こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、施工管理の求人票のなかで、いちばん軽い気持ちで書かれていて、いちばん重い結果になっている一行のお話をしたいです。応募資格の欄にある、年齢です。
「若手の施工管理が採れない」とご相談をいただいた会社の求人票を見せてもらうと、応募資格の欄がこうなっていることがあります。
- 35歳まで(若手育成のため)
- 2級施工管理技士以上
- 施工管理の実務経験3年以上
お気持ちは本当によく分かります。分かるんですが、、この3行は、法律上そもそも並べて書けません。そして仮に書けたとしても、建設業の年齢構成を考えると、この条件に当てはまる人はかなり限られます(この市場の形は施工管理が採用できない本当の理由に、国土交通省のデータで整理しました)。
先に言っておくと、採用がうまくいく原理に、施工管理も不動産営業も違いはありません。私は不動産の人材紹介エージェント出身ですが、紹介の現場で見えてきた「決まる会社・決まらない会社」の差は、職種を超えて同じ形をしています。年齢の話も、まったく同じです。
結論:年齢を書ける場面は4つだけ。しかも「35歳まで」と「経験者」は同時に書けません
先に答えを言います。
労働者の募集と採用では、年齢を条件にすることが原則としてできません(労働施策総合推進法第9条)。例外は厚生労働省令に限定列挙されていて、施工管理の中途採用で関係してくるのは4つです。定年を上限にする場合/法令で年齢制限が設けられている業務の場合/技能・ノウハウの継承のために社内で人数が薄い年齢層に限る場合/60歳以上に限定する場合。この4つ以外は、年齢不問にする必要があります。
そして、いちばん多く使われている「若手育成のため35歳まで」の例外は、職業に就いた経験を条件にしないことが要件になっています。つまりこれを使った瞬間に、「経験3年以上」も「2級施工管理技士」も「経験者優遇」も書けなくなります。
言い換えると、「35歳まで・経験3年以上」の求人票は、どちらかを諦めないと成立しません。私の経験則で言うと、諦めるべきは年齢のほうです。年齢を外したせいで採れなくなった会社は見たことがありませんが、年齢で絞ったせいで母集団が消えている会社は、たくさん見てきました。
そもそも、年齢を条件にすることは原則できません
条文から確認します。
労働施策総合推進法第9条は、事業主に対し、労働者の募集及び採用について「その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定めています。例外として年齢制限が認められる場合は同法施行規則第1条の3第1項に列挙されていて、そこに当たらない限り、年齢は不問にする必要があります。
ここで、採用の実務としてもっと大事なのは次の点です。厚生労働省・都道府県労働局のリーフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」は、こう書いています。
形式的に求人票を年齢不問とすれば良いということではなく、応募者を年齢で判断しないことが必要です。
求人票は年齢不問にしておいて、実際は書類選考の段階で生年月日を見て落とす。これも法の規定に反する行為として、同じリーフレットに明記されています。募集の文言だけの話ではない、ということです。
正直に言うと、ここが引っかかる会社は多いと思います。ただ、これを規制の話としてだけ受け取らないでほしいんです。年齢で落とすと、落とした理由を誰にも説明できなくなります。 人材紹介を使っている会社なら、なおさらです。見送りの理由が返ってこない会社は、エージェント側の優先順位が静かに下がります。この構造はこの不動産会社には「紹介したくない」瞬間に書きました。職種が変わっても、後回しにされる理由は同じです。
「35歳まで」と書いた瞬間に、施工管理技士も経験年数も書けなくなります
年齢制限の例外のなかで、いちばん使われているのが「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」(例外事由3号のイ)です。求人票の「若手育成のため」という括弧書きは、たいていこれを指しています。
ただ、この例外には条件がついています。厚生労働省の同リーフレットは、要件を2つ挙げています。
- 対象者の職業経験について不問とすること
