こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、求人票のなかでいちばん短くて、いちばん後回しにされている場所のお話をしたいです。タイトル(職種名)です。
こういうこと、ありませんか。
- 求人票の本文は何度も書き直したのに、応募の数がほとんど変わらない
- 職種名の欄には「営業職」か「不動産営業」と入れて、深く考えたことがない
- 媒体の管理画面を見ると、表示はされているのに詳細ページがあまり開かれていない
もし3つ目に心当たりがあるなら、直すべきは本文ではありません。タイトルです。
先に結論:本文を直す前に、タイトルを直してください
答えを先に書きます。
- 求人の一覧で候補者が最初に目にするのは、タイトルと、給与・勤務地・会社名などのごく一部です。本文の全体は、タイトルを見て開いた人しか読みません。タイトルで開かれなければ、本文の出来はほとんど結果に出てきません
- 売買仲介のタイトルは「営業職」「不動産営業」で止めないでください。取引の種類、集客の形、商材、お客様、勤務地。この5つから2〜3個を選んで入れます
- タイトルに書いたことは、本文と入社後の実態で必ず守ってください。「反響のみ」と書いて実際はポスティングがある、は職業安定法が禁じている「誤解を生じさせる表示」に当たりえます。そして入社3ヶ月前後の離職につながりやすくなります
ひとことで言うと、タイトルは「何の仕事か」を一目で分からせるための場所であって、魅力を叫ぶ場所ではありません。
順番に書きます。
なぜタイトルが先なのか:本文は「開いた人」しか読まない
求人は、候補者の側から見るとこういう順番で進みます。
- 検索結果や一覧に表示される
- 一覧の中から開かれる
- 詳細を読まれる
- 応募される
求人票の書き方の記事は、世の中にたくさんあります。このメディアにもあります。でも、そのほとんどは3つ目と4つ目、つまり「開いたあと」の話なんですよね。
開かれなければ、3つ目と4つ目は始まりません。
私たちは自社でも不動産営業の求人を運用しているのですが、媒体は替えず、求人票を直しただけで応募が増えたことがあります。直した場所は決まって2ヶ所で、そのうちの1つがタイトルでした。「営業職」で止めていたところを、何を売る営業で、どうやってお客様と出会う営業なのかまで書いた。一覧で開かれる回数が変わりました。
(もう1つは入社後の活躍イメージです。こちらは不動産営業の採用を外注する3つの選択肢の中で書いています)
媒体費を上げる前に、タイトルを直したほうが安い。順番の話です。
「不動産営業」は、候補者にとって職種名になっていません
エージェント時代の経験則をもとに言うと、売買仲介の経験者ほど、「不動産営業」という言葉では自分の仕事を説明しません。
なぜかというと、同じ「不動産営業」でも中身がまったく違うからです。
- 売買なのか、賃貸なのか
- 反響で来たお客様を追うのか、自分で見込み客を掘るのか
- 中古の居住用なのか、投資用なのか、土地なのか
- 個人のお客様なのか、法人なのか
この違いは、働き方も、求められる力も、稼ぎ方も、全部変えます。反響営業を続けたい人にとって、自分で集客する会社はそもそも候補に入りません。投資用の営業をやりたくない人にとって、投資用の会社は同じく候補外です。
だから候補者は、一覧で「不動産営業」とだけ書いてある求人を見ると、開いて確かめるより先に、飛ばします。開いて中を読めばどちらか分かるのかもしれません。でも、一覧に数十件、数百件と並んでいる中で、わざわざ確かめてくれる人は多くありません。
婚活のプロフィールで言えば、一行目に「会社員です」とだけ書いてあるようなものです。嘘ではない。でも、それでは誰も詳しく見ようとしないですよね、、。
Indeedも、営業職の求人の書き方として「業界、商材、外勤・内勤、法人・個人、新規・既存など、具体的に記載することで、応募者とのミスマッチを防ぐことができるでしょう」と案内しています(出典:Indeed「営業関連職の効果的な求人票の書き方とは」)。そこに挙がっている職種名の例のひとつは「法人営業 不動産仲介」です。「営業」だけでは職種名として足りない、というのは媒体側も同じ見方です。
