こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
「求人票、どう書けばいいか分からないから、とりあえず去年のを使い回している」
不動産会社の社長とお話ししていると、これが本当に多いんですよね、、。悪気はまったくなくて、単に「見本」を見たことがないだけなんです。
今日は、その見本そのものをお渡ししたいです。売買仲介の営業を採るための求人票を、3型ぶん全文で。
先に結論から言うと、売買仲介の求人票は3つの型で足ります。
- 型1:未経験・異業種を採る型
- 型2:経験者(即戦力)を採る型
- 型3:支店・拠点ごとに出す型
この3つを使い分けられれば、少なくとも「誰に向けて書いているのか分からない1枚」からは抜け出せます。逆に言うと、応募が来ない求人票のほとんどは、この3つが1枚に混ざっているだけなんです。
未経験も経験者も両方ほしい、と全部盛りにした結果、どちらにも刺さらない。婚活で「誰でもいいです」と言っているのと同じ状態ですよね。
テンプレを使う前に、3つだけ決めてください
穴埋めの前に、ここを決めないとテンプレは機能しません。逆にここさえ決まっていれば、あとは埋めるだけです。
- 誰を採るか(1枚につき1人格) — 未経験なのか、経験者なのか。両方ほしいなら、求人票を2枚に分けます。
- 何を約束できるか — 飛び込みなし、反響のみ、残業月◯時間、土日どちらか休み。守れることだけを書きます。守れない約束は、入社3ヶ月で辞められる形で返ってきます。
- どの数字なら出せるか — 平均年収、営業の人数と年齢構成、反響件数、定着率。1つも出せない場合は、まず社内で数えるところからです。
私の経験則ですが、応募が来ない求人票は、書き方が下手なのではなく、この3つが決まっていないまま書き始めています。だから抽象的な言葉でしか埋められないんですよね。
型1:未経験・異業種を採る型(全文テンプレ)
未経験が求人票を見るとき、いちばん知りたいのは待遇ではなく「自分にできそうか」です。ここに答えていない求人票は、条件がよくても読み飛ばされます。
【売買仲介の反響営業/未経験歓迎・飛び込みなし】
反響のお客様に住まいをご提案する、売買仲介の営業です。飛び込み・テレアポはありません。お問い合わせをいただいたお客様に、物件のご案内から契約までを担当します。
【給与】 月給28万円+仲介手数料の10% 未経験1年目のモデル年収400万円前後、3年目で550〜650万円(いずれも全営業の平均値)。宅建をお持ちの方は資格手当を月3万円(年間36万円)加算します。
【入社後の流れ】 ・1ヶ月目:先輩に同行し、案内と契約の型を覚えます ・3ヶ月目:自分のお客様を担当(月5〜8件のご案内) ・6ヶ月目:一人で契約まで完結(ここまでが平均的なペースです)
【前職】 飲食・アパレル・携帯販売の出身者が活躍中です。不動産の知識は入社後で問題ありません。
【働き方】 営業5名(20代3名・30代2名)/平均残業 月20時間/定着率85%/完全週休2日(火・水)
【選考】 まずは30分のカジュアル面談から。履歴書は不要です。
なお、テンプレ内の数字はすべて記入例です。必ず自社の実数に差し替えてください。ここを直さずに出すのが、一番まずいやつです。
記入ガイドです。
| 埋める場所 | 入れるもの | 注意 |
|---|---|---|
| タイトル | 職種+働き方の特徴 | 「営業職」で止めない。「反響のみ」「飛び込みなし」まで入れる |
| 給与 | 固定+歩合の内訳 | 月給の下限は29.5万円以上を意識(後述) |
| モデル年収 | 全営業の平均値 | トップ1名の数字を全体のように見せない |
| 入社後の流れ | 1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の3点 | 「丁寧に指導します」では何も伝わりません |
| 前職 | 実在する社員の前職 | ここが未経験にとって一番の安心材料です |
とくに効くのが「前職」の行です。未経験の方が見ているのは、会社の立派さではなく、自分と同じ地点から始めた人がいるかどうか。そこだけなんですよね。
未経験向けの書き方だけをもっと深く知りたい方は、未経験を採る求人票の書き方に育成ステップの見せ方をまとめてあります。
型2:経験者(即戦力)を採る型(全文テンプレ)
経験者は、未経験とは真逆で「自分がいくら稼げて、どんな環境か」を数字で見ています。育成ステップを丁寧に書いても響きません。むしろ、書けば書くほど「レベルの低い会社かな」と受け取られます。
