こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、施工管理の採用の最後に出てくる「紙」のお話をしたいです。労働条件通知書ですね。
こういう進め方、していませんか。
「面接の夜に電話で『ぜひ来てほしい』と伝えた」
「条件の書面は、入社日が決まってから事務方が出すことになっている」
「求人票には『勤務地:本社および各現場』と書いてある。細かいことは入ってから話せばいい」
わかります。でも、入社後に「聞いてた話と違う」が生まれるかどうかの分かれ目は、この1枚なんです。
労働条件通知書の書き方、先に結論です
労働条件通知書は、労働基準法15条で書面での明示が決まっている労働条件を書く書類です。書き方の答えは3つ。書面が必要な項目を漏らさない、2024年4月からの「変更の範囲」を雇入れ直後と分けて書く、内定を伝えるときに一緒に渡す。
そのうえで、求人票・面接・通知書の中身をそろえること。施工管理なら、書面がぼやけやすい5か所(就業場所・業務・固定残業代・休日・手当)を先に詰めることです。
- 内定は、判例上、労働契約が成立したと扱われることがある
- 2024年4月から、求人票の段階でも「変更の範囲」の明示が必要になった
- 契約を結ぶときに明示した条件が事実と違えば、入社した人はその場で契約を解除できる
Jingasが関わった採用でも、内定から条件の書面が届くまでの空白で、候補者が迷ったり辞退したりする場面があります。入社後に、書面や面接で聞いていた話と違うと分かって辞めた人の実例もあります。
労働条件通知書とは?雇用契約書・求人票との違い
労働条件通知書は、会社から渡す明示の書面で、法律上は本人の署名は求められていません。雇用契約書は合意を示す書面ですが、契約自体は合意で成立するので、作成は法律上の義務ではありません(内容をできる限り書面で確認するよう求める規定はあります。労働契約法第4条第2項)。兼用して1枚にするなら、書面が必要な項目を必ず入れてください。
| 書類・場面 | 根拠 | いつ | 何を明示するか |
|---|---|---|---|
| 自社の求人票・募集要項 | 職業安定法第5条の3第1項 | 自社で募集するとき | 業務・賃金・労働時間などの労働条件(変更の範囲を含む) |
| ハローワーク・紹介会社への求人票 | 職業安定法第5条の3第2項 | 求人を申し込むとき | 同上 |
| 面接などで条件が変わったとき | 職業安定法第5条の3第3項 | 変更が決まったとき(速やかに) | 変更・特定・削除・追加する業務の内容や条件(書面等で) |
| 労働条件通知書 | 労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条 | 労働契約の締結に際し | 書面が必要な項目+定めがあればその他の事項 |
出典:e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の3、同法施行規則第4条の2、「労働基準法」第15条、同法施行規則第5条、「労働契約法」第6条。厚生労働省リーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」
内定で契約は成立する?内定後に条件を下げられない理由
最高裁は、内定の実態は多様なので事実関係に即して判断するとしたうえで、大学卒業予定者の事案で、内定通知により解約権を留保した労働契約が成立したと判断しました(最高裁 昭和54年7月20日判決)。中途採用にそのまま当てはまるとは限らず判断が分かれうるので、成立している前提で動くのが安全です。
なので、「月給を2万円下げたい」は一方的には通りません。変えるには本人との合意が要ります(労働契約法第8条。就業規則の変更なら第9条・第10条の合理性と周知の条件)。
労働条件通知書の記載事項は?書面が必要な項目と、定めがあれば書く項目
条文の話が続きますが、ここが決まっていないと書きようがないんですよね。
| 区分 | 記載事項 | 書面が必要か |
|---|---|---|
| 必ず明示 | 労働契約の期間 | 必要 |
| 有期で更新がある場合 | 更新の基準(通算契約期間・更新回数の上限があればその上限) | 必要 |
| 必ず明示 | 就業の場所・従事すべき業務(変更の範囲を含む) | 必要 |
| 必ず明示 | 始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩、休日、休暇、交替制の就業時転換 | 必要 |
| 必ず明示 | 賃金の決定・計算・支払の方法、締切り・支払の時期 | 必要 |
| 必ず明示 | 昇給 | 不要(口頭でも可) |
| 必ず明示 | 退職(解雇の事由を含む) | 必要 |
| 定めをする場合 | 退職手当(適用範囲・計算・支払時期)、賞与など臨時の賃金、最低賃金額、作業用品などの負担、安全衛生、職業訓練、災害補償・業務外の傷病扶助、表彰・制裁、休職 | 不要 |
出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条第1項・第3項。※区分の言い方は記事内の整理です。
書面が必要なのは何項目?
