こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、施工管理の選考で起きている、いちばん地味で、いちばん人を落としている詰まりのお話をしたいです。
「応募は来るようになったんです。でも、面接まで行かないんですよ」
施工管理の採用をされている社長から、これを本当によく聞きます。求人票を直して、媒体を見直して、ようやく応募が動き出した。なのに、そこから先が進まない。
お疲れ様です、、。いちばんもったいない詰まり方ですよね。入り口を開けるところまでは全部やったのに、その先の廊下で止まっている。
そして、この話をよく聞いていくと、原因はだいたい同じところにあります。面接の中身ではなく、日程が組めていないんです。
先に結論:施工管理の選考で最初に決めるのは、質問ではなく「枠」
面接の話というと、どうしても「何を聞くか」の話になります。私も見極めの質問については別で書いていますし、大事だと思っています。
ただ、施工管理に限って言うと、その手前に一段あります。
会える枠を先に作らないと、面接そのものが発生しない。
不動産営業の採用でも「選考が遅いと辞退される」という話はよくします。あれは、速く動けば会える前提での話なんですよね。施工管理は、その前提が崩れます。速く連絡しても、相手が現場にいて出られない。日程を出しても、その時間に来られない。
だから施工管理の選考設計は、質問リストからではなく、カレンダーから作ります。ここが売買仲介との一番大きな違いです。
なお、これは「施工管理には特別な必勝法がある」という話ではありません。求人票で伝える、すぐ返す、口説く。効くことそのものは、職種が変わっても動きません。動くのは、それを実行するための時間の作り方のほうです。施工管理は、そこだけが極端に難しい。難しいのに、誰も設計していない。だから、ここを設計するだけで差がつきます。
なぜ会えないのか、構造は3つあります
「気をつけます」で直る話ではないので、まず構造から見ます。
構造①:候補者は、日中ずっと電話に出られない
これがいちばん大きいです。
施工管理の人は、朝礼から始まって、日中は現場を動かしています。重機の音がする場所で知らない番号から着信が鳴っても、出られません。出られたとしても、話せる状況ではないことがほとんどです。
そして、着信履歴だけが残ります。知らない番号の着信履歴は、折り返されません。これはもう、そういうものだと思ってください。
応募直後の初動については、応募が来たあとの24時間が勝負ですに詳しく書きました。そこでもいちばん強調したのが、つながらなかったときにメッセージを残すかどうかでした。残さない架電は、相手にとっては存在しなかったのと同じです。
施工管理では、この取りこぼしが売買仲介よりもさらに大きく出ます。だって、日中に出られる確率がそもそも低いんですから。
構造②:平日昼の面接は、有給を1日使わないと来られない
ここは、意外と会社側から見えていない部分だと思います。
在職中の施工管理の方が、平日の14時に面接へ行こうとすると、どうなるか。現場を抜けるので、基本的には有給を1日取ることになります。半休や時間単位で抜けられればいいのですが、それができるとは限りません。
労働基準法では、年次有給休暇を時間単位で与えるには、その事業場で労使協定を結び、対象になる労働者の範囲や日数(5日以内)を定めておく必要があります(労働基準法第39条第4項)。つまり、時間単位の年休は、どの会社でも当たり前に使えるものではないんです。
さらに、有給は本人が請求した時季に与えるのが原則ですが、法律にはこういうただし書きがあります。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。(労働基準法第39条第5項)
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第39条)
工程が詰まっている現場で、施工管理が1日抜ける。これが「事業の正常な運営を妨げる場合」にあたるかどうかは、個別の判断です。ただ、現実の話として、現場が回らないから休みを出しにくいという状況は普通に起きます。
ここで、ねじれが起きます。人が足りていない会社ほど、そこにいる施工管理は転職を考えます。でも、人が足りていないからこそ、その人は抜けられない。
転職したい人ほど、面接に来られない。
会社側が「平日の日中しか面接できません」と言った瞬間、この層がそっくり落ちます。しかも落ちた理由は、こちらには一切届きません。
構造③:会社側の面接官も、現場にいる
そして、これが厄介なところなんですが、同じ問題が採用する側にも起きています。
施工管理の採用で、最終的に判断するのは所長や部長といった、現場を持っている人であることが多いですよね。その人たちも日中は現場にいます。だから、社内で日程を押さえるのに数日かかる。