【売買仲介 営業/経験2年以上・反響のみ・粗利15%還元】
反響のお客様への売買仲介営業です。仕入れ・飛び込み・テレアポはありません。
【還元率】 仲介手数料の粗利に対して15%を還元します。年収1,000万円超の在籍実績あり(全営業の平均は◯◯万円)。
【反響】 月20件前後を営業1名あたりに配分。エリアは◯◯市を中心とした半径◯km、価格帯は3,000万〜6,000万円のファミリー向け中古が中心です。平均の成約期間は約◯ヶ月。
【裁量】 追客の方法・案内の組み立ては本人に任せます。日報や朝礼での詰めはありません。
【体制】 契約書類の作成は事務が担当。営業は接客と提案に集中できます。
【働き方】 完全週休2日(火・水)/平均残業 月20時間/直行直帰可
【選考】 現職中の方は、平日夜・土日のオンライン面談に対応します。書類選考は当日〜翌営業日にご連絡します。
記入ガイドです。
| 埋める場所 | 入れるもの | 注意 |
|---|---|---|
| 還元率 | 歩合の計算根拠 | 「頑張り次第」は経験者にはゼロ点。%か金額で |
| 反響 | 件数・エリア・価格帯・成約期間 | ここで自分の売上を計算させます |
| 裁量 | 管理の少なさ | 経験者の転職理由の上位が「詰められる環境から出たい」です |
| 体制 | 誰が事務を持つか | 「営業が全部やる会社」かどうかを見られています |
| 選考 | 面談可能な時間帯 | 現職中の人が応募できるかは、この1行で決まります |
経験者向けで一番もったいないのが、還元率を伏せてしまうことです。「詳細は面談で」と書いた瞬間、他社の「15%」と書いてある求人票に負けます。比較されている前提で書くしかないんですよね。
型3:支店・拠点ごとに出す型(多店舗の会社向け)
これは、多店舗展開している会社にだけ効く型です。そしてほとんどの会社が、ここで損をしています。
やりがちなのが、1枚の求人票に「勤務地:東京・大阪ほか各支店」とまとめてしまうこと。募集する拠点が5つあっても、求人票は1枚。管理はラクなんですが、読む側からすると、自分の街の話に見えないんです。
求職者は「不動産営業の仕事」を探しているのではなく、「家から通える不動産営業の仕事」を探しています。ここが噛み合っていない。
【◯◯支店/売買仲介の反響営業】
◯◯駅から徒歩5分の◯◯支店で、売買仲介の営業を1名募集します。転勤はありません。
【この支店の仕事】 ◯◯エリアの中古マンション・戸建てが中心。地元にお住まいのお客様からの反響が大半で、リピート・ご紹介も多い支店です。
【この支店のメンバー】 支店長1名+営業3名+事務1名。平均年齢32歳。
【給与】 月給28万円+仲介手数料の10%(支店の営業平均年収◯◯万円)
【働き方】 完全週休2日(火・水)/平均残業 月20時間/マイカー通勤可・駐車場あり
【選考】 ◯◯支店での面談も可能です。まずは30分から。
拠点別に出すと、書けることが一気に増えます。最寄り駅、扱うエリア、支店の人数、通勤手段。会社全体では書けなかった具体が、支店単位なら書けるんですよね。
掲載課金型の媒体だと、拠点の数だけ費用が増えるので現実的ではありません。ただ、掲載数に制限のない無料掲載型のサービスなら、支店ごとに1本ずつ出せます。多店舗の会社ほど、この型は効きます。
3型に共通する骨組み(ここだけは外さない)
型が違っても、順番の骨は同じです。
- タイトル — 職種+働き方の特徴(「営業職」で終わらせない)
- 冒頭3行 — 何をやる仕事か、飛び込みの有無、勤務地
- お金 — 固定+歩合の内訳と、平均のモデル年収
- 自分にできそうか — 未経験なら育つ道筋、経験者なら反響と裁量
- 働き方 — 休み、残業、メンバー構成
- 応募のハードル — カジュアル面談・書類不要・オンライン可
求職者はスマホでスクロールしながら、最初の数行で去るかどうかを決めます。だから「やりがい」から始まる求人票は、そこで終わってしまうんです。
もう一つ、地味ですが効くのが給与の下限です。厚生労働省の職業情報提供サイト job tag によると、住宅・不動産営業の求人賃金は月額29.5万円(令和6年度)。求人サイトは「月給◯万円以上」で絞り込まれるので、下限がこの水準を下回ると、そもそも検索結果に出てきません。読まれない以前の問題として、画面に出ないんですよね。
ちなみに同じ job tag では、住宅・不動産営業の有効求人倍率は3.00倍(令和6年度)。1人を3社で取り合っている計算です。書き方で手を抜ける市況ではない、ということでもあります。
法令チェック(テンプレを埋めたら必ず確認)