売買仲介のタイトルに入れる5つの要素
売買仲介に置き換えると、タイトルに入れる候補は次の5つです。
| 要素 | 例 | 候補者にとっての意味 |
|---|---|---|
| ①取引の種類 | 売買仲介/不動産売買 | 賃貸経験者と売買経験者を最初に分ける |
| ②集客の形 | 反響営業/反響中心 | 自分で見込み客を掘るかどうか。いちばん大きな分かれ目 |
| ③商材 | 中古マンション・戸建/土地/投資用 | 扱う物件の種類と、お客様の顔ぶれ |
| ④お客様 | 個人のお客様/法人 | 商談の相手と進め方 |
| ⑤勤務地 | ◯◯駅/◯◯エリア | 通えるかどうか |
全部を入れる必要はありません。むしろ全部入れると長すぎて、一覧で途中から切れます。
優先順位は「①と②」が先です
売買仲介で、候補者が一番最初に振り分けているのは①取引の種類と②集客の形です。
特に②です。反響で来たお客様に対応する営業と、テレアポやポスティング、飛び込みで見込み客を探す営業は、同じ売買仲介でも別の仕事です。経験者ほど、ここを最初に確かめます。反響中心の会社なら、それはタイトルに出すべき一番の事実です。
③商材は、居住用の中古なのか、投資用なのかで候補者の層が大きく分かれるので、自社が偏っているなら入れる価値があります。④お客様は、法人向けの比重が高い会社だけ入れれば足ります。
⑤勤務地は、媒体によっては勤務地の欄が一覧にそのまま出るので、タイトルに入れなくても見えることがあります。入れるかどうかは、自社の求人が一覧でどう見えているかを、一度候補者と同じ画面で確かめてから決めてください。
長さの目安
米国の求人広告配信会社Appcastは、「タイトルは4〜6語の範囲が最も応募率が高く、10語を超えると応募率が下がる」と報告しています(出典:Appcast「Job ad content best practices」)。英語の「語」の話なので日本語にそのまま置き換えることはできませんが、短すぎても長すぎても開かれにくいという方向は、私たちの実感とも合っています。
日本語の字数で何字が正解、という公的なデータはありません。「営業職」の3字では何も伝わらないし、条件を全部並べた長いタイトルはスマホの一覧で途中から切れます。自社の求人をスマホの一覧で開いて、大事な言葉が切れずに見えているかを確かめるのが、いちばん確実です。
【NG→OK】売買仲介のタイトル、こう直します
実際によく見るタイトルを、直した形で並べます。◯◯は自社の事実に置き換えてください。
| NG(よく見るタイトル) | 何がまずいか | OK(直した形) |
|---|---|---|
| 営業職 | 何を売るのか、どう売るのか、何も分からない | 売買仲介の反響営業(中古マンション・戸建) |
| 不動産営業スタッフ | 売買か賃貸かすら分からない | 不動産売買仲介の営業(反響中心・個人のお客様) |
| 不動産営業★未経験歓迎★高収入 | 条件の訴求と記号で、仕事の中身が消えている | 売買仲介の反響営業(飛び込みなし/◯◯駅)※未経験歓迎や給与は本文・給与欄へ |
| ◯◯アドバイザー(社内の呼び名だけ) | 社内の呼び名は、候補者の検索語にならない | 不動産売買仲介の営業(◯◯アドバイザー) |
| 営業(売買・賃貸・管理) | 1つの求人に3つの仕事が入っていて、誰の求人か分からない | 職種ごとに求人を分ける |
| 年収1000万も可能な不動産営業 | 上限の数字がタイトルの主役になっている | 売買仲介の反響営業(投資用マンション)※年収例は給与欄へ |
少し補足します。
「未経験歓迎」「高収入」を職種名に入れない理由。Indeedの求人作成ガイドは、職種名のNG例として「オープニング募集!未経験OK」を挙げ、「職種名以外の情報や、曖昧な職種名の場合、求人が表示されないことがあります」と書いています(出典:Indeed 求人票作成ガイド「労働条件を入力する」)。媒体によって細かいルールは違いますが、職種名の欄に条件の訴求を詰めると、そもそも一覧に出なくなる可能性がある。これは、開かれる・開かれない以前の話です。未経験の方に届けたいなら、本文の冒頭と育成の書き方で届けます。そちらは未経験の不動産営業を採る求人票の書き方に書いています。