無期契約なら、上の表の「必要」のうち更新の基準を除いた5つです。更新がありうる有期契約は、更新の基準を足して6つ。無期転換申込権が生じる契約では、無期転換の申込みと転換後の労働条件も書面で明示します(労働基準法施行規則第5条第5項・第6項)。パート・有期は、次のパートタイム・有期雇用労働法第6条の文書事項も加わります。
年収と手当の見せ方は施工管理の年収・資格手当、損しない見せ方にまとめました。
パート・契約社員で足す項目は?
昇給・退職手当・賞与の有無と相談窓口を、文書の交付などで明示します。2026年10月1日から、ここに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨が加わりました(2026年10月1日施行。違反は10万円以下の過料。出典:厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」)。
労働条件の明示は2024年4月から何が変わった?「変更の範囲」の書き方
現場が動く施工管理ほど、悩む欄ですよね。
2024年4月の改正で加わった4項目は?
- 就業場所・業務の変更の範囲(全契約)
- 更新上限の有無と内容(有期契約)
- 無期転換を申し込める機会(申込権が生じる更新時)
- 無期転換後の労働条件(同上)
出典:厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」
「変更の範囲」とは?
厚生労働省は、変更の範囲を、雇入れ直後にとどまらず将来の配置転換など今後の見込みも含めた、契約期間中の変更の範囲と説明しています(出典:厚生労働省リーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」)。施工管理なら、次の現場も含め、どのエリアまで動きうるかを書く欄です。
求人票でも必要で、書ききれなくても原則、面接などで最初に接触する時点までに全部を明示します(出典:同リーフレット)。
勤務地・業務に限定がない会社は、どう書く?
限定がない場合は、すべての就業場所・業務を変更の範囲に含める必要があります。厚生労働省のパンフレットは「会社の定める○○」か一覧表の添付を示し、できる限り範囲を明確にし、労使で認識を共有することが重要です、としています(出典:厚生労働省パンフレット「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」)。たとえば「(変更の範囲)会社の定める営業所・現場」です。
勤務地を一部に限定する会社は、どう書く?
同じパンフレットは、一部に限定がある場合の例に「(雇入れ直後)豊橋(変更の範囲)愛知県内」を挙げ、範囲を明確にするよう求めています。
実際に動かす範囲が県内だけの会社なら、「(変更の範囲)◯◯県内の当社施工現場」と書けます。不動産の店舗なら「◯◯県内の当社店舗」です。書面の範囲の外に配置するなら、本人の同意を得て条件を変える話になります(労働契約法第8条)。
出張や応援は「変更の範囲」に入る?
