こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
「やっと採れた施工管理の若手が、また早い時期に辞めてしまった」
施工管理を採っている会社の社長や人事の方で、こんな悩みを抱えてこの記事にたどり着いた方もいると思います。お疲れ様です、、。
今日は、施工管理の離職率を公的な数字で正しく読むところから始めて、若手が辞めない採用の段階と初月の設計までお話ししたいです。
先に一つだけ言っておくと、新卒どうしで比べたとき、建設業で全産業より離職率が高いのは高卒で入った若手。大卒は、むしろ全産業より低いんですよね。
施工管理の離職率は何%? 単独の数字は無く、高いのは高卒の若手
施工管理だけの公的な離職率はありません。厚生労働省の建設業の数字で見ると、新卒3年以内の離職率は高卒41.4%・大卒30.5%(令和4年3月卒)。全産業は高卒37.9%・大卒33.8%なので、高いのは高卒で入った若手です。
元になる公的な数字を、一つずつ確かめていきます。
施工管理単独の離職率が公的統計に無い理由
厚生労働省が公表している離職の統計は、「建設業」のように産業で区切った表です。新卒の離職状況も雇用動向調査も、離職率は産業別に出ていて、施工管理という職種の離職率の表はありません。
だから、施工管理の離職率を公的な数字で語るときは、施工管理が働く建設業の数字で代えるのが一番近い方法です。この記事でも、建設業の数字で話を進めます。
建設業で働く人には職人さんや事務職も含まれます。施工管理そのものの数字ではない、という前提で読み進めましょう。
建設業の新卒3年以内の離職率と、最新の1年目の離職率
まず、若手の数字です。厚生労働省は毎年、新卒で就職した人が3年以内にどれだけ辞めたかを、産業別に公表しています。
| 3年以内の離職率(令和4年3月卒) | 建設業 | 全産業(調査産業計) | 差 |
|---|---|---|---|
| 高卒 | 41.4% | 37.9% | 建設業が3.5ポイント高い |
| 短大等卒 | 39.7% | 44.5% | 建設業が4.8ポイント低い |
| 大卒 | 30.5% | 33.8% | 建設業が3.3ポイント低い |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」令和7年10月24日公表の産業別表(高卒・短大等卒・大卒)。
同じ公表には、もっと新しい卒業年の1年目の数字も入っています。
| 最新の1年目の離職率(令和6年3月卒) | 建設業 | 全産業(調査産業計) | 差 |
|---|---|---|---|
| 高卒 | 18.1% | 16.6% | 建設業が1.5ポイント高い |
| 短大等卒 | 16.2% | 17.8% | 建設業が1.6ポイント低い |
| 大卒 | 8.9% | 10.1% | 建設業が1.2ポイント低い |
出典:同じ公表の産業別表から、令和6年3月卒の就職者数と1年目までの離職者数で計算(令和7年6月時点で把握した数字。高卒の建設業は就職者12,147人のうち2,195人)。
高卒で建設業に入った人は、10人いれば4人が3年以内に辞めています。大卒は全産業より低いものの、それでも3割です。
前の年(令和3年3月卒)の建設業は高卒43.2%・大卒30.7%でした。少し下がってはいますが、高卒が全産業を上回る形は変わっていません。
全年齢の離職率は全産業より低い
次に、中途の人も含めた全年齢の数字です。こちらは厚生労働省の雇用動向調査で見ます。
| 区分(2025年) | 建設業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 離職率 | 8.7% | 13.7% |
| 離職率(一般労働者=パートを除く) | 7.9% | 11.4% |
| 入職率 | 10.4% | 14.7% |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」令和8年8月31日公表、表4-2。常用労働者5人以上の事業所が対象。離職率=1年間の離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100。
