います。
後者は、よその会社には書けない文章です。社長の実体験は、お金をかけても他社が真似できない中身になります。
Profession:仕事内容と1日の流れの書き方
時刻つきの1日の流れは、求人票にも書いておきたいものです(書き方は応募が来ない不動産営業の求人票、NG文言7つにあります)。
採用ページには文字数の枠がありません。だから、求人票では削った部分をここで足せます。
足したいのは4つです。1つ目は、土日は来店と内見、平日は追客と書類、といった曜日による違い。2つ目は、何月が重く、そのとき何時まで動くのかという繁忙期と閑散期の差です。
3つ目は、追客中◯件・商談中◯件といった、一人が同時に担当している件数。4つ目は、資格取得の支援と、実際に取れた人数です(宅建の支援の組み立ては売買仲介の宅建取得支援へ)。
求人票をそのまま貼った採用ページとの差が、はっきり出る場所です。
入社後のステップは、どこまで書けばいいですか
1ヶ月目・3ヶ月目・6ヶ月目・1年目の目安を、期間で区切って並べます。区切り方の型は未経験の不動産営業を採る求人票の書き方に置いています。
採用ページで足したいのは、その道のりで、どこが大変かです。たとえば次のように書きます。
記入例:「最初の2ヶ月は覚えることが多く、手応えを感じにくい時期です。初めての契約までの期間には個人差があります。その間も固定給は変わりません。」
※記入例です。中身は自社の育成と給与の仕組みに合わせます。
社内のキャリアパスの実例(営業から店長になった人、管理部門に移った人など)が1人でもいれば、名前を伏せてでも載せてください。「この会社にいると先がある」が、実在の人で示せます。
People:社員紹介は誰に向けて、何人載せますか
今いちばん採りたい1職種に向けて書きます。社員紹介は最低3名。採りたい職種の人を中心に、年代と入社の経緯が違う人を選びます。売買仲介の営業を採りたいなら、営業を2名、事務や店長を1名、といった並べ方です。
1人あたり200字前後で、名前(下の名前のみでも構いません)、入社年と前職、入社を決めた理由、今やっている仕事を書けば足ります。写真は、仕事中の自然な表情のもの。あわせて、チームの人数と年齢構成を1行で添えます。
記入例:「営業は5名。うち3名は他業界から入っています(前職は賃貸仲介、携帯ショップ、飲食)」
※記入例です。「アットホームな職場です」の代わりに、こうした事実を置きます。
前職がばらばらの3人が並んでいれば、読んだ人が自分を重ねる手がかりになります。
Privilege:給与・条件はどこまで数字で書きますか
書けるものは全部数字にしてください。「頑張り次第で稼げます」では伝わりません。
数字にしたいのは、月給の目安(下限と上限)、1年目・3年目の平均年収、歩合の計算方法(何に対して何%か)、宅建手当などの月額、年間休日、残業の月平均時間、有給の取得率です。
給与水準で勝負しにくい会社も、休日や残業など、ほかの条件を数字で補えます。歩合の見せ方は不動産営業の年収・歩合、「損しない」見せ方にまとめています。
大変なことも、採用ページに書いたほうがいいですか
1つか2つ、書いてください。私が以前、辞める理由についてnoteに書いたときも、面接で自社の大変な点を正直に伝える話をしました(例「繁忙期は土日出勤が続くこともあります。」)。同じことを、採用ページにも置いておくイメージです。
こう書くと、応募は少し減るかもしれません。でも、読んだうえで応募してきた人は、入社後に「聞いていた話と違う」と驚かずに済みます。採用にかけたお金が無駄になるのは、応募が少ないときより、採った人がギャップで辞めたときですよね、、。
採用ページの作り方は?構成と手順
中身が決まったら、並べる順番です。上から順に、このまま見出しにして構いません。
1枚の構成テンプレ(この順で並べる)
- 一言のメッセージ(例:「◯◯区の売買仲介を、10年担当し続ける会社です」)
- なぜこの会社があるのか(300字から500字・社長の言葉で)
- 仕事の1日(時刻つき・曜日や繁忙期の違い)
- 入社後のステップ(期間ごとの目安+大変な時期)
- 働いている人(3名以上・顔写真つき)
- チームの人数と構成(1行で)
- 数字で見る条件(月給の目安・年収の実績・歩合の計算・休日・残業・手当)
- 正直に伝えておきたいこと(1つか2つ)
- 募集要項(更新日を必ず入れる)
- 応募フォーム(名前・連絡先・簡単な経歴まで)
- 「まず話を聞いてみたい」の入口
見本(※記入例・架空の売買仲介の会社です)
- 「◯◯市の中古住宅の売買仲介を、地域で長く担当する会社です」
- 社長の言葉で、創業の理由と、これからの方向を400字ほど
- 9:30 朝礼と案件共有/10:00 追客の電話とメール/13:00 内見の案内/17:00 契約書類の準備(土日は来店と内見が中心)
- 入社後◯ヶ月は先輩と同行、◯ヶ月目から自分のお客様を担当(最初の数ヶ月は手応えを感じにくい時期です)