- 新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること(新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇で育成しようとしていること)
ここでいう職業経験不問は、募集する職種の経験だけを問わないという意味ではありません。厚生労働省のQ&A集は、現に募集・採用を行おうとする職種に就いた経験を不問とするだけでは足りず、職業に就いた経験を不問とするものでなければ例外に当たらない、としています。
施工管理の求人にとっては、ここがそのまま効いてきます。
- 「施工管理の実務経験3年以上」——書けません
- 「経験者優遇」「経験があれば尚よい」——同じ理由で書けません(Q&A集に明記されています)
- 「2級施工管理技士以上」——書けません
3つ目が意外だと思われるかもしれません。同リーフレットは、必要な免許資格を条件にすること自体は可能としながら、職務経験がないと取得できない免許資格は書けないとしています。施工管理技術検定は2024年度から第一次検定の受検資格が緩和されて学歴・実務経験を問わず受けられるようになりましたが(受検年度末時点で1級は満19歳以上、2級は満17歳以上)、第二次検定に合格して施工管理技士になるところには、いまも実務経験が要ります。つまり「施工管理技士」は、実務経験がないと取得できない資格の側に入ります。資格要件そのものの考え方は施工管理の採用要件、決め方を間違えると人が来ませんに書いたので、あわせて読んでみてください。
なお、上限を何歳に置けるかについても目安があります。リーフレットは「基本的には、35歳未満の若年者を想定していますが、必ずしも35歳未満に限られるものではありません」としつつ、定年を定めている場合に勤続可能期間が極端に短くなる上限設定は認められないとして、おおむね45歳未満を目安に挙げています。
まとめると、3号のイを使うなら、求人票はこうなります。
応募資格:45歳未満の方(職業経験は問いません。入社後は新卒社員と同じ育成の枠組みで、現場に同行しながら覚えていただきます)
これは適法です。ただ、経験者を採りたい会社が書ける文面ではないですよね。若手に限定するか、経験を条件にするか。どちらか片方です。
施工管理で年齢を書ける場面は、この4つです
では、年齢を書ける場面はどこか。4つあります。書ける形はそれぞれ違って、①は上限だけ、②は下限だけ、③は30歳から49歳のなかの範囲、④は下限(60歳以上)です。
① 定年を上限にする(例外事由1号)
定年を定めている会社が、期間の定めのない労働契約で募集するとき、定年年齢を上限にできます。定年が60歳なら「60歳未満の方」と書けます。
ただし細かい制約があって、リーフレットには認められない例まで書かれています。
- この例外を根拠に下限を付けることはできません。「40歳以上60歳未満」は不可です(下限を書きたい場合は、②や④など別の例外事由に当たっている必要があります)
- 求人票の上限と実際の定年が一致していないと不可です。定年63歳の会社が「60歳未満」と書くことはできません
- 習熟期間を差し引くのも不可です。「業務の習熟に2年かかるので58歳以下」は認められません。理由は二段構えで、すでに十分な職務経験を持つ人が応募することも想定されること、そして求人に「職務の習熟に◯年程度の期間が必要」と明記すれば一律に年齢で制限する必要はないこと、とされています
- 有期契約では使えません。更新を繰り返す前提でも、個々の契約が有期である以上、この例外には当たりません
もう一つ、忘れられがちな義務があります。65歳以下の年齢を下回ることを条件にする場合、事業主はその理由を求職者に示さなければなりません(高年齢者雇用安定法第20条第1項)。定年を上限に書くなら、「当社の定年は60歳のため」という理由をセットで出す必要がある、ということです。
② 法令で就業が制限されている業務(例外事由2号)
4つのなかで、建設業がいちばん普通に当たるのに、いちばん忘れられているのがこれです。
労働基準法などの法令で、特定の年齢の労働者の就業が禁止・制限されている業務については、その年齢層以外を対象に募集できます。建設の現場でいうと、労働基準法第62条と年少者労働基準規則第8条が、満18歳未満を就かせてはならない業務を列挙しています。そのなかには、こうしたものが入っています。
- 高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務(第24号)