候補者も現場、面接官も現場。両方が動けない者同士で日程を合わせようとするから、調整だけで1週間、2週間と溶けていきます。
その間に、候補者は他社の面接を受けています。そして、そちらは日程が組めています。
「土曜は休みだから土曜に面接を」が通じない理由
ここでもう一つ、前提を確認させてください。
「じゃあ土曜に面接すればいいのでは」と思われるかもしれません。方向としては正しいのですが、注意点があります。
候補者の現場が、土曜も動いている可能性が高いんです。
令和7年版の国土交通白書が示している休日の状況では、建設工事全体で4週6休程度が最も多く、4週8休(週休2日)以上を確保できているのは、公共工事で約3〜4割、民間工事では約1割強でした(出典:国土交通省「令和7年版 国土交通白書」。同白書が示す調査時点の数字です)。
つまり、民間工事が中心の会社にいる施工管理の方は、週休2日が取れていない確率のほうが高い。土曜だけ用意して「日程を出しました」と思うのは、少し早いんです。
休日の枠を出すなら、土曜より日曜のほうが確実に空いています。あるいは、土曜と日曜を両方出す。
このあたりの業界全体の数字は、施工管理が採用できない本当の理由にまとめてあります。
だから、枠は1種類では足りません。複数の種類を、最初から並べて出す必要があります。
打ち手①:最初の連絡で、性質の違う枠を3つ出す
ここから具体的な話をします。まず、日程の出し方です。
やりがちなのが、これです。
Before(NG)
面接の日程ですが、来週の水曜14時はいかがでしょうか。ご都合が合わない場合はお知らせください。
悪意はゼロですよね。むしろ丁寧です。でも、これだと1往復で終わりません。合わなければ、また1枠出して、また返事を待つ。その往復のたびに、候補者は現場にいて、返信が翌日以降になります。3往復すれば、それだけで1週間です。
After(OK)
面接の候補日をお送りします。ご都合のよいものを1つお選びください。どれも難しければ、動ける曜日と時間帯だけ教えていただければ、こちらで合わせます。
そのうえで、候補日をこう並べます。
- 9月9日(水)19時30分〜/オンライン(30分)
- 9月13日(日)10時〜/オンライン(30分)
- 9月16日(水)18時〜/◯◯支店(対面・現場からお近くであれば)
大事なのは、枠の数ではなく性質を散らすことです。散らす軸は2つあります。
- 時間帯を2種類:平日の終業後(18時以降)と、休日の午前
- 形式を2種類:オンラインと、対面
上の3枠は、時間帯を2種類、形式を2種類、それぞれ混ぜた組み方です。平日夜を3枠並べても、その時間に動けない人にとっては0枠と同じですし、対面だけで並べても移動時間の分だけハードルが上がります。
そして最後の一文、「動ける曜日と時間帯だけ教えてください」。これを必ず足してください。候補者に「調整のお願い」という宿題を出すのではなく、条件だけもらってこちらが組む。ここが分かれ目です。
在職中の人にとって、日程調整のメールを書くのは、想像以上に面倒な作業なんです。現場で疲れて帰ってきて、丁寧な調整文を考えて送る。そのひと手間で、候補が1社減ります。
打ち手②:電話がつながらない前提で、留守電と文面をセットにする
構造①への対応です。
留守電に何を残すかについては、応募が来たあとの24時間が勝負ですにまとめてあるので、そちらを見てください。要点は、こちらから次の行動を約束して、相手に宿題を出さないことです。
そのうえで、施工管理の場合に足してほしいことが2つあります。
ひとつは、電話と同時に、必ずテキストも送ること。メールでも、応募媒体のメッセージ機能でも構いません。中身は、打ち手①の候補日をそのまま入れます。
電話で口頭で日程を決めようとすると、その電話がつながるまで何も進みません。テキストなら、候補者は移動中や夜に開いて、1タップで返せます。施工管理は「昼につながらない」職種なので、口頭だけに寄せると本当に何日も動かないんです。
もうひとつは、留守電の中で、こちらの受け皿を先に伝えておくこと。「日中は出づらいと思いますので、メール(またはメッセージ)でも候補日をお送りしています。そちらでご返信いただいても大丈夫です」。これを最初の1本に入れておくと、折り返しの電話を待つ時間がまるまる消えます。
なお、連絡そのもののスピード基準(書類は当日から翌営業日、面接の結果は翌日から3営業日)は職種を問わず同じです。詳しくは選考が遅いだけで辞退されますへ。
打ち手③:面接の回数を、1回減らせないか考える
これは、施工管理だからこそ効く打ち手です。
打ち手①のように終業後や休日の枠を出せる会社は、ここは読み飛ばしていただいて大丈夫です。問題は、現場や社内の都合で、どうしても平日の日中しか組めない会社です。