社内の呼び名を使う場合。「◯◯アドバイザー」「コンサルタント」のような社内の呼び名に思い入れがあるのは分かります。でも候補者は、その言葉で検索しません。Indeedも職種名のNG例に「コーディネーター」のような曖昧な名前を挙げています。使いたいなら、一般的な職種名を先に置いて、呼び名はカッコで後ろに添えてください。
1つの求人に複数の職種を入れない理由。Indeedの掲載基準は「1つの求人情報につき、『1職種、1勤務地』が原則」としています(出典:Indeed「Indeedで求人情報が表示されない理由。掲載基準を見直してみよう」)。媒体のルール以前に、売買と賃貸と管理を1つにまとめた求人は、誰に向けた求人なのかが候補者に伝わりません。
「飛び込みなし」と「土日休み」は扱いが違います。ここは迷うところだと思います。「飛び込みなし」は、②集客の形の一部です。反響で来たお客様に対応し、自分で飛び込みはしない、という仕事のやり方そのものなので、タイトルに入れて構いません。私たちが自社で応募を増やしたときのタイトルも「反響のみの売買仲介営業(飛び込みなし)」という形でした。一方で「土日休み」「残業少なめ」は、仕事の中身ではなく働く条件の訴求です。こちらは職種名の欄ではなく、媒体にキャッチコピーやアピールの欄があればそちらへ、無ければ本文の冒頭に置くのが安全です。
タイトルに書いた瞬間、それは約束になります
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
タイトルは短いので、つい「盛って」しまいがちです。反響の比率がそこまで高くないのに「反響営業」と書く。ポスティングが週に1回あるのに「反響のみ」と書く。
職業安定法は、求人の情報について、会社にこう義務を置いています。
当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。(職業安定法 第5条の4 第1項より抜粋)
同じ条文の第2項は、募集の情報を「正確かつ最新の内容に保たなければならない」とも定めています。
「反響のみ」と書いて、入社したら自分で集客する時間が毎週ある。これは候補者にとって、まさに誤解を生じさせる表示です。法律の話を抜きにしても、これをやると何が起きるかははっきりしています。
入社してすぐ「話が違う」になります。
反響営業を続けたくて転職した人は、そこで一気に気持ちが切れます。入社3ヶ月前後で離職が集中する構造は入社3ヶ月で辞める不動産営業に書いた通りで、その引き金の典型が、求人と実態のズレです。タイトルで盛った分は、入社後の離職で返ってきます。
だから、タイトルに入れる言葉は、自社の営業の1週間を思い浮かべて、胸を張って言えるものだけにしてください。
- 反響が大半で、たまに自分で集客する → 「反響中心」
- 反響しかない → 「反響のみ」
- 自分で集客する時間が半分くらいある → 「反響営業」と書かない。集客の形をタイトルから外して、本文で正直に書く
最後のパターンの会社は、タイトルの訴求で他社に勝つのは難しいです。でもそれでいいと思っています。自分で集客したい人は一定数います。その人に正しく届けば、その人は辞めません。
タイトルを直したら、やること
タイトルを直したあとは、次の順で見てください。
- 一覧での見え方を、候補者と同じ画面で確かめる。スマホで、自社の求人がどこで切れているか。切れた後ろ半分は、無いのと同じです
- 直したら、少なくとも1〜2週間は触らずに数字を見る。表示された回数に対して、詳細が開かれた回数がどう変わったか。媒体の管理画面で見られる範囲で構いません
- タイトルを変えるたびに、求人を出し直さない。Indeedの掲載基準は、求人情報を頻繁に再投稿する行為を、表示のされ方に影響するものとして禁じています(出典は上と同じ掲載基準のページ)。変えるなら、出ている1本を直す