- 足場の組立、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く/第25号)
- 土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが5メートル以上の地穴における業務(第23号)
- クレーン、デリック又は揚貨装置の運転の業務(第3号)
募集する業務にこうした作業が実際に含まれるなら、「18歳以上」と下限を書けます。リーフレットにも、認められる事例として「18歳以上の人を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」が挙がっています。
注意点が2つあります。ひとつは、学歴を根拠にはできないこと。「高校卒業以上」という条件を定めること自体は年齢制限に当たりませんが、それをもって「18歳以上」と書くことはできない、とQ&A集は明記しています。書けるのは、業務の中身が法令の制限に当たる場合だけです。もうひとつは、この例外で書けるのは法令が定める年齢までだということ。「25歳以上」にはなりません。
自社の求人がこれに当たるかは、実際に任せる作業の中身で決まります。判断に迷うときは、求人を出す前にハローワークに確認してみてください。
③ 技能・ノウハウの継承(例外事由3号のロ)
ここは、建設会社にいちばん現実味のある例外だと思います。そして、ほとんど知られていません。
特定の職種で、社内の特定の年齢層の人数が相当程度少ないとき、技能・ノウハウの継承を目的として、その年齢層に限って期間の定めのない契約で募集・採用できます。要件は次のとおりです(厚生労働省リーフレット)。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 対象年齢 | 30歳から49歳のうちの、特定の5〜10歳幅の年齢層 |
| 人数の条件 | 同じ年齢幅の上下の年齢層と比べて、労働者数が2分の1以下(0人の場合を含む) |
| 職種の特定 | 職業分類の小分類に相当する具体的な職種名を求人に明示(例:建築施工管理技術者) |
| 契約 | 期間の定めのない労働契約であること |
| 判断単位 | 企業単位が原則。雇用管理を独立して行っている事業所単位も可 |
自社の施工管理の技術者を、年齢で数えてみてください。当てはまる例と当てはまらない例を並べます。
- 当てはまる例:20〜29歳が6人、30〜39歳が2人、40〜49歳が9人。30〜39歳は上下それぞれの2分の1以下なので、「30〜39歳の建築施工管理技術者を募集」と書けます
- 当てはまらない例:20〜29歳が8人、30〜39歳が5人、40〜49歳が9人。5人は8人の2分の1を超えているので、使えません
そして、この例外の実務上いちばん大きい点はここです。3号のロを使う場合は、経験者を募集できます。3号のイと違って、条文(施行規則第1条の3第1項第3号ロ)に「職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合」という縛りが入っていないからです。技能・ノウハウの継承が目的である以上、当然といえば当然ですよね。なお厚生労働省のQ&A集も、ひとつの求人で同時に複数の例外事由により条件を変えて年齢制限を行うことは可能だとしています。
ただし、要件を満たしている旨を求人のなかで明示する必要があり、疑わしい場合はハローワークから資料の提出や説明を求められることがあります。使うなら、社内の年齢別人数を数えた記録を先に作っておいてください。
④ 60歳以上に限定する、または国の施策を活用する(例外事由3号のニ)
この例外は二本立てになっています。前段が60歳以上への限定、後段が特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇い入れの助成金など)を活用する場合です。
前段(60歳以上に限定)で書けるのは、こうなります。
- 「60歳以上の方を募集」——適法
- 「60歳以上の方歓迎」——適法(Q&A集に明記されています)
- 「65歳以上を募集」——適法。下限が60歳を上回っていても構いません
- 「60歳以上70歳以下」——この前段を根拠にする場合、上限は付けられません。より高齢で再就職が一層困難な層の応募機会を奪うことになるため、というのが理由です