全年齢で見ると、建設業は全産業より5ポイント低い。前の年(2024年)の建設業は10.0%でした。
ただし、この全年齢の率は1年間の数字で、新卒の3年間の累積の率とは並べられません。若手が高いかどうかは、新卒どうしの比較(高卒41.4%対37.9%)だけで見るのが筋です。
会社の規模で離職率はどう変わるか
もう一つ、中小の建設会社の社長に見てほしい数字があります。新卒3年以内の離職率を、事業所の規模別に並べたものです。
| 事業所規模 | 高卒・3年以内 | 大卒・3年以内 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 63.2% | 57.5% |
| 5〜29人 | 54.6% | 52.0% |
| 30〜99人 | 45.2% | 41.9% |
| 100〜499人 | 36.7% | 33.9% |
| 500〜999人 | 29.9% | 31.5% |
| 1,000人以上 | 26.3% | 27.0% |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」。※全産業の数字で、建設業だけの規模別ではありません。
規模が小さいほど、新卒の3年以内の離職率は高くなっています。ただ、統計が示しているのは「小さい事業所ほど高い」という事実までです。理由までは書かれていません。
ネットの「施工管理の離職率◯%」はどう読めばいいか
検索すると、「施工管理の若手は◯%」「施工管理は離職率が高い」という記事を見かけます。数字を見たら、次の3点を確かめてください。
- 年度:何年3月卒の数字か。毎年10月ごろに新しい年度が出ます
- 対象:新卒3年以内か、全年齢の雇用動向調査か。この2つは別の統計で、桁が違います
- 高卒か大卒か:建設業は高卒41.4%・大卒30.5%で、10ポイント以上違います
出典が書かれていない数字は、社内の資料に使わないほうが安全です。
数字から言えること、言えないこと
統計を読むときは、事実と理由を分けます。2つを混ぜてしまうと、打つ手を間違えます。
言えること:新卒の高卒で全産業より高い
新卒3年以内の高卒では、建設業が全産業を上回る。1年目だけで見ても、高卒は全産業より高い。大卒は3年以内も1年目も全産業より低い数字です。
あわせて、建設業で働く人の年齢を見ると、55歳以上が36.7%、29歳以下は11.7%です(出典:国土交通省「国土交通省の取組について」規制改革推進会議ワーキング・グループ 2025年5月8日 資料1-3。総務省「労働力調査」暦年平均をもとに作成)。若手は、もともと数が少ない層なんですよね。
その少ない若手のうち、高卒で入った人は、全産業より高い割合で最初の3年のうちに辞めている。社長が「また辞めた」と感じるのは、気のせいではありません。
言えないこと:なぜ辞めたのか
新卒の離職の統計には、辞めた理由は入っていません。「建設業は残業が長いから辞める」と言い切る記事もありますが、この表からそこまでは読めません。
だからこそ、自社の若手がどこで辞めたかを、自社で見る必要があります。この記事の後半のチェックリストは、そのための確認表です。
自社の離職率の計算方法
自社の数字は、比べたい統計と同じ式で出すと比べられます。
- 新卒3年以内と比べるなら:ある年に新卒で入った人数のうち、3年以内に辞めた人数の割合
- 全年齢と比べるなら:1年間に辞めた人数 ÷ 1月1日時点の社員数 × 100
社員が少ない会社は、1人辞めるだけで率が大きく動く。だから率よりも、「入社何ヶ月目に、どの現場で辞めたか」を一人ずつ記録しておくほうが打ち手に直結するんです。
若手の施工管理が辞める理由は何か
ここからは、理由の話です。公的な調査で分かることと、求人票と配属の仕組みから言えることを分けて書きます。
公的調査で見る若手が辞める理由