- 開かれるようになったのに応募が来ないなら、そこで初めて本文です。ここからは求人票の中身の話になります。どこが弱いかは求人票セルフ添削チェッカーに当ててみてください。12項目で、足りていない場所がその場で出ます。登録は要りません
順番を逆にしないことが大事です。開かれていないのに本文を直しても、結果が動かないので「求人票を直しても意味がない」という結論になってしまいます。それが一番もったいないです。
チェックリスト:自社の求人タイトル
- 「営業職」「不動産営業」だけで終わっていないか
- 売買か賃貸か、タイトルだけで分かるか
- 集客の形(反響中心かどうか)が、事実どおりに書かれているか
- 商材が偏っているなら、それが入っているか(中古居住用/投資用/土地など)
- 社内の呼び名だけになっていないか(使うなら一般的な職種名を先に)
- 「未経験歓迎」「高収入」「急募」や★などの記号を、職種名の欄に入れていないか
- 1つの求人に、複数の職種を詰め込んでいないか
- スマホの一覧で、大事な言葉が途中で切れずに見えているか(長すぎないか)
- タイトルに書いたことを、本文と面接で同じように説明できるか
上から2つ目と3つ目が埋まらない会社は、それだけ直せば一覧での見え方が変わります。残りは、そのあとで構いません。
よくある質問
Q1. タイトルに会社名を入れたほうがいいですか。
Indeedを含め、会社名が職種名とは別に一覧へ表示される媒体が多いので、タイトルの限られた文字数は、仕事の中身に使ったほうがいいと思います。会社名で選ばれるほど知名度がある会社は別ですが、その場合も職種名を先に置いてください。
Q2. 媒体ごとにタイトルを変えてもいいですか。
変えて構いません。媒体ごとに一覧の見え方も、字数の制限も違います。ただし、中身は同じ事実で。媒体によって「反響のみ」と「反響中心」が混在していると、両方見た候補者は迷います。
Q3. 反響営業ではない会社は、何をタイトルに入れればいいですか。
集客の形を無理に書かず、取引の種類・商材・お客様の3つで具体的にしてください。「不動産売買仲介の営業(土地・戸建/地域の個人のお客様)」のように、仕事の中身が見えるだけで、一覧での見え方は変わります。自分で集客する働き方は、本文で正直に書いたほうが、合う人に届きます。
Q4. タイトルを直しても開かれないときは、何を疑いますか。
一覧で一緒に並ぶ給与と勤務地です。一覧で一緒に目に入る情報なので、タイトルが合っていても、給与の見え方で飛ばされていることがあります。給与の見せ方は不動産営業の年収・歩合、「損しない」見せ方にまとめています。
Q5. 求人票の本文の書き方も知りたいです。
本文をそのまま埋められる型は売買仲介の求人票テンプレ3型に、ありがちなNG文言は応募が来ない不動産営業の求人票、NG文言7つに書いています。手を入れればそのまま出せる形のものが欲しい方は、求人票テンプレもどうぞ。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
求人票を直すというと、みなさん本文から手をつけます。でも候補者が最初に目にするのは、一覧に並んだ短いタイトルなんですよね。
その短い一行で、「これは自分の仕事だ」と思ってもらえるかどうか。開かれなければ、どれだけいい会社でも、存在しないのと同じです。
そして、そこに書いた言葉は約束になります。盛らずに、でも「営業職」で終わらせずに。自社の営業の1週間を、そのまま短く言い切るだけです。
今日はまず、自社の求人を候補者と同じ画面で、スマホの一覧から探してみてください。自分の会社の求人が、ほかの数十件の中でどう見えているか。そこからで十分です。
売買仲介の採用を最初から通しで見直したい方は、売買仲介 営業の採用 完全ガイドからどうぞ。求人票全体の作り方は応募が来る求人票の作り方にまとめています。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。