現場に当てはめると、次の現場への配属のように通常想定される異動先は変更の範囲に含みます(配置転換先は含まれる。出典:同パンフレット)。臨時的な応援業務や出張、研修など、一時的な変更先は含みません。
施工管理の労働条件通知書の書き方は?ズレる5項目のBefore/After
ここからは、候補者の側から読みにくい所の話です。
この記事では、現場が動く・休日が工程で動く・手当が多いという施工管理の特徴から、書面がぼやけやすい5か所を選びました。記入例はすべて記事内で作成した目安です。
①就業の場所と変更の範囲の書き方
| 書き方 | |
|---|---|
| Before(NG) | 勤務地:本社および各現場 |
| After(OK) | (雇入れ直後)◯◯市の△△工事現場(変更の範囲)当社が施工を請け負う◯◯県内および隣県の現場、本社 |
※「◯◯県内および隣県」は、実際に動かす範囲がそこまでの場合の書き方です。
動かす可能性がある所は、全部入れてください。狭く書くと、その外の現場への配置は、書面と違うことになります。入社前の伝え方は施工管理の離職率、高いのは高卒の若手へ。
②従事すべき業務と変更の範囲の書き方
| 書き方 | |
|---|---|
| Before(NG) | 業務内容:施工管理 |
| After(OK) | (雇入れ直後)建築施工管理(工程・品質・安全・原価の管理、写真整理、書類作成)(変更の範囲)当社が行う施工管理業務全般および関連する積算・技術補助業務 |
※変更の範囲は、実際に任せる可能性がある業務で決めます。
積算や営業同行を頼む可能性があるなら、それも変更の範囲です。
③固定残業代の書き方
厚生労働省は、募集時(求人票)の記載例として、固定残業代について次の3点を示しています(出典:厚生労働省リーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」)。
- 基本給◯◯円(固定残業代にあたる手当を除く額)
- ◯◯手当(時間外労働の有無に関わらず、◯時間分の時間外手当として△△円を支給)
- ◯時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
通知書の賃金欄も同じ形で書けば、求人票と書面の中身がそろうわけです。
建設業も2024年4月から時間外労働の上限規制の対象です(建設業の猶予は労働基準法第139条第2項の経過措置で令和6年3月31日に終了)。特別条項を結ばない場合、36協定で延ばせるのは月45時間・年360時間、1年単位の変形労働時間制(対象期間3か月超)なら月42時間・年320時間です(同法第36条第4項)。後半の記入例の会社は後者です。
特別条項でも年720時間以内、単月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内です(同条第5項・第6項)。
④休日と土曜出勤の書き方
平日だけで週40時間になる会社が土曜にも出勤させるなら、主な方法は次の2つです(ほかの方法もあります)。やり方1は、1年単位や1か月単位の変形労働時間制を使う。やり方2は、使わずに週40時間を超えた分を時間外労働として割増賃金で払う(36協定が前提)。週休2日の土曜は法定外休日なので、休日割増35%ではなく、週40時間を超えた分に時間外25%がかかります(労働基準法第35条・第37条、割増賃金令)。
やり方2で振替休日を使うなら、同じ週の中で振り替えれば週40時間を超えません。
| 書き方 | |
|---|---|
| Before(NG) | 休日:日曜、その他会社カレンダーによる |
| After(OK・やり方1:変形労働時間制) | 1年単位の変形労働時間制。休日は年間カレンダーによる(日曜日・祝日・夏季・年末年始ほか、土曜日は年間カレンダーで指定)。年間休日◯日 |
| After(OK・やり方2:割増で払う) | 休日:土曜日・日曜日・祝日、夏季・年末年始。年間休日◯日。工程により土曜出勤あり(月◯回程度)。週40時間を超えた分は割増賃金を支給 |
| やり方2に添える振替休日 | 休日に出勤させる場合は、あらかじめ同じ週の中の別の日を休日に振り替える(就業規則に振替の定めがあることが前提) |
※根拠は労働基準法第32条の4(1年単位・労使協定の届出が必要)、第32条の2(1か月単位)、第36条。
求人票の休日欄は、施工管理の求人票、休日欄に「4週8閉所」とだけ書いて損をしていませんかが参考になるはずです。
⑤資格手当・現場手当の書き方
| 書き方 | |
|---|---|
| Before(NG) | 資格手当あり |
| After(OK) | 1級建築施工管理技士 月◯円、2級 月◯円(資格証の写しを提出した月の翌月から支給)。現場手当 月◯円(現場常駐の月に支給)。遠方の現場に配属となる場合は、宿舎を会社が用意し、赴任時の交通費を支給 |
※現場手当の支給条件は、自社の規程に合わせます。
金額と支給の始まりまで書いてください。
不動産営業の歩合は、どう書く?