テンプレをそのまま使うときに、ここだけは踏まないでください。
- 年齢・性別・国籍で応募を限定する表現は原則NGです(「35歳まで」「男性歓迎」など)。長期キャリア形成などの例外規定はありますが、安易に使わないほうが無難です。
- 2024年4月から、明示すべき労働条件が3つ追加されました。「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」「有期契約を更新する場合の基準」の3点です(出典:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。支店異動の可能性がある会社は、型3を使うときにとくに注意してください。
- 守れない条件を書かない。「残業ほぼなし」と書いて実際は月40時間なら、入社後すぐに辞められます。しかも今は、その理由が口コミサイトに残ります。
型を使っても応募が来ないときは
正直にお伝えすると、求人票を直しても応募が増えないケースはあります。そのときは、原因が求人票の外にあります。
- そもそも無料掲載に置いているだけ — 閲覧はされるのに応募がほとんど来ない、という状態です。この場合、求人票は「スカウトの着地先」として使い、こちらから声をかけにいくしかありません。
- 後工程で落としている — 応募は来ているのに面談に繋がらない。返信が遅い、日程調整が往復している、といった運用側の問題です。
- エリアに母集団がいない — この場合だけは、条件(給与・働き方)を動かす判断が要ります。
順番としては、求人票 → 媒体 → 後工程のスピードの順に見るのが早いです。求人票は一番お金がかからないので、ここから手をつけます。媒体そのものの選び分けは不動産営業の採用媒体の選び分けに、応募は来ているのに決まらない場合は応募は来ているのに決まらない話に書きました。
いまの求人票がどの状態かは、求人票セルフ添削チェッカーで12項目だけ当てられます。無料で、登録も要りません。手を入れればそのまま出せる不動産営業の求人票テンプレも置いています。
そのまま使えるチェックリスト
- 1枚の求人票に、1つの人格だけを書いたか(未経験と経験者を混ぜていないか)
- タイトルに「反響のみ」「飛び込みなし」など働き方の特徴を入れたか
- 月給の下限は29.5万円以上か
- モデル年収は全営業の平均値か(トップ1名の数字ではないか)
- 未経験向けなら、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の道筋を書いたか
- 経験者向けなら、還元率・反響件数・裁量を数字で書いたか
- 多店舗なら、支店ごとに1枚に分けたか
- 年齢・性別を限定する表現がないか
- 「変更の範囲」の3点を明示したか
- 応募の入口をカジュアル面談まで下げたか
よくある質問
Q. 3型のうち、どれから作ればいいですか。
A. いま一番採りたい人格の型です。多くの売買仲介の会社では型1(未経験)から作るのが現実的だと思います。経験者は市場に出てくる数が限られていて、型2だけで待っていると採用が止まります。
Q. テンプレの数字が、うちには出せません。
A. 出せない数字は無理に書かなくて大丈夫です。ただ、営業の人数と年齢構成、休日、平均残業くらいは今日中に数えられるはずです。そこだけでも埋まると、抽象的な求人票からは抜け出せます。
Q. 型をそのまま使うと、他社と同じ求人票になりませんか。
A. なりません。型は骨格で、中身は自社の事実だからです。むしろ骨格が同じほうが、求職者は比較しやすくなります。比較されて負けるとしたら、それは書き方ではなく条件の問題なので、そこは別の判断です。
Q. 求人票は何回くらい直すものですか。
A. 出して2週間、閲覧はあるのに応募がゼロなら、直す合図です。私が見てきた範囲では、直すのは決まって2ヶ所でした。業務内容のタイトル部分と、入社後の活躍イメージが浮かぶかどうか。この2ヶ所だけで応募が動いた会社を、何社も見ています。
最後に
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
求人票は、会社が候補者を口説くラブレターですよね。3型と言いましたが、要するに「誰に宛てた手紙なのかを決めてから書きましょう」という、それだけの話でもあります。
宛名のない手紙は、誰の手にも渡らないんです。
今日の3枚のうち、いま一番採りたい1枚を開いて、まずはタイトルの1行だけ直してみてください。そこが変わると、続きは自然と埋まっていきます。
求人票の作り方を体系から知りたい方は、応募が来る求人票の作り方 完全ガイドからどうぞ。