こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
「もう、社内だけでは回らないんですよね、、」
売買仲介の会社さんから採用のご相談をいただくとき、この一言から始まることが本当に多いです。営業のトップが片手間で面接をして、返信は夜中。求人票は3年前のまま。
そろそろ外に出そう、と考えはじめる。ここまでは、まったく正しいと思うんです。
ただ、その次でつまずく会社さんが多い。「外注」と一口に言っても、中身が3つあって、それぞれ別物だからです。
人材紹介、求人広告、採用代行。名前は聞いたことがあっても、何をどこまでやってくれるのか、お金がいつ出ていくのか、正直よく分からないまま話を聞き始めることになる。
私は前職で、不動産に特化した人材紹介のエージェントをやっていました。つまり「外注される側」にいた人間です。今は自社で、毎日スカウトを送って応募者に電話をかけている側にもいます。
両側から見てきたので、今日は、その3つの違いを正直にお話ししたいです。
結論:3つは「任せられる範囲」と「お金の出方」が別物です
先に答えを言います。3つの違いは、機能の差ではなく、あなたの採用のどこを肩代わりしてくれるかの差です。
- 人材紹介:候補者を連れてくるところまでを外に出す。決まったときに、成功報酬でまとめて払う
- 求人広告(求人媒体):出会う場所を買う。原稿を出した時点、あるいはクリックされた時点で費用が出ていく
- 採用代行:採用の実務そのものに人手を入れる。月額で、動く量に対して払う
そして選ぶ順番は、サービスの良し悪しでは決まりません。いま自社がどこで詰まっているかで決まります。
応募が来ていないのか。応募は来ているのに決まらないのか。決まるけれど、社内に手が足りないのか。詰まっている場所が違えば、正解も変わるんですよね。
3つの違い早見表
| 人材紹介 | 求人広告(媒体) | 採用代行 | |
|---|---|---|---|
| 主に肩代わりするもの | 候補者を探して連れてくる | 求人を見てもらう場所 | 採用の実務(原稿・スカウト・応募対応・日程調整など) |
| お金の出方 | 決まったときにまとめて | 掲載した時点/クリックされた時点 | 月額 |
| 費用のかかり方 | 1人あたりが大きい | 決まらなくても出ていく | 動いた量に対して一定 |
| 社内に残るもの | 残りにくい | 原稿と運用の経験は残る | 型と運用が残る |
| 向いている状況 | 今すぐ1名、確実に | 母集団を作りたい | 応募後の実務が回っていない |
| 苦手なこと | 続けるほど費用が積み上がる | 出しただけでは応募は来ない | 意思決定までは代われない |
この表の一番下の行が、実は一番大事です。どれにも「苦手なこと」があって、そこを理解しないまま契約すると、だいたい期待外れになります。
①人材紹介:決まってから払える安心と、社内に何も残らない構造
まず、私がいた側の話から正直に書きます。
人材紹介の一番の価値は、決まるまでお金が出ていかないことです。求人広告のように「出したのに応募ゼロで30万円が消えた」が起きません。今月中に1名、という切迫した状況では、これは本当に強い。
費用は、不動産・建設のエージェントだと理論年収の30〜35%あたりが中心です(各社が公開している料率より)。料率は法律で一律に決まっているものではなく、紹介会社ごとに設定しているので、会社によって差があります。
売買仲介の場合、私たちが実際に見てきた着地は、1名あたり150万円前後です。理論年収500万円前後の求人で、そこに料率がかかると、だいたいこの水準になります。
この金額をどう見るか。ここは記事を分けて書いているので、人材紹介に150万円払う前に、社長がやるべきことを読んでみてください。
ここでお伝えしたいのは、金額よりも構造のほうです。
人材紹介で採ると、社内には何も残りません。求人票が良くなるわけでも、スカウトの型ができるわけでも、応募者対応が速くなるわけでもない。次に1名必要になったら、また150万円の入り口に戻ります。
そして、これはエージェント側にいたから言えることですが、紹介会社は「決まりやすい会社」から順に候補者を出しています。契約したから優先されるわけではないんです。選考が遅い、フィードバックがない、求人の魅力を言語化できない。この状態だと、契約していても候補者は回ってきません。
そのあたりの本音はこの不動産会社には「紹介したくない」瞬間に全部書きました。