後段(国の施策の活用)に当たる場合は、話が変わります。リーフレットには、認められる事例として「(特定求職者雇用開発助成金の対象者として)60歳以上65歳未満の人を募集」が挙がっています。助成金の対象年齢層に合わせるなら、上限を付けた範囲指定ができるということです。ただし、募集する年齢層が施策の対象年齢層と違っていると認められません(「55歳以上65歳未満」の例が、認められない事例として挙がっています)。
一方で、「50歳以上歓迎」や「40歳以上歓迎マーク」はどうか。Q&A集は、歓迎マークは対象者を他の年齢層に比べて優遇する趣旨なので他の年齢層の応募を妨げるおそれがあり、法の趣旨に照らし原則として適当でない、としています。そのうえで「60歳以上歓迎マーク」だけは3号のニに該当するので違法とはならない、と続きます。
では「35歳未満の方歓迎」はどうかというと、Q&A集は、35歳未満を他の年齢層に比べて優遇するもので実質的に年齢制限と同じと考えられるため法の趣旨に照らし適当ではない、としたうえで、3号のイなどの例外事由に当たる場合は違法とはならないと書いています。つまり、経験不問・新卒者と同等の育成という要件を本当に満たしているなら、若手歓迎と書ける余地は残っています。
整理すると、こうです。年齢を書いて歓迎の意思を出すとき、60歳以上は条件なしに書けて、若手は例外事由の要件を満たしているときだけ書ける。そして、その中間(40代・50代を歓迎する表現)を書く手立ては、いまの制度にはありません。
年齢の代わりに、求人票へ何を書くか
年齢の線を外すと、多くの会社の応募資格欄はスカスカになります。当たり前で、年齢がフィルターの役目を全部引き受けていたからです。
代わりに書くものは、リーフレットが繰り返し示しています。業務内容と、必要な能力・技能を明示することです。リーフレットには、ハードな重労働だから40歳以下で募集したいという相談に対して、長距離トラック運転者の求人を年齢不問にしたうえで「資材(50kg程度)を上げ下ろしする業務であるため、この業務を継続していくためには、持久力と筋力が必要です」と書く、という解決策が載っています。
施工管理に翻訳すると、こうなります。
Before(NG)
- 応募資格:35歳まで(若手育成のため)/2級施工管理技士以上/施工管理経験3年以上/体力に自信のある方
After(OK)
- 応募資格:年齢不問
- 任せる現場:木造・鉄骨の低層(延べ◯平方メートル前後)の新築。1現場あたり◯ヶ月、同時に担当するのは最大◯現場です
- 業務内容:工程・原価・品質・安全の管理、協力会社との調整、写真管理と書類作成(◯◯を使用)
- 必要な技能:施工図が読めること、工程表をご自身で引けること
- 体力について:現場内の仮設階段・足場の昇降が1日◯回程度あります。◯kg程度の資材を扱う場面があります
- 資格:入社後の取得支援あり(受験費用・講習費は会社負担)。1級・2級をお持ちの方は資格手当◯円
Afterには、年齢がどこにも出てきません。それでいて、応募する側は自分に務まるかを自分で判断できます。年齢不問の求人であれば、経験年数を条件にすること自体は問題ありません(合理的な理由がないまま非常に長い年数を設定すると、事実上の年齢制限と見られます)。
ひとつ補足させてください。ここで書く体力は、人物像の要件ではなく、業務の事実として書くものです。「体力に自信のある方」は人物像の要件で、しかも施工管理の仕事の本質からずれるので、それ自体が応募を遠ざけます(この話は3K前提のNG文言に書きました)。昇降の回数や資材の重さは、応募する側が自分で判断するための事実です。同じ「体力」でも、置く場所がまったく違います。
書く順番も大事です。応募資格から書き始めると、どうしても絞る言葉が先に出ます。任せる現場から書き始めてください。そうすると必要な技能が自然に決まって、年齢を書く場所がなくなります。各項目の書き方は応募が来る施工管理の求人票の書き方と3K前提のNG文言に分けて書いています。
いま出している求人票がこの形になっているかは、施工管理 求人票セルフ添削チェッカーで12項目を確認できます。登録は不要で、その場で結果が出ます。
40代・50代を採ると決めたら、社内で先に決める3つ
法律の話はここまでです。ここからは、実際に40代・50代の施工管理を受け入れるときの話をします。年齢を外しても、受け入れる側が決まっていないと、面接で「うーん」となって終わります。
① 任せる現場を先に決める
いちばん多い失敗が、ベテランを「何でもできる人」として採ってしまうことです。経験があるのだからと、一人に一現場をそのまま預ける形になりやすい。