構造②の話に戻ります。平日の日中に面接をやる限り、面接1回につき、候補者は有給を1日使う可能性があります。ということは、面接2回の会社は、有給2日を要求していることになります。
現場が回っていない状況で、1社のために2日抜ける。かなりの覚悟が要ります。そして、その覚悟を最初に払ってくれるのは、たいてい本命の会社です。
なので、聞いていただきたいことがあります。
その2回、本当に2回必要ですか。
一次面接で現場責任者が見て、二次で社長が見る。よくある形ですよね。ただ、両方の面接で何を見ているかを紙に書き出してもらうと、中身がほとんど同じだった、という会社を私は何度も見ています。工種と規模の確認、人柄、続くかどうか。一次で見たことを、二次でもう一度なぞっている。
なぞっているだけなら、1回にまとめられます。まとめる場合の型は、こうです。
- 面接は1回・60分。前半30分は会社と現場の説明、後半30分で見極め
- その場に、最終的に決める人を必ず入れる
- 終わったら、その日のうちに結論を出す
見極めで何を聞くかは、施工管理の面接で「すぐ辞める人」を見抜く質問5つにまとめてあります。ここが決まっていれば、1回60分でも十分に見られます。
そして、どうしても2回必要なら、1回目を終業後のオンライン30分にしてください。有給が要らなくなるのは、オンラインだからではなく、時間帯が就業時間の外だからです。ここは混同しないでください。日中のオンライン面談は、現場にいる人には受けられません。
会社の説明と、お互いの条件のすり合わせだけなら、終業後の30分で足ります。対面は、決める側と決められる側が最後に会う1回に集約する。これで、候補者が払う時間のコストが半分になります。
打ち手④:現場見学を、選考の一部にする
ここは、施工管理の採用が持っている武器の話です。
売買仲介の採用には無くて、施工管理の採用にはあるもの。それが現場です。
会議室で「風通しのいい職場です」と言われるのと、実際の現場を1時間見るのとでは、伝わる情報の量がまるで違います。所長がどう指示を出しているか。職人さんとどう話しているか。朝礼がどんな空気か。候補者が知りたいのは、まさにそこなんです。
そして、これは選考であると同時に、いちばん強い口説きの場になります。面接は口説く場だ、というのが私の持論ですが、施工管理においては現場そのものが最大の口説き文句です。
実務としては、こう組みます。
- 終業後のオンライン面接(30分)で相互に条件を確認
- そのうえで、現場見学(1時間程度)を設定する。候補者が動ける休日や、平日の朝一に寄ってもらう形でもいい
- 見学の場に、一緒に働くことになる所長を出す
ただし、先に社内で決めておいてほしいことがあります。見学であって、作業はさせない。ここは徹底してください。手伝わせた時点で、話が変わってきます。そのうえで、現場に人を入れる以上、ヘルメットや安全靴などの装備をどうするか、万一のときの扱いをどうするかは、事前に整理しておいてください。ここが曖昧なまま「じゃあ明日来てください」とやると、いちばん困るのは受け入れる現場です。
あと、見せる現場は選んでください。いちばんきれいに回っている現場を見せたくなりますが、私は平均的な現場を見せるほうがいいと思っています。入社後に「聞いてた話と違う」になるのが、施工管理でいちばん多い辞め方だからです。入社前後のギャップについては、施工管理の若手が早期離職する構造に書きました。
やりがちなNG、5つ
ここまでの裏返しですが、まとめておきます。
- 面接日程を1枠ずつ出す。 往復のたびに数日溶けます。3枠を性質を散らして一度に出してください。
- 平日の日中しか用意しない。 転職を本気で考えている在職者ほど、この時間に動けません。
- 架電でメッセージを残さない。 知らない番号の着信履歴は折り返されません。
- 候補者に日程調整の宿題を出す。 「ご都合をお知らせください」で止めず、動ける曜日と時間帯だけもらってこちらが組む。
- 面接に出るのが、決められない人だけ。 所長や工事部長が同席せず、後日その人の予定を押さえ直す。この形にした瞬間、日程がもう1回発生します。
どれも、悪気があってやっていることではないんですよね。だからこそ、意識して型を変えないと直りません。
そしてもう一つ。人材紹介を使っている会社は、日程調整が遅いだけで推薦そのものが静かに減ります。エージェントは「御社は日程が組めないので推薦を止めます」とは言いません。ただ、良い候補者が出たときに頭に浮かぶ順番から、静かに外れていくだけです。
施工管理は、有資格者や現場責任者クラスになると、紹介で決めるときの手数料が200万円台になることもある職種です。それだけのお金を払う覚悟をしていても、そもそも推薦が来なくなったら、払う機会すら回ってこない。日程が組めないというのは、そういう詰まり方をします。