つまり人材紹介は、「今すぐ1名」には効くけれど、自社の採用力そのものは上げてくれない。ここを分かって使うかどうかで、満足度が変わります。
②求人広告(媒体):出会う場所は買えるが、口説く言葉までは買えない
次が求人広告です。掲載課金型、クリック課金型、無料掲載+有料のスカウト枠。タイプの違いと選び分けは不動産営業の採用媒体、どれを選ぶ?にまとめました。
ここでお話ししたいのは、媒体を使うときに一番誤解されている点です。
媒体で買えるのは「見てもらう場所」であって、「応募したくなる理由」ではありません。
私たちが自社で運用していて、はっきり数字に出たことがあります。無料で出せる枠に求人を置いておくと、閲覧はそれなりに付きます。ところが応募はほぼ来ない。数ヶ月それを続けても、結果は変わりませんでした。
見られていないから応募が来ないのではなく、見られたうえで選ばれていない。この差はけっこう残酷です。
逆のことも経験しました。媒体を替えず、求人票だけを直したら応募が増えた。直したのは決まって2ヶ所です。
- 業務内容のタイトル部分:「営業職」で止めない。「反響のみの売買仲介営業(飛び込みなし/◯◯支店)」まで書く。一覧で開かれる回数が変わります
- 入社後の活躍イメージ:条件の羅列ではなく、入って何ができるようになるのかが浮かぶかどうか
媒体費を上げる前に、ここを直したほうが安い。順番の話です。
自社の求人票がどうなっているかは、求人票セルフ添削チェッカーに当ててみてください。12項目で、足りていない場所がその場で出ます。登録は要りません。
③採用代行:本体は「応募が来たあと」にあります
3つ目が採用代行です。採用代行と聞くと、求人を出す作業を代わりにやってくれる人、というイメージを持たれることが多いのですが、実際に効くのはそこではありません。
本体は、応募が来たあとの実務です。
たとえば、私たちが自社でやっていることを並べると、こうなります。
- 求人票の設計と、媒体ごとの出し分け
- スカウトを毎日送り続ける(送る相手を選ぶ判断も含めて)
- 応募が入ったら、その日のうちに電話をかける。つながらなければ時間を変えてかけ直す
- 面接の日程を押さえる。結果を翌営業日までに返す
- 内定後、入社日まで連絡を切らさない
どれも特別なことではありません。ただ、全部やるには手と時間が要る。そして営業のトップが片手間でやると、必ず後半(応募後の対応)から崩れます。
スカウトを例にすると分かりやすいです。私たちの運用実感では、送る数と決まる数の関係は数千通で1人です。数百通で「効果がない」と止めてしまうと、何も起きないまま終わります。この話はスカウトは「数千通で1人」に詳しく書きました。
つまり採用代行に払っているのは、魔法ではなく、続ける手数と、後工程のスピードなんですよね。
Jingasの採用代行も、基本料金は月額10万円です。要件の整理から求人票づくり、媒体運用、応募後の対応、定着まで、人の手で一緒に走ります。
そのかわり、できないこともはっきりしています。採る/採らないの意思決定は、外に出せません。 ここを外に出そうとすると、誰も決められないまま候補者が去っていきます。
いちばん多い誤解:外注先を替えても、決まらない原因は動かない
ここが今日いちばん伝えたいところです。
以前、ある大手不動産会社の採用データを分解させていただいたことがあります。知名度も待遇も、中小とは比べものにならない会社です。
その会社でも、応募は来ているのに決まっていませんでした。しかも媒体で採っているのに、最終的なコストは人材紹介より高くついていた。応募数が多くても、決まらなければ1人あたりの単価は跳ね上がるからです。
そこで手を入れたのは、外注先の変更ではありませんでした。
- 連絡を受けてからの即レス
- 人事として伴走し、候補者の意向を上げる(惹きつけ)
- 求人の見直し
- スカウトの見直し
結果として、決定率は約3倍になりました。詳しい分解は応募は来ているのに決まらないに書いています。
この経験から言えることは、ひとつです。魅力のある会社でも、打ち手を変えなければ決まらない。そして決まらない原因は、外注先を替えても動かない。
婚活でたとえるなら、紹介所を替えても、会ってからの振る舞いが同じなら結果は同じ、という話に近いです、、。
選び方:この3つの質問に答えると決まります
では、自社は何を選べばいいのか。順番に答えてみてください。
質問1:そもそも応募は来ていますか?