- 営業の◯◯さん(前職:飲食・入社◯年目)、営業の◯◯さん(前職:賃貸仲介・入社◯年目)、店長の◯◯さん(新卒入社)
- 営業◯名・事務◯名
- 月給◯万〜◯万円/歩合は仲介手数料の◯%/年間休日◯日/残業 月平均◯時間
- 「繁忙期は土日出勤が続くこともあります」
- 募集要項(更新日:20XX年◯月◯日)
- 応募フォーム(お名前・連絡先・簡単な経歴)
- 「まずは話を聞いてみたい方はこちら」
11番の入口は、応募まではまだ決めていない人の窓口になります。
社内で準備するものと、作る手順は
作業は、次の順番で進めると止まりにくいです。
- 担当を決める:理念は社長、1日の流れと入社後のステップは現場の責任者、社員紹介は本人、と書く人を先に割り振る
- 原稿を集める:上の構成テンプレの順に、テキストで集める
- 写真を撮る:スマホで構いません。朝礼、内見に向かう車、契約が決まった日のホワイトボードなど、実際の職場
- ページにする:今の会社サイトを更新している先(制作会社や社内の担当)に、1ページ追加を頼む
- スマホで確かめる:自分のスマホで開いて、崩れずに読めるか、応募ボタンがすぐ見つかるかを見る
組版の作業より先に、1と2の担当と締め切りを決めておくと止まりません。
応募フォームと応募ボタンは、どう置きますか
応募ボタンは、ページの途中にも複数置きます。最後まで読まないと応募できない形にしないためです。
フォームの入力項目は、名前・連絡先・簡単な経歴まで絞ってください。あわせて「まず話を聞いてみたい」の入口と、見やすい位置に電話番号を置きます。不動産業界では、電話で直接聞きたいという求職者が少なくないからです。
もう一つ、法律の話です。応募フォームで個人情報を集めるときは、業務の目的を明らかにする決まりがあります(職業安定法第5条の5。施行規則第4条の4は、インターネットの利用などで明らかにすると定めています)。
リーフレットの○の例は「面接の日程に関する連絡に使用します」。こうした具体的な一文を、フォームの近くに入れておきましょう(出典:厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。応募が来たあとの動き方は応募が来たあとの24時間が勝負ですにまとめています。
デザインは、どこまで気にすればいいですか
凝ったデザインより、人と仕事が見えることを優先します。写真はスマホで撮ったもので問題ありません。社員は集合写真1枚より、3名分を個別に紹介したほうが、ずっと人が見えます。
自作と外注、費用はどう考えますか
1枚の追加なら、今の会社サイトを更新している先に頼むのが早いです。専用サイトを一式作るのに比べれば、ずっと小さな作業で済みます。
制作費の相場は、この記事では数字を出しません。私たちが確かめた制作会社の相場表には、見積もりの社数や時期といった根拠が書かれていなかったからです。見積もりを取るときは、ページ数・撮影や取材の有無・修正の回数・公開後の更新費用が含まれるかを確認してください。
採用ページに募集の情報を載せたら、職業安定法の義務がかかるのですか
かかります。採用ページに募集の情報を載せたら、職業安定法5条の4の義務がかかります。厚生労働省のリーフレットも、対象の手段に「ウェブサイト」を挙げています(出典:厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。
| 決まり | 中身 | 採用ページでやること |
|---|---|---|
| 職業安定法 第5条の4 第1項 | 求人の情報を広告等で出すとき、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない | 社内で特に給与が高い人の給与を、全員の給与のように見せない。モデル給与は同職種の平均などで示す(リーフレットの例) |
| 同 第5条の4 第2項 | 労働者の募集を行う者は、正確かつ最新の内容に保たなければならない | 締めた募集は下ろす。変わった条件は直す |
| 職業安定法施行規則 第4条の3 第1項 | 「広告等」には、インターネットなどの電気通信回線を使う方法も入る | 自社のサイトに載せた採用情報も対象と考える |
| 職業安定法 第65条 第9号 | 虚偽の広告をし、又は虚偽の条件を提示して労働者の募集を行った者は、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 | 実態のない数字や条件を載せない |
出典:e-Gov法令検索「職業安定法」「職業安定法施行規則」、厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」。※右の列は私たちの整理です。※第65条第9号は、誤解を生じさせる表示そのものへの罰則ではなく、虚偽の広告・条件で募集した場合の罰則です。