施工管理の選考日程 チェックリスト
そのまま自社に当ててみてください。
- 電話と同時に、テキスト(メールまたは媒体のメッセージ)でも候補日を送っている
- 留守電の中で「メッセージでの返信でも大丈夫です」と受け皿を先に伝えている
- 候補日を、一度に3つ以上、最初の連絡で出している
- その候補日に、就業時間の外(終業後・休日)の枠が入っている
- 休日の枠を出すとき、土曜だけで済ませていない
- 「動ける曜日と時間帯だけ教えてください」と、調整の手間をこちらが引き取っている
- 平日の日中しか組めないなら、面接を1回にまとめられないか検討した
- 面接の場に、所長・工事部長など最終的に決める人が入っている
- 現場見学を選考に組み込めないか、社内で一度は検討した
- 見学は作業をさせない前提で、装備の扱いを事前に決めてある
先に潰すなら、上の2つです。今日の午後から、お金をかけずに変えられます。次に来た1人で、そこだけ試してみてください。
よくある質問
Q1. 休日に面接をやると、こちらの社員に休日出勤させることになります。
そうなんですよね。ここは正直に、負担の話として社内で決めてください。私からの提案は、休日を毎週開けるのではなく、月に1日だけ「採用の日」を決めて、そこに面接をまとめる形です。候補者には「今月は9月13日(日)に面接の日を設けています」と伝えて、そこに寄せてもらう。担当者の休日出勤も月1日で済みますし、代休も出しやすい。
毎週開けようとすると、まず続きません。続かない形を入れるくらいなら、月1日でいいので必ずあるほうが強いです。決まった日があると、こちらから候補者に提示するときも迷いません。
Q2. オンライン面接だと、人となりが分からない気がします。
わかります。ただ、対面かオンラインかで見極めの精度が変わるのは、私の実感では最後の1回だけです。条件のすり合わせや、これまでやってきた工種・規模の確認は、オンラインでも精度は落ちません。むしろ、オンラインを挟んだほうが対面の1回に集中できるようになります。全部を対面でやろうとして会えないより、会える形を作るほうが先だと思っています。
Q3. 応募者から「日中は電話に出られません」と言われたら、どう返すのが正解ですか。
「承知しました」で終わらせないでください。そこで一歩踏み込みます。おすすめの返し方は、この2つを一度に聞くことです。出られる時間帯(たとえば18時以降、昼休みの12時台など)と、電話とメッセージのどちらが楽か。この2つが分かると、以降のやり取りが一気に速くなります。ここで得た情報は、内定を出したあとの連絡でもそのまま使えます。
Q4. 日程を組む前に、条件面で落ちてしまうことが多いです。
それは日程の問題ではなく、条件の伝わり方の問題かもしれません。施工管理の場合、候補者が最初に見ているのは、勤務地(担当エリア)・年間休日と土曜の扱い・残業の実態、この3つです。求人票の段階でここが曖昧だと、面接に進む前に比較で負けます。施工管理 求人票セルフ添削チェッカーで12項目だけ先に見てみてください。登録は要りません。
Q5. 内定を出したあとも、同じように連絡がつきません。
同じ設計で大丈夫です。連絡手段と時間帯を先に握って、こちらから定期的に接触する。施工管理は引き継ぎに時間がかかる職種なので、承諾から入社までの期間が長くなりがちです。入社日そのものの決め方は施工管理は「すぐ来られる人」を条件にした時点で、いちばん採りたい人が外れますに、その間の連絡の設計は施工管理の内定辞退を防ぐクロージングに、そこで交わす書面の話は施工管理の内定は、口約束ではなく契約ですに書きました。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
面接の質問を磨くのは、楽しい作業なんですよね。見極めの精度が上がる実感もあるし、社内でも話が盛り上がる。
でも、施工管理の採用で実際に人が消えているのは、その手前です。電話に出られなかった。日程が合わなかった。返信を書く気力がなかった。それだけで、会う前に終わっています。
しかも、消えた理由は絶対にこちらへ届きません。「日程が合わなかったので辞退します」と言ってくれる人は、ほとんどいないですから。
冒頭の「面接まで行かないんですよ」という社長の言葉、あれはたぶん、候補者に興味がなかったわけじゃないんです。ただ、会える形になっていなかっただけで。
次の1人には、まず枠を3つ出すところから始めてみませんか。それだけで、会える確率はかなり変わります。
施工管理の採用を最初から通しで見直したい方は、施工管理の採用 完全ガイドからどうぞ。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。