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」は、5人以上の事業所で働く満15〜34歳の若者のうち、学校を出て初めて勤めた会社を辞めた人に、理由を3つまで聞いています。全産業の数字です。
- 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった:28.5%
- 人間関係がよくなかった:26.4%
- 賃金の条件がよくなかった:21.8%
- 仕事が自分に合わない:21.7%
勤続1年未満で辞めた人に限ると、一番高いのは「人間関係がよくなかった」です(出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」)。
施工管理(現場監督)に絞って辞めた理由を聞いた公的調査はありません。厚生労働省の「建設業における雇用管理現状把握実態調査」(令和6年度調査)も、若手が定着しない理由を聞いているのは技能労働者(職人)についてです。
「労働時間・休日・休暇」(28.5%)への打ち手は、このあとの上限規制の節で書きます。
「仕事が自分に合わない」(21.7%)への打ち手として勧めたいのは、どんな現場が中心かを求人票と面接で伝えておくことです。施工管理は配属される現場で仕事の中身が変わるので、次の節で書く仕事の仕組みを先に見せておきます。
「賃金の条件がよくなかった」(21.8%)には、給与の見せ方で手を打てます。建築施工管理技術者の平均年収は679.1万円(平均年齢43.4歳)です(出典:厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」建築施工管理技術者、令和7年賃金構造基本統計調査を加工。2026年10月7日確認)。全年齢の平均で、若手の水準ではありません。
資格手当を含めた年収の書き方は、施工管理の年収・資格手当、損しない見せ方を参考にしてください。
求人票と配属をそろえるには? 施工管理の仕事の仕組みと3つの点
施工管理は、工程・品質・安全・原価の4つを現場で管理する仕事です。仕事の仕組みから、求人票と配属をそろえておきたい点が3つあります。
一つは、現場ごとに条件が変わる仕組みです。施工管理の仕事は現場単位で組まれ、規模・工種・工期は現場ごとに違います。
もう一つは、現場が終われば次の現場へ移る仕組みです。勤務地は、担当する現場に合わせて動きます。
三つめは、休日の形が一律ではないこと。次の節で示すとおり、建設技術者の休日は「4週6休程度」が43.4%で最も多く、「4週8休以上」は21.2%です。求人票に書いた休日と、配属先の現場の休み方が同じかどうかは、先に確かめておく必要があります。
求人票や面接で見えるのは、会社としての平均的な姿です。実際に配属されるのは「特定の現場」です。その現場の姿を求人票と面接で伝えておくと、入社後に「話が違う」と言われる材料が減ります。
労働時間と休日はどうなっているか:2024年4月の上限規制
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。原則は月45時間・年360時間です(出典:厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制」)。
36協定に特別条項を設けた場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内で、月45時間を超えられるのは年6か月までです(出典:厚生労働省 労働基準局「時間外労働の上限規制」説明資料、令和5年6月28日)。災害の復旧・復興の事業では、月100時間未満と2〜6か月平均80時間以内の規定は適用されません。
残業の実績も、公的な統計で見ておきます。
| 月間の平均(一般労働者・2025年) | 建設業 | 調査産業計 |
|---|---|---|
| 総実労働時間 | 164.3時間 | 160.5時間 |
| 所定外労働時間(残業・休日出勤など) | 13.5時間 | 13.2時間 |