通知書には、歩合の計算方法を書きます。施行規則の「賃金の決定、計算及び支払の方法」にあたるからです。たとえば「歩合給=◯月◯日〜◯日に入金した仲介手数料×◯%、翌月◯日払い」。
通知書に書くのは計算方法です。平均年収などの実績は、求人票やオファー面談で見せます。
出来高払制(歩合)で働いてもらう場合も、労働時間に応じた一定額の保障給を決めておく必要があります(労働基準法第27条)。最低賃金も下回れません。
提示の仕方はオファー面談で「想定年収800万」とだけ伝えていませんかも参考になります。
労働条件通知書はいつ渡す?内定と同時に出すべき理由
内定から書面が届くまでの空白で、候補者は「期待されていない」と感じることがあります。書類選考の結果が1週間後に届いて辞退された話と、同じ構造なんですよね。
速さの理由は、書面が遅いこと自体が「求められていない」というメッセージになることです。内定の連絡は即日〜2営業日が目安で、書面もこれに合わせて出します(不動産営業の選考、遅いだけで辞退されます)。建築施工管理技術者の有効求人倍率は8.62倍です(出典:厚生労働省 job tag「建築施工管理技術者」令和7年度)。
書き方の姿勢は2つ。透明性として、土曜出勤のように回数が動くものは「月◯回程度」と幅で書く。そして入社前フォロー(週1回の連絡)で、書面の中身を一緒に確かめます。
法律の側でも、明示は「労働契約の締結に際し」行うものです(労働基準法第15条第1項)。内定時に渡せば、「契約したのに書面がない」状態を避けられます。
メール・PDF・LINEで送ってもいい?
本人が希望すれば、FAXや電子メール等で明示でき、電子メール等は本人が出力して書面を作成できるものに限られます(労働基準法施行規則第5条第4項)。厚生労働省の通達は、この「電子メール等」にLINEやFacebook等のSNSメッセージ機能等が該当するとし、SMSなどは例外的な手段としています。あわせて、次の3点を望ましいとしています(出典:平成30年12月28日 基発1228第15号)。
- 労働条件通知書に記入し、メール等に添付して送る
- 送る前に、受信拒否などの設定になっていないかを確かめる
- 保存期間が限られるサービスなら、本人に出力して保存するよう伝える
控えは何年保存する?
控えは退職日から3年保管してください(法律上は5年、当分のあいだ3年)。在籍中は捨てません。
※労働基準法第109条・第143条第1項、労働基準法施行規則第56条第1項第3号。
書いた条件が事実と違ったらどうなる?罰則と即時解除
候補者対応が雑なことは、私がエージェント時代に「紹介したくない」と感じた会社の特徴の一つでした。
事実と違えば、入社した人はすぐに辞められる
労働基準法第15条は、契約を結ぶときに明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除でき(第2項)、就業のために住居を変更した労働者が14日以内に帰郷するときは、使用者が必要な旅費を負担する(第3項)と定めています。
遠方の現場のために転居してもらう採用では、第3項が現実の話です。
明示しなかった場合の罰則は?
第15条第1項と第3項の違反は、30万円以下の罰金です(同法第120条第1号)。
法律より先に起きることは?
エージェントの優先順位は「内定が出る率×承諾率×選考スピード×単価」の掛け算で決まる、と私は書いてきました。書面が出てこない、面接の話と違う、は承諾率と選考スピードの両方にかかわります(この不動産会社には「紹介したくない」瞬間)。
労働条件通知書のテンプレートは?厚労省のモデル様式の使い方
ひな形は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーにある、2026年10月1日以降の様式を使ってください。一般労働者用(PDF・Word)のほか、建設労働者用もあります。
施工管理の正社員の、主な欄の記入例です。
| 欄 | 施工管理の記入例(正社員) |
|---|---|
| 契約期間 | 期間の定めなし(試用期間3か月。試用期間中の条件は本採用後と同じ。違う場合は期間中と期間後の両方を書く) |
| 就業の場所 | (雇入れ直後)◯◯市の△△工事現場(変更の範囲)当社が施工を請け負う◯◯県内および隣県の現場、本社 |
