こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
今日は、施工管理のスカウトで、資格欄の次に結果を大きく変えてしまう条件のお話をしたいです。工種です。
スカウト媒体の画面で、職種を施工管理の「建築」に絞る。さらにキーワードや経歴の条件で「RC造」「マンション」「新築」を足していく。
条件としては、どれも筋が通っているんですよね。うちの現場に近い人の方が立ち上がりが早いだろう、と考えるのは自然なことですから。
でも、この4つを足し終えたときの検索結果を見てみてください。資格の条件を入れる前から、候補者はもうかなり少なくなっているはずです。
前回の「1級施工管理技士」でスカウトを絞ると、送る相手がほとんど残りませんでは、資格という縦の条件を扱いました。今日はその続きで、工種・用途・規模という横の条件に絞ります。
条件を足すほど母数が減り、減った母数には他社も一斉に送っている。これは不動産営業のスカウトでもまったく同じ形をしています。そのうえで、施工管理には法律が工種の線を細かく引いているという固有の事情があります。今日はそこを条文で確認します。
結論:工種の条件は、「法律の線」と「自社の好み」に分けてから置いてください
先に答えを言います。
スカウトの検索条件に「建築のみ」「土木のみ」を入れる前に、その条件が次のどちらなのかを決めてください。
- 法律の線:採用した人を主任技術者・監理技術者として現場に置く前提で、その人の資格や実務経験が、自社の許可業種の要件に当たるかどうか
- 自社の好み:用途(マンション・オフィス・工場・インフラ)、構造(RC・S)、新築か改修か、規模、元請か下請か、公共か民間か
検索条件で人を落としてよいのは、上の「法律の線」だけです。下の「好み」は、落とす条件ではなく送る順番に回してください。
しかも、その法律の線は、多くの会社が思っているよりずっと細かく引かれていて、建築と土木はあちこちで重なっています。 ここを知らずに「建築のみ」にチェックを入れると、法律上は自社の現場に置ける人まで、検索結果から消しているかもしれません。
「建築」と「土木」は、法律上は2つの大きな箱ではありません
まず、建設業法が工事をどう分けているかを見ます。
建設業法の別表第一は、建設工事を29の種類に分けています。一式工事が2つ(土木一式工事・建築一式工事)と、専門工事が27です。とび・土工・コンクリート工事、鋼構造物工事、舗装工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、解体工事などが、それぞれ独立した業種になっています。
一方、施工管理技術検定の種目は7つです(建設業法施行令第37条)。
- 建設機械施工管理
- 土木施工管理
- 建築施工管理
- 電気工事施工管理
- 管工事施工管理
- 電気通信工事施工管理
- 造園施工管理
つまり、工事の種類は29あるのに、施工管理の資格は7つしかありません。1つの資格が、複数の業種をまたいで使われる仕組みになっている、ということです。
もう1つ、見ておいてほしい条文があります。施行令第37条は、それぞれの検定が対象にする技術を定義していて、土木施工管理は「土木一式工事」、建築施工管理は「建築一式工事」の実施に当たって必要な技術です。そのうえで、どちらの定義にも「工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理」という同じ言葉が入っています。 違いは、対象の工事と、建築施工管理の側に「施工図の作成」が加わっていることです。
もちろん、定義の言葉が揃っているからといって、土木の人が明日から建築の現場を回せるという意味ではありません。ただ、「建築と土木はまったく別の仕事」という前提で検索条件を組んでいるなら、その前提は法律の書き方とは少し違う、ということは知っておいて損はないと思います。
資格と業種の対応を、条文で並べるとこうなります
ここからが本題です。
主任技術者になれるのは、その業種の工事について一定の学歴と実務経験がある人、10年以上の実務経験がある人、またはそれと同等以上と国土交通大臣が認定した人です(建設業法第26条第1項・第7条第2号イ・ロ・ハ)。この「認定した人」の中身が、建設業法施行規則第7条の3に、業種ごとの表として並んでいます。
その表から、建築と土木にかかわる主な業種を、1級の施工管理技士(第二次検定の合格者)の場合で整理しました。
| 区分 | 業種 | 1級建築施工管理技士 | 1級土木施工管理技士 |
|---|---|---|---|
| どちらでもそのまま | とび・土工・コンクリート/石/鋼構造物/塗装/解体※ | ○ | ○ |
| 建築ならそのまま、土木は実務を足せば | 左官/屋根/タイル・れんが・ブロック/防水/鉄筋 | ○ | その工事の実務3年以上で○ |
| 土木ならそのまま、建築は実務を足せば | 水道施設 | その工事の実務3年以上で○ | ○ |
| 建築の側だけ | 建築一式(建築工事業)/大工/内装仕上 | ○ | この資格では当たらない |
| 土木の側だけ | 土木一式(土木工事業)/舗装/しゅんせつ | この資格では当たらない | ○ |