| 出勤日数 | 20.0日 | 19.2日 |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」第2表(事業所規模5人以上、一般労働者)。※産業全体の平均で、施工管理だけの数字ではありません。
月の残業は全産業とほぼ同じで、出勤日数は0.8日多い数字です。休日の実態も、公的な資料で確かめておきます。
| 建設技術者個人の休日の取得状況(2024年8月時点) | 割合 |
|---|---|
| 4週6休程度 | 43.4% |
| 4週8休以上 | 21.2% |
出典:国土交通省「令和7年版国土交通白書」第1節コラム「工事現場における土日の一斉閉所(茨城県)」。※建設技術者個人の休日で、現場の閉所日数ではありません。白書のコラムには元になった調査の名前は書かれていません。主な2区分のみ抜粋。
同じコラムでは、茨城県の取り組みも紹介されています。茨城県建設業協会が2019年から県内公共工事の土日一斉休工を始め、茨城県土木部の発注工事での4週8休の実施率は2023年度に約70%に達しました。2024年4月からは、原則すべての工事を4週8休としています。
辞めた若者の理由で一番高かったのは、労働時間・休日(28.5%)でした。ここに手を打つなら、まず現場ごと・人ごとの残業の実績を測ってください。誰が上限に近いかが見えれば、後半の「負担の分け方を確かめる3つの問い」にそのままつながります。
そのうえで、残業と休日は求人票に数字で書いておきましょう。固定残業代がある会社は、若者雇用促進法に基づく指針で、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、③固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨、の3点すべてを明示することになっています(出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」)。年間休日も書き、実績は添える形です。
残業と休日の書き方は、施工管理の求人票、休日欄に「4週8閉所」とだけ書いて損をしていませんかで詳しく書いています。
早期離職を防ぐ結論:入社前・内定後・初月の3か所
答えを先に置くと、若手の早期離職を防ぐために手を入れる場所は3つです。
- 入社前に「現場配属・転勤・残業」の実際を、数字と言葉で伝える
- 内定から入社日まで、連絡を切らさない
- 初月に、小さな成功と職人さんへの紹介を用意し、一人に負担を寄せない
採用の原理として、代表の渡辺は施工管理の採用について「全部一緒よ、施工管理でもそうでなくても」と答えています。この言葉の中身は、求人票の伝え方、連絡の速さ、惹きつけです。
入社前にできる離職対策は? 配属・転勤・残業を正直に伝える
婚活で、会う前にプロフィールを盛りに盛って、当日ガッカリされる。あれと同じ構造ですよね、、。だから定着の第一歩は、求人票と面接で盛らないことです。
求人票と面接で正直に伝える3項目
施工管理で入社前に数字と言葉で伝えたいのは、次の3つ。
- 配属される現場のリアル:どんな規模・工種の現場が中心か。一日の流れはどうか
- 転勤・現場移動の範囲:勤務地がどこまで動く可能性があるか。単身赴任はあるか
- 残業・休日:まず規程(年間休日、4週8休か、固定残業代があれば基本給の額・時間数と金額・超えた分の割増賃金を追加で支払う旨の3点)を書き、そのうえで実績(昨年の月平均残業など)を添える
一つめを「※現場による」で濁すと、入社後に期待と実際の差が出ることもあります。
良い条件なら堂々と、まだ道半ばなら「今こう改善している」と正直に。晒すほうが、結局は信用されるんです。
勤務地・転勤の書き方:Before/After
配属と転勤は、「どこまであり得るか」を求人票で具体的に示しておきます。
2024年4月からは、求人を出す段階で「就業の場所の変更の範囲」「従事すべき業務の変更の範囲」も明示することになりました(出典:厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」、令和5年厚生労働省令第89号)。「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲のことです(出典:厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」)。