人が続く会社に共通しているのは、一人あたりの担当範囲を膨らませていないことです。これは職種を問いません。そして施工管理は、掛け持ちの現場数も一人が見る範囲も、放っておくと増えていく職種ですよね。しかも負担は「できる人」ほど寄ります。負担の分け方については施工管理の若手が早期離職する構造に書いたことが、そのまま経験者にも当てはまります。
用途・規模・工期で任せる現場を先に決めておくと、面接で見るポイントも自然に決まります。年齢ではなく、その現場を回せるかどうかで見られるようになります。
② 年下の上司との関係を先に決める
40代・50代の採用で、社長が口に出しにくいけれど確実に気にしているのが、これだと思います。指導しづらい、既存のメンバーが気を使う、という懸念です。
厚生労働省のリーフレットは、この懸念そのものを例に挙げています。社長が40代、他のスタッフも30代以下という会社が、中高年齢者は浮いてしまうと考えて年齢を絞ろうとした例に対し、年齢制限はできないとしたうえで、実際に40代の方を採用した会社の事例を載せています。年下の上司の指導を謙虚に聞き入れ、誠実に仕事に取り組む姿勢が、他の従業員の刺激にもなった、という結びです。
やることは単純で、誰が指示を出す立場かを、内定を出す前に本人へ伝えておくことです。入社後に分かると気まずくなりますが、選考の途中で伝えておけば、それを承知の人だけが残ります。同じ考え方で、担当現場や転勤の範囲も入社前に線を引きます(この線引きは書面にも残す必要があります。施工管理の内定と労働条件通知書にまとめました)。
③ 定年と再雇用の設計を、いまの制度に合わせる
「50代を採っても、あと何年働けるのか」という質問をよくいただきます。この前提が、ここ数年で変わっています。
厚生労働省が公表した令和7年「高年齢者雇用状況等報告」(令和7年6月1日現在、常時21人以上を雇用する企業237,739社が対象)によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%でした。加えて、労使協定で継続雇用の対象者を限定できた経過措置は令和7年3月31日で終了しており、令和7年度からは希望者全員の65歳までの雇用確保が全面的に義務付けられています。
さらに同じ報告で、65歳以上定年の企業(定年制の廃止を含む)は34.9%、70歳までの高年齢者就業確保措置(こちらは努力義務)を実施済みの企業は34.8%でした。約3社に1社が、定年を65歳以上にしている(または定年そのものを廃止している)ということです。同じ報告の別の項目では、70歳までの就業機会を用意している企業も、やはり約3社に1社ありました。
そう考えると、52歳の候補者に対して「あと8年」と見積もるのは、いまの制度からずれてきています。定年を65歳に引き上げているなら13年です。70歳までの就業確保措置まで入れれば18年ですが、この措置には業務委託や社会貢献事業という雇用以外の形も含まれるので、そこは自社の制度の中身で数えてください。施工管理は経験がそのまま現場の回り方に出る職種なので、この差は小さくないと思います。
そして、これは求人票の書き方にも跳ね返ります。定年を上限に書く会社は、その年齢がそのまま「この会社は何歳まで働ける会社か」というメッセージとして読まれます。
施工管理の採用要件チェックリスト
- 求人票の応募資格に、4つの例外事由のどれにも当たらないまま年齢の上限や下限を書いていないか
- 「若手育成のため35歳まで」と「経験3年以上」を同時に書いていないか
- 「35歳未満の方歓迎」を、3号のイの要件(経験不問・新卒者と同等の育成)を満たさないまま書いていないか
- 定年を上限に書くなら、実際の定年年齢と一致していて、理由を提示しているか
- 「18歳以上」と書くなら、根拠が学歴ではなく実際の業務内容になっているか
- 3号のロを使うなら、社内の職種別・年齢別の人数を数えて記録しているか
- 年齢不問と書いたうえで、書類選考や面接で年齢を理由に落としていないか
- 体力が要る業務は、必要な身体能力を具体的な数字で書いているか
- 応募資格より先に「任せる現場」を書いているか
- 40代・50代が入ったとき、誰が指示を出す立場かを決めているか
- 自社の定年・再雇用の制度が、いまの求人票に反映されているか
11項目のうち、まず上の5つを潰してください。ここは法令に直接ぶつかる部分で、しかも直すのに1日もかかりません。残りは、次に求人票を触るときで間に合います。
よくある質問