来ていないなら、まず求人票と媒体です。この段階で人材紹介に走ると、根っこを直さないまま高い1名を買うことになります。
質問2:応募が来たら、24時間以内に人が動けますか?
動けないなら、媒体を増やしても意味がありません。応募は増えるほど取りこぼしも増えます。ここは採用代行か、社内の担当を決めるかの二択です。選考スピードの基準は選考、遅いだけで辞退されますにまとめました。
質問3:来期以降も採り続けますか?
単発で1名だけなら人材紹介が合理的です。採り続けるなら、社内に型が残る形(媒体運用+代行)のほうが、2年目以降のコストが下がります。1人あたりの実額の比較は不動産営業の採用は1人いくらかかるのかに並べています。
やりがちなNG例
- 安いから、とりあえず媒体に出す:出したあと誰も原稿を触らない。掲載期間が終わって「効果がなかった」で終わります
- 急いでいるから、人材紹介だけに頼る:決まるのは速いですが、翌年また同じ入り口に戻ります
- 採用代行に、意思決定まで預ける:合否の基準がブレて、現場が納得しないまま入社→早期離職、が一番もったいない
- 同時に全部を始める:どれが効いたのか分からなくなり、改善が止まります
外注を検討する前のチェックリスト
- 直近3ヶ月の応募数と、面接に進んだ人数を数えたか
- 応募から最初の連絡までにかかっている時間を測ったか
- 求人票の業務内容が「営業職」で止まっていないか
- 入社後の活躍イメージが求人票から浮かぶか
- 決まらない理由を、媒体のせいにしていないか
- 今回だけの1名か、来期以降も採り続けるかを決めたか
- 採る/採らないの判断を、社内の誰がするか決まっているか
よくある質問
Q. 人材紹介と採用代行は、併用できますか? A. できますし、実際に併用している会社は多いです。おすすめは、母集団づくりと応募後の実務を代行で回しながら、どうしても急ぐ1名だけ紹介を使う形。逆に、紹介に全面的に頼ったまま代行を足すと、役割が重なって費用だけが増えます。
Q. 求人広告と採用代行、どちらから始めるべきですか? A. 応募がまったく来ていないなら求人広告から、応募は来ているのに面接まで進まないなら代行からです。判断の分かれ目は「応募数」ではなく「応募から面接に進んだ率」を見てください。ここが低いときは、媒体を足しても改善しません。
Q. 採用代行に頼むと、社内には何も残りませんか? A. 契約の仕方によります。求人票の型、スカウトの送り先の基準、応募後の連絡フローを共有してもらえるなら、それは社内に残る資産です。逆に、何をどう動かしているかが見えない形だと、契約が切れたときに元へ戻ります。契約前に「何が手元に残るか」を聞いてみてください。
Q. 費用を一番抑えられるのはどれですか? A. 単年で一番安く見えるのは求人広告ですが、決まらなければ1人あたりの単価は跳ね上がります。安さで選ぶより、「決まるところまで行けるか」で選んだほうが、結果的に安く着地します。
最後に
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
冒頭の「もう、社内だけでは回らないんですよね、、」に戻ります。その感覚は正しいです。売買仲介の採用は、片手間で回せるほど甘くありません。
ただ、外に出す前にひとつだけ。外注は、詰まっている場所に当てないと効きません。 応募が来ないのか、決まらないのか、手が足りないのか。ここを見極めるところまでは、社長にしかできない仕事です。
まずは直近3ヶ月の応募数と、面接に進んだ人数を数えてみてください。その2つの数字が並んだ時点で、選ぶべき選択肢は、たぶんもう決まっています。
売買仲介の採用の全体像は、売買仲介営業の採用 完全ガイドにまとめています。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。