- Before(NG):「勤務地:本社および各現場(転勤あり)」
- After(OK):「就業場所(雇入れ直後):◯◯県内の現場。変更の範囲:◯◯県内および隣県の現場。業務(雇入れ直後):施工管理業務。変更の範囲:施工管理業務および会社の定める業務。隣県の現場に入る場合は◯◯手当・宿舎あり。単身赴任が発生する遠方の現場は、本人と相談のうえで決めています。」
Beforeだと、若手には「各現場ってどこ?」「転勤ってどこまで?」が分かりません。
見せておきたいのは、あり得る範囲と、そのときの会社のフォローです。範囲が書いてあれば、実際に現場が動いたときも、面接で聞いた範囲の中の話になります。
この線が自社の求人票で引けているかは、施工管理 求人票セルフ添削チェッカーで確かめられます。転勤・出張の範囲や残業の実態を含む12項目で、伝わっていない点がその場で出てくるはずです。
内定を出す前に、条件を書面でそろえる
面接で話した配属・転勤・残業の話は、労働条件通知書でも同じ内容になっているかを確かめます。2024年4月からは、労働条件通知書でも「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりました(労働基準法施行規則第5条の改正。出典:厚生労働省リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」)。口で言ったことと書面が食い違っていれば、それがそのまま、入社後に会社を信じられなくなる火種です。
面接で辞めそうな人を見抜けるか
面接は、見極めるだけの場ではありません。こちらが選ばれる場として、配属・転勤・残業のリアルを伝える時間にも使ってください。「今日は、うちを志望した理由を聞かせてください」から入ると、その時点で負けが確定します。初対面のお見合いで「私と結婚するメリットは?」と聞くようなものですよね、、。
質問の例は「今回の転職で、何を一番大事にして決めましたか」。返ってきた決め手が、配属・転勤・残業の実際と合うかを見ます。家族や住まいなど、公正採用選考で避けるべき質問はしません。
書面で注意したい項目は、施工管理の内定は、口約束ではなく契約ですにまとめています。面接の質問は、施工管理の面接で「すぐ辞める人」を見抜く質問で詳しく書いています。
内定から入社日までの空白に何をするか
ここで見落とされやすいのが、内定承諾から入社日までの空白です。
エージェント時代の経験則をもとに、承諾後は週1の連絡を勧めています。私が大事にしている候補者体験の5つの要素(選考スピード、連絡の質、面接官の態度、透明性、入社前フォロー)のうち、5つめの入社前フォローにあたる部分です。
建築施工管理技術者の有効求人倍率は8.62倍です(出典:厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」ハローワーク求人統計データ・令和7年度・2026年10月7日確認。※ハローワークに出された求人だけで計算した数字です)。承諾したあとも、他社から声がかかる前提で動きましょう。
連絡の中身は「入社楽しみにしています」「最初の現場はこういう流れです」「困ったら私に連絡くださいね」で十分です。入社日が先になる場合の設計は入社日が2〜3ヶ月先になる前提の設計に、承諾後のフォローは内定辞退を防ぐクロージングに詳しく書いています。
初月の定着策は? 小さな成功と、現場になじむきっかけを作る
無事に入社日を迎えたら、次は初月です。ここで作りたいのは、小さくてもいいから「できた」という感覚と、現場になじむきっかけです。
初月に何を任せるか(週ごとの例)
施工管理は、いきなり一人で現場を回せる仕事ではありません。「一人前になれた=成功」と決めてしまうと、初月は焦りだけが溜まる。だから成功の中身を小さく分けて、前倒しするんです。