Q. 「年齢不問」と書けば、あとは自由に選んでいいのでしょうか。
A. いいえ。厚生労働省・都道府県労働局のリーフレットは、形式的に求人票を年齢不問とすれば良いということではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定することは法違反になる、と明記しています。求人票の文言だけの問題ではありません。
Q. 体力が要る現場なので、上の年齢は避けたいのですが。
A. 厚生労働省のQ&A集は、加齢による体力等の低下の度合いには個人差が大きく、年齢により一律に制限を設けることを許容するのは適切ではないとしたうえで、求人において業務の具体的内容と必要な身体能力等を明示することが重要、としています。避けるのではなく、書く。実務上はこれが答えになります。実際、同リーフレットには、重量物の配送で若い方を希望していた会社が、経験のある50代の方を採用して問題なかったという事例が載っています。
Q. 定年が60歳です。求人票に「60歳未満」と書けますか。
A. 期間の定めのない労働契約で募集するなら書けます(例外事由1号)。ただし上限は実際の定年年齢と一致している必要があり、この例外を根拠に下限を足すことはできません(下限を書きたい場合は、法令で就業が制限されている業務に当たる2号など、別の例外事由に当たっている必要があります)。また、65歳以下の年齢を下回ることを条件にする場合は、その理由を求職者に示す義務があります(高年齢者雇用安定法第20条第1項)。
Q. うちは30代の施工管理がごっそり抜けています。この場合は年齢を絞れますか。
A. 条件を満たせば絞れます(例外事由3号のロ)。30歳から49歳のうちの5〜10歳幅で、その層の人数が同じ幅の上下の年齢層の2分の1以下であること、職種を具体的に明示すること、期間の定めのない契約であることが要件です。この例外なら経験者を条件にできるので、経験者を採りたい会社にとってはいちばん実務的な選択肢になります。まずは自社の年齢別人数を数えてください。
Q. 40代・50代を採ると、すぐ辞めてしまいませんか。
A. 年齢そのものが理由で辞めた、という話は紹介の現場ではあまり聞いたことがありません。多かったのは、任され方が聞いていた話と違ったケースです。経験があるからと一人に仕事を寄せると、年齢に関係なく続きません。逆に、任せる範囲と役割を先に決めて入ってもらった方は、長く残ります。入社日についても、経験者ほど現場の引き継ぎに時間がかかるので、施工管理の入社日に書いた前提でスケジュールを組んでみてください。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
施工管理の人材紹介は、決まれば手数料が200万円台になることもある職種です(人材紹介に200万円払う前に)。その手前で、年齢の一行を消すだけで戻ってくる母集団が、まだ残っています。今日はまず、いま出している求人票の応募資格欄を開いて、年齢が書かれていないかだけ見てみてください。
求人票の見直しから媒体・スカウトの運用、選考支援、定着まで、採用の実務ごと私たちが人の手で伴走します(基本料金は月額10万円)。まずは無料相談で、いまの応募資格欄が母集団をどれだけ削っているか、一緒に見させてください。
この記事で参照した一次情報
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第9条(e-Gov法令検索)
- 同法施行規則 第1条の3第1項(例外事由1号・2号・3号のイ/ロ/ハ/ニ)
- 労働基準法 第62条/年少者労働基準規則 第8条(満18歳未満を就かせてはならない業務)
- 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 第9条・第10条の2・第20条第1項
- 厚生労働省・都道府県労働局リーフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか? ― 年齢にかかわりなく、均等な機会を ―」
- 厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」(平成29年4月3日現在)
- 厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(令和7年12月19日公表)
- 国土交通省 施工管理技術検定の受検資格制度(2024年4月適用の改正)