同じリーフレットは、募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更するよう求めていて、例に自社の採用ウェブサイト等を速やかに更新することを挙げています。いつの時点の求人情報かを明らかにする(募集を開始した時点、内容を変更した時点など)ことも、措置として挙がっています(出典:厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。
募集を締めたら、採用ページはどうしますか
募集要項の部分を下ろすか、「現在、募集は行っていません」に書き換えてください。理念・仕事・人の部分は、そのまま残して構いません。
締めた募集が出たままになっていると、印象が悪いうえに、第5条の4第2項の「最新の内容」から外れます。募集要項には更新日を入れておくと、いつの時点の情報かが一目で分かります。
どこまで書くと「盛りすぎ」になりますか
厚生労働省は、虚偽の表示にあたる場合がある例として、「実際の賃金よりも高額な賃金の求人を掲載する」ことや、「正社員」と謳いながら実際はアルバイト・パートの求人だったことを挙げています(出典:厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。
採用ページに「月収50万円可能」と大きく出して、実際にはごく一部の人しかその額に届いていない。こういう書き方は、誤解を生じさせる表示にあたるおそれがあります。
怖がる話ではありません。実際の数字どおりに書いていれば、それで足ります。
ただ、盛った書き方には、法律とは別の代償もあります。私たちのところにも、入社後に「聞いていた話と違う」と分かって辞めた人の相談はありました。ここからは私の意見ですが、盛った数字は、採った人との信頼で返ってくると思っています。
募集要項と、法律で決まった明示事項の関係は
業務の内容・賃金・労働時間などの労働条件は、職業安定法第5条の3で明示が義務になっています。明示する事項は施行規則第4条の2第3項にあり、2024年4月からは業務と就業場所の「変更の範囲」なども加わりました(出典:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。項目の一覧は求人票のNG文言7つの法律の章にまとめています。
この明示は、採用ページの表示とは別の話です。リーフレットは、個別の応募者と最初に接触するまでの時点に労働条件を明示しなければならず、「労働条件の明示は、求人等に関する情報の的確な表示とは別に行う必要があります」と書いています。
そのうえで、求人情報を出す段階でも「労働条件として明示すべき項目をできる限り含めた形で提供することが望ましい」としています(出典:厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」)。採用ページの募集要項は、媒体の求人票と同じ項目・同じ数字にそろえておくと、食い違いを防げます。
採用ページでやりがちなNG例
NG1:社長挨拶と募集要項で終わっている
理念はあるのに、仕事と人がありません。候補者が知りたいのは、社長に加えて、一緒に働く人のことです。足すのは4Pの真ん中の2つです。
NG2:募集要項が古いまま、更新日がない
去年の日付の募集要項を見た候補者が、「今も募集しているのかな」と迷うかもしれません。前の章のとおり、法律上も最新に保つ必要があります。
NG3:写真がフリー素材
握手しているスーツの外国人、のような写真です。上手な写真でなくていいので、実際の職場を写したものに替えましょう。
NG4:数字を「当社規定による」で済ませている
条件が弱いから伏せる、という判断だと思います。気持ちは分かります。でも伏せると、候補者は悪いほうに想像してしまう。補い方は、上のPrivilegeの節に書きました。
NG5:紹介会社に求人を預けているのに、採用ページがない
紹介会社の担当は、候補者に会社の魅力を伝えたくても、見せる材料がありません。求人の魅力を言語化できない会社は、エージェントにとって紹介しにくい会社です。この構造は元エージェントが明かす。この不動産会社には「紹介したくない」瞬間に書いています。
公開した採用ページは、何を見て直しますか
採用ページの主な役割は、会社名で調べた人の受け皿です。アクセス数の多さで良し悪しは決められません。
見るものは3つあります。1つ目は、媒体の閲覧数に対して応募がどれくらい起きているか。2つ目は、採用ページの応募フォームから来た応募の数です。
3つ目は、面接で「応募の前に、当社のサイトを見ましたか」と聞いて、答えを記録しておくことです。見た人が何を覚えていたかを聞けば、4Pのどこが届いているかも分かります。閲覧は付いているのに応募が伸びないなら、求人票の2ヶ所と、4Pの抜けを順に確かめてください。