- 初週:先輩や所長に同行して、朝礼から一日の流れを最後まで見る
- 2週目:職人さんへの挨拶回りと、簡単な書類・写真整理を任せる
- 3〜4週目:小さな工程の確認を自分で回して、先輩からフィードバックをもらう
※この記事の例です。統計ではありません。
こうして「今日はこれができた」を毎週用意しておけば、一人前までの長い期間も、前に進んでいる感覚が途切れません。
赤ちゃんだって、いきなり走りはしません。ハイハイの段階を、こちらが用意してあげる。それと同じ話です。
現場で孤立させない紹介の一言
先ほどの調査では、入って1年未満で辞めた人の理由は「人間関係」が一番高いものでした。施工管理なら、毎日顔を合わせるのは所長や先輩、職人さんです。
統計が示すのは、1年未満で辞めた人の理由に人間関係が多い、というところまでです。所長が職人さんに「うちの新人の◯◯です、よろしくお願いします」と一言紹介するのは、そこへの手当てになります。技術を教える前に、まず「ここにいていい」と感じさせてあげてください。
未経験で採った人の初月はどう違うか
未経験で採った人は、現場の言葉そのものがまだ分かりません。最初の1〜2週間は「見て覚えろ」ではなく、言葉で説明する時間を意図して取ります(※この期間はこの記事の例です。統計ではありません)。
未経験者に採用の段階で何を伝えておくかは、未経験の施工管理を採る求人票の書き方にNG→OKの実文面で書いています。
一人に負担を寄せない:定着している会社の共通点
代表の渡辺に聞くと、施工管理が定着している会社には、一人への負担を減らしている会社が多かったそうです。
負担が一人に集まる場所はどこか
施工管理は、掛け持ちする現場の数も、一人が見る範囲も、広がりやすい仕事です。
若手を見る先輩の掛け持ちが増えれば、若手が質問できる時間も減る。この記事では、そこを負担の偏りとして見ていきます。
負担の分け方を確かめる3つの問い
次の3つに今の状態を当てはめてみると、偏りが見えます。
- 若手の面倒を見ている先輩は、自分の現場をいくつ掛け持ちしているか
- 若手の質問に答える人が、所長1人に寄っていないか
- 資格の勉強や書類の締切が、特定の人の残業で回っていないか
※この記事の整理です。統計や調査の項目ではありません。
若手が現場になじむことと、負担の分け方はセットです。資格の取得も同じで、支援制度よりも勉強の時間を現場でどう空けるかの話になります。そこは施工管理の資格支援は、お金ではなく時間と現場の話ですで書いています。
NG例:離職を早める関わり方
良かれと思ってやっているのに、離職を早めてしまう関わり方。ここでまとめておきます。
- 入社前に連絡しない:承諾から入社日まで、誰からも連絡が来ない状態になります。週1の連絡を誰がするか決めておく
- 入社後、受け入れの準備なく現場に一人で立たせる:同行や職人さんへの紹介をする人を決めないまま、初日から現場を任せる形です
- 「まずは現場で覚えろ」で説明を省く:若手は「何が分からないかも分からない」状態です。最初のうちは言葉で説明する
- できていない点だけを指摘する:一番揺れている時期に減点だけされると持ちません。まず「できたこと」を言葉にして渡す
- 「最近どう?」で済ませる:「職人さんとのやりとり、詰まってない?」と具体で聞く
- できる若手に現場を次々と足す:期待のつもりが、負担の偏りになります。任せる量は先輩と相談して決める
二つめの「入社後の放置」には、私が見てきた実例があります。賃貸仲介の話で、繁忙期に入社した人がすぐ辞めてしまった会社に共通していたのは「完全放置」でした。教育体制がしっかりしていれば、繁忙期はむしろ経験を積みやすく、立ち上がりが早い。施工管理の会社で確かめた話ではありませんが、受け入れの準備をせずに現場に立たせるのは避けたいところです。
施工管理の若手定着チェックリスト
そのまま社内で使えるように、時系列でまとめました。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 求人票・面接 | 配属現場・転勤の範囲・残業と休日(規程と実績)を数字で伝える |