| 従事すべき業務 | (雇入れ直後)建築施工管理(工程・品質・安全・原価の管理、写真整理、書類作成)(変更の範囲)当社が行う施工管理業務全般および関連する積算・技術補助業務 |
| 始業・終業 | 1年単位の変形労働時間制。始業8時00分・終業17時00分、休憩60分。所定時間外労働あり |
| 休日 | 年間カレンダーによる(日曜日・祝日・夏季・年末年始ほか、土曜日は年間カレンダーで指定)。年間休日◯日 |
| 休暇 | 年次有給休暇 6か月継続勤務で10日(全労働日の8割以上出勤の場合)。その他の休暇 有給(慶弔休暇) |
| 賃金 | 基本給◯円(固定残業手当を除く額)、固定残業手当◯円(◯時間分。◯時間を超える時間外労働分は追加で支給)、資格手当(1級建築施工管理技士 月◯円・2級 月◯円、資格証の写しを提出した月の翌月から)。割増賃金率 時間外25%以上(月60時間超は50%以上)・所定超◯%、法定休日35%以上・法定外休日◯%、深夜25%以上。締切日 毎月◯日、支払日 毎月◯日、口座振込。労使協定に基づく賃金支払時の控除 無 |
| 昇給・賞与・退職金 | 昇給 有(毎年◯月、勤務成績による)/賞与 有(年2回、業績により支給)/退職金 有(勤続◯年以上) |
| 退職 | 定年制 有(◯歳)、継続雇用制度 有(◯歳まで)、創業支援等措置 無。自己都合退職は◯日以上前に届け出。解雇の事由は就業規則第◯条 |
| その他 | 社会保険の加入状況(厚生年金・健康保険)、雇用保険の適用 有。遠方の現場に配属となる場合は、宿舎を会社が用意し、赴任時の交通費を支給 |
※モデル様式の欄をもとにした例です。試用期間中と期間後で条件が違う場合、求人票などでは両方を示す決まりです(職業安定法施行規則第4条の2第6項)。書面が必須なのは賃金の決定・計算・支払の方法で、昇給は書面でなくてもかまいません(労働基準法施行規則第5条第3項)。
※割増率は労働基準法第37条第1項と割増賃金令(時間外25%・休日35%)、同項ただし書(月60時間超50%)、同条第4項(深夜25%)によります。月60時間超の50%は中小企業も2023年4月から適用です(出典:厚生労働省リーフレット)。年次有給休暇は同法第39条。
※管理監督者として採る場合、労働時間・休憩・休日の規定は適用されませんが(同法第41条第2号)、深夜の割増賃金は支払う必要があります(出典:厚生労働省パンフレット「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」)。
不動産の店舗(シフト制)なら、時間と休日の欄はこう書きます。
| 欄 | 不動産店舗の記入例 |
|---|---|
| 始業・終業 | 交替制。A番 9時30分〜18時30分、B番 10時30分〜19時30分、休憩60分 |
| 休日 | 毎週水曜日、ほか週1日(シフトにより指定)。年間休日◯日 |
※モデル様式の記載要領は、交替制ならシフトごとの始業・終業の時刻を書くよう求めています。
有期契約のパート(現場事務など)には、次の欄も埋めてください。
| 欄 | 有期・パートの記入例 |
|---|---|
| 契約の更新 | 更新する場合があり得る。契約期間満了時の業務量、勤務成績・態度により判断する。更新上限 有(通算契約期間◯年まで) |
| 昇給・賞与・退職金 | 昇給 有(毎年◯月、勤務成績による)/賞与 無/退職金 無 |
| 待遇の相違の説明 | 正社員との待遇の相違(内容・理由)等の説明を、次の窓口に求めることができる。総務部 ◯◯(連絡先 ◯◯) |
| 相談窓口 | 雇用管理の改善等に関する相談窓口 同上 |
| 無期転換(通算5年を超える契約の場合) | 本契約期間中に申し込めば、末日の翌日(◯年◯月◯日)から無期労働契約に転換。労働条件の変更(無・有(別紙)) |
※無期転換の行は労働基準法施行規則第5条第5項・第6項によります。
最初の契約より後に更新上限を新たに設けたり短くしたりするときは、前もって理由を本人に説明します(改正雇止めに関する基準第1条。出典:同パンフレット)。
NG例:やりがちな進め方3つ
どれも、候補者対応の話です。