更新のきっかけは、募集の開始・終了、条件の変更、社員の入退社です。社員紹介に載っている人が辞めたら、早めの差し替えが要ります。
採用ページのチェックリスト
自社のページを開いて、上から確認してみてください。
- 社長の言葉で、事業を始めた理由と向かう先が書いてある(300字から500字)
- 1日の流れが時刻つきで書いてあり、曜日や繁忙期の違いにも触れている
- 入社後のステップが期間で区切ってあり、大変な時期も書いてある
- 職種・年代・入社の経緯が違う社員が3名以上、顔写真つきで出ている
- チームの人数と構成が1行で書いてある
- 月給の目安、年収の実績、歩合の計算方法が数字で出ている
- 年間休日、残業の月平均、有給の取得率が数字で出ている
- 正直に伝えておきたいことが1つ以上ある
- 募集要項に更新日が入っていて、締めた募集が残っていない
- 募集要項が、媒体の求人票と同じ項目・同じ数字になっている
- 応募ボタンが複数あり、フォームの項目が名前・連絡先・簡単な経歴までになっている
- 「まず話を聞いてみたい」の入口と、個人情報の利用目的が書いてある
全部を一度に埋めなくて大丈夫です。4つ目(社員3名)が空いていたら、そこから手をつけてください。社員が一人も見えないページは、候補者を不安にさせやすいからです。
よくある質問
Q. 採用サイトを作るのと、会社サイトに1ページ足すのと、どちらがいいですか。
A. まず1ページです。原稿は専用サイトにもそのまま使えます(理由は本文の「専用の採用サイトと1ページ追加」の節)。
Q. 社員が顔を出すのを嫌がります。
A. 全員に出てもらう必要はありません。3名で足ります。それも難しければ、後ろ姿や手元の写真にする、名前を下の名前にとどめる、といった方法もあります。ただ、1人も人が写っていない状態は避けてください。
Q. 募集していない時期も、採用ページは置いておくべきですか。
A. 置いておいて構いません。募集要項の部分は「現在、募集は行っていません」に書き換えます(本文の法律の章を参照)。
Q. 条件がそこまで良くありません。数字を出すと不利になりませんか。
A. 伏せるより、出せる数字で補うほうがいいです。本文のPrivilegeの節と、不動産営業の年収・歩合、「損しない」見せ方をご覧ください。
Q. 専用サイトを新しく発注しなくても、採用ページは作れますか。
A. 作れます。今の会社サイトを更新している先に「採用ページを1枚追加したい」と伝えれば足ります(本文の「社内で準備するものと、作る手順は」の節)。
Q. 採用サイトの費用は、どれくらいかかりますか。
A. 金額は出していません。理由と、見積もりで確かめる項目は本文の「自作と外注、費用はどう考えますか」の節にまとめています。
Q. 採用ページを作ったのに、アクセスが少ないです。
A. アクセス数より、媒体の閲覧数に対する応募の数を見てみましょう(本文の「公開した採用ページは、何を見て直しますか」の節)。媒体そのものの選び方は不動産営業の採用媒体、どれを選ぶ?にまとめています。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。
売買仲介の採用を工程ごとに見直すなら、売買仲介 営業の採用 完全ガイドと応募が来る求人票の作り方にまとめています。求人票側を先に直したい方は、売買仲介の求人票テンプレ3型と、無料の求人票セルフ添削チェッカーも使ってみてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
採用ページは、作った日が一番新しくて、そこから毎日少しずつ古くなっていくものだと思います。日付が去年のままになるのも、辞めた社員が載り続けるのも、悪気があってのことではありません。日々の仕事が忙しいからです。
でも候補者は、その古さを見て会社を判断します。採用ページで問われているのは、文章のうまさより、更新され続けているかどうかなんですよね。
とはいえ、自分の案件を回しながら、社員3名分の原稿を集めて、条件の数字を整理して、募集が変わるたびに更新まで回すのは、正直かなりの負担だと思います。そこは、採用ページの原稿づくりから求人票の設計、媒体運用、応募後の選考まで、採用の実務を私たちが人の手で伴走します(基本料金は月額10万円)。まずは無料相談で、「今の採用ページのどこで応募が止まっているか」を一緒に見させてください。
【出典】e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の4・第5条の5・第65条第9号、「職業安定法施行規則」第4条の2第3項・第4条の3第1項・第4条の4/厚生労働省 リーフレット「求人企業の皆さま 労働者の募集ルールが変わります」(2022年10月1日施行)/厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」/組織の4P(麻野耕司氏が提唱)