| 内定〜入社前 | 労働条件通知書を面接の内容とそろえる。週1の軽い連絡 |
| 入社1週目 | 同行で一日の流れを見せる。所長が職人さんに「うちの新人の◯◯です、よろしくお願いします」と紹介 |
| 2〜4週目 | 小さな工程・書類を1つずつ任せ、そのつどフィードバック |
| 1〜2ヶ月目 | 「できたこと」を毎週言葉にして渡す |
| 3ヶ月目以降 | 具体で不安を聞く。先輩の掛け持ちと負担を見直す |
※この記事の内容を時系列にまとめた確認表です。統計ではありません。
あわせて、次の項目にチェックを入れていきます。
- 求人票の勤務地に、転勤・現場移動の範囲と手当が書いてある
- 固定残業代がある場合、①固定残業代を除いた基本給の額、②時間数と金額等の計算方法、③超えた分の割増賃金を追加で支払う旨、の3点を書いている
- 残業は規程を先に書き、実績を添えている
- 内定承諾から入社日まで、誰が週1で連絡するか決まっている
- 初月の週ごとの「できた」が決まっている
- 職人さんに新人を紹介する人が決まっている
- 若手の質問を受ける先輩の掛け持ちが、増えすぎていない
- 辞めた人について、入社何ヶ月目・どの現場だったかを記録している
よくある質問
Q. 施工管理の離職率は、本当に高いのですか?
A. 施工管理だけの公的な離職率は無いので、建設業の数字で見ます。新卒3年以内では高卒41.4%で全産業の37.9%を上回り、大卒は30.5%で全産業の33.8%を下回ります(令和4年3月卒)。高いのは高卒で入った若手です。全年齢の8.7%(2025年)は1年間の率なので、新卒の3年間の率とは並べないでください。
Q. ネットで見る「施工管理の離職率◯%」は信用していいですか?
A. 年度、新卒3年以内か全年齢か、高卒か大卒か、の3点を確かめてください。出典が厚生労働省の統計で、この3点が書いてあれば使えます。出典の無い数字は、社内の資料には使わないほうが安全です。
Q. 転勤や遠方の現場が避けられません。正直に書くと応募が減りませんか?
A. 短期的には減るかもしれません。でも、隠して採って入社後に「話が違う」で辞められると、採用の費用も現場の育成の時間も無駄になります。転勤ゼロを装うのではなく、あり得る範囲と、そのときの手当・宿舎・相談の仕組みまで見せてください。
Q. 初月に一人でできる仕事なんて、施工管理にはありません。成功体験はどう作れば?
A. 成功を「一人前」に固定しないことです。同行を一日やり切った、職人さんに挨拶できた、書類や写真整理を任された。これを毎週の「できた」として先に決めておきます。一人前まで時間がかかる仕事ほど、途中の小さな達成を見える形にするのが大事です。
Q. 現場に出てしまうと、本人と関わる時間が取れません。
A. 長い面談は要りません。週1回、短くてもいいので「今の現場で一番困っていること」を具体的に聞いてください。所長だけに任せず、採用担当や上長が決まった間隔で声をかけ続けることをおすすめします。
Q. 面接で早く辞めそうな人は見抜けますか?
A. 面接は見極めるだけでなく、こちらが選ばれる場でもあります。「今回の転職で、何を一番大事にして決めましたか」と聞き、その決め手が配属・転勤・残業の実際と合うかを見てください。家族や住まい、本籍などは公正採用選考で避けるべき質問なので、聞きません。
Q. 施工管理ならではの辞める理由はありますか?
A. 施工管理に絞って辞めた理由を聞いた公的調査はありません。厚生労働省の建設業の雇用管理の調査も、若手が定着しない理由を聞いているのは職人さん(技能労働者)についてです。なので、辞めた人ごとに入社何か月目か、どの現場だったかを自社で記録しておくのが一番確かな材料になります。
Q. 自社の離職率は、どう計算して比べればいいですか?
A. 新卒と比べるなら「その年に新卒で入った人のうち3年以内に辞めた割合」、全年齢と比べるなら「1年間に辞めた人数÷1月1日時点の社員数×100」です。社員が少ない会社は率が大きく動くので、辞めた人の入社何ヶ月目・どの現場かを記録するほうが役に立ちます。
最後に
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
冒頭の「また早い時期に辞めてしまった」に戻ると、建設業で全産業より高い割合で辞めているのは高卒で入った若手で、会社側で手を入れられる場所は、配属と転勤を正直に伝える・承諾後も週1で連絡する・初月に一人へ負担を寄せない、の3つです。
そして、残る問いは「そもそも若手にどう振り向いてもらうか」です。そこは施工管理が採用できない本当の理由と、応募が来る施工管理の求人票の書き方にまとめています。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。
求人票の勤務地と「変更の範囲」の書き方を一緒に見直し、内定から入社までの連絡の流れも一緒に組み立てます。気になる方は、ご相談ください。