NG①:内定は口頭、書面は入社日が決まってから
この空白のあいだ、相手は条件を書面で確かめる手段がありません。承諾が揺れる理由を、会社のほうで作ってしまっています。
NG②:求人票・面接・通知書が食い違っている
たとえば、求人票は媒体の担当者、面接は現場の所長、書面は総務。三者が別々に動くと、ズレが出ます。求人票と同時に通知書の下書きも作れば防げます。
NG③:面接で条件が動いたのに、書面を出し直していない
「経験を見て、月給を1万円上げます」も条件の変更です。求人票などで明示した条件を変えるときは、変更内容の明示が必要です(職業安定法第5条の3第3項)。変更の明示は、書面の交付(本人が希望すればメール等)で行う決まりです(同条第4項、同法施行規則第4条の2第4項)。
労働条件通知書のチェックリスト:出す前に見る12項目
自社の通知書で確かめてください。
- 書面が必要な項目が全部入っている(有期・パートは追加の項目も)
- 就業の場所が「雇入れ直後」と「変更の範囲」に分けて書いてある
- 変更の範囲から、現場がどのエリアまで動き得るかが読み取れる
- 従事すべき業務も「雇入れ直後」と「変更の範囲」に分けて書いてある
- 施工管理以外に任せる可能性のある業務が、変更の範囲に含まれている
- 固定残業代がある場合、基本給・何時間分でいくらか・超過分は追加支給、の3点が書いてある
- 土曜出勤の有無と、振替休日を使う場合の振り替え方(同じ週の中で)が書いてある
- 土曜出勤の分を、変形労働時間制で扱うのか、割増賃金で払うのかが書いてある
- 年間休日の日数が数字で入っている
- 資格手当・現場手当が、金額と支給の条件まで書いてある
- 遠方の現場に入る場合の宿舎・交通費の扱いが書いてある
- 求人票・面接で話した内容と、この1枚の中身が一致している
先に手をつけるのは、最初の1つ、変更の範囲の4つ、最後の1つです。最後の1つは、即時解除にかかわるからです。
よくある質問
Q. 内定通知書と労働条件通知書は、別々に出す必要がありますか?
A. 内定通知書は法律上の書類ではありません。まとめるなら、書面が必要な項目がすべて入っているかを確かめてください。
Q. 現場が決まっていない段階で採用します。就業場所はどう書けばいいですか?
A. 「(雇入れ直後)」には、最初に入る予定の現場か、最初に所属する事業所を書きます(記事内の目安です)。「(変更の範囲)」は上の章の書き方のとおりです。
Q. 2024年4月1日より前に労働契約を結んだ社員にも、変更の範囲を書いた通知書を出し直す必要がありますか?
A. 基準は入社日でなく契約を結んだ日です。改めて明示する必要はありませんが、再度の明示は望ましい取組とされています。有期契約は更新時に新ルールで明示します(出典:厚生労働省「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」1-1)。3月以前に締結して4月入社なら旧ルールです(同1-2)。
Q. 内定のあとで、条件を変えることはできますか?
A. 内定で労働契約が成立したと扱われる場合、一方的には下げられません。合意のうえで書面を出し直してください。上げる場合も同じです。
Q. 正直に書くと、条件が見劣りして承諾が減りませんか?
A. 減ることはあると思います。それでも、施工管理の人材紹介に200万円台を払っている会社もあり、入社後に辞められれば、その費用も育成の時間も戻りません(参考:人材紹介に200万円払う前に、施工管理の採用でやるべきこと)。
最後に
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。お疲れ様です、、。
お見合いでいえば、気持ちを伝えたあとに、暮らしの条件をきちんと確かめ合う場面なんですよね。ここを口約束のまま進める人は、いませんよね。
書面は、正直に・速く出して、書いたことを守る。この当たり前を続ける会社に、人が残ると信じています。
次は入社日までの話です。施工管理の内定辞退を防ぐクロージングと、入社日が2〜3ヶ月先になる前提の設計も、あわせて読んでいただけたら嬉しいです。
自社だけで大変なら、人の手で伴走します(基本料金は月額10万円)。まずは無料相談で、求人票・面接・通知書の食い違いを一緒に見ます。