(出典:建設業法施行規則第7条の3。舗装は建設機械施工管理でも当たります。※解体は、平成27年度までに合格した方は、登録を受けた解体工事の講習の修了か、合格後の解体工事の実務1年以上が別に必要です(同規則 附則〔平成27年国土交通省令第83号〕第2条)。表は施工管理技士の資格による区分だけを抜き出したもので、各業種には建築士・技術士・技能検定・実務経験年数など別のルートもあります)
どうでしょう。
「建築のみ」で切っていいのは「建築の側だけ」の段、「土木のみ」で切っていいのは「土木の側だけ」の段だけです。とび・土工・コンクリート、石、鋼構造物、塗装、解体の5業種は、1級の土木施工管理技士も、1級の建築施工管理技士も、同じように要件に当たります(解体だけは表の※の経過措置に注意してください)。
とくに、専門工事の会社で「建築のみ」を条件に入れている場合は、一度立ち止まってください。たとえば鋼構造物工事や塗装工事の会社なら、1級の土木施工管理技士を検索条件で外す理由は、法律の側にはありません。
ここは正確に書いておきます。
- 2級の場合は、検定種別によって当たる業種が変わります。2級建築は「建築」「躯体」「仕上げ」、2級土木は「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」の種別に分かれていて、たとえば鋼構造物工事に2級でそのまま当たるのは、2級建築なら「躯体」、2級土木なら「土木」です
- 表は主任技術者(一般建設業の営業所技術者)の要件です。特定建設業で監理技術者を置く場合、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7つの「指定建設業」は、1級の国家資格者などに限られます(建設業法第26条第2項・第15条第2号ただし書・施行令第5条の2)
- 1級の第一次検定の合格者(1級技士補)にも、その工事の実務3年以上で当たるルートがある業種があります(技士補の扱いは前回の記事にまとめました)
採用を決める前には、許可や経営事項審査の実務を見ている方に、その人の資格と経歴で要件を満たすかを確認してもらってください。
その人を「置く」のか、「育てる」のか
表を見て、「うちは建築一式の元請だから、結局建築のみでいいんだ」と思った方もいると思います。
半分はその通りです。建築一式工事の主任技術者として置く人を採るなら、建築の資格か、建築一式での実務経験が要ります。監理技術者として置くなら、1級建築施工管理技士や一級建築士などに限られ、実務経験のルートはありません。
でも、ここで一度、今回の採用でその人に何をしてもらうのかを分けてみてください。
- 配置技術者として置く人:入社してすぐ、主任技術者・監理技術者として現場に名前を出す人。ここは法律の線がそのまま当てはまるので、資格と業種の対応を必須条件にします
- 所長の下で現場を回す人:工程・品質・安全の管理、書類、協力会社とのやり取りを担って、所長を支える人。ここに法律の線はありません。工種は「必須」ではなく「どこまで近いか」の話になります
この2つを1本の求人・1つの検索条件で済ませてしまうと、本当は後者を1人ほしいだけなのに、前者の条件で絞ったまま、多くの会社と同じ人を取り合うことになります。
後者として採るなら、土木で工程と安全を回してきた人は、立派な候補です。建築の資格は、入社後に建築の現場で実務を積みながら目指す形になります。第二次検定には第一次検定に合格したあとの実務年数が要るので、数年がかりの話です(受検を会社がどう支えるかは施工管理の資格取得支援に書きました)。
横の条件を1つ足すたびに、何が起きているか
ここで、条件を足す操作そのものを見直します。
スカウトの検索条件は、足し算ではなく掛け算で母数を減らします。仮に、工種で半分、用途でさらに半分、新築か改修かでまた半分、規模でまた半分になるとします。1つひとつはもっともらしい条件でも、4つ重なれば母数は元の16分の1です(掛け算の構造はスカウトは「誰に送るか」で決まりますに、売買仲介の例で書いています)。
私たちの不動産営業の自社採用では、決定1人までにスカウトは数千通の単位です(スカウトは「数千通で1人」)。母数を削る操作は、その数千通を送る前に、送る先を先に消してしまう操作だということです。
横の条件で母数を削ると、何が困るか。打ち手の良し悪しが判断できなくなるんです。数十人に送って返信がゼロだったとき、それが文面のせいなのか、条件のせいなのか、たまたまなのか、区別がつきません。区別がつかないまま「うちにスカウトは向いていない」と結論を出してしまうのが、いちばんもったいない終わり方です。
条件の置き場所を、3つに分けてください
ここまでを実際の操作に落とします。工種・用途・規模の条件を、次の3つの置き場所に振り分けてください。
| 置き場所 | 何を置くか | 例 |
|---|---|---|
| ① 検索条件(落とす) | 法律の線だけ | 配置技術者として採る場合の、自社の許可業種に当たる資格・実務 |
| ② 送る順番(落とさない) | 近さの好み | 用途、構造、新築か改修か、規模、元請か下請か、公共か民間か |
| ③ 面談で聞く | 仕事の進め方 | 1人で持っていた現場の数、書類の量、協力会社や施主とのやり取りの形 |
たとえば、建築の元請で「所長の下で現場を回す人」を採るなら、工種の側から見た送る順番はこうなります(前回の記事の資格の3層とは別の軸なので、両方を掛け合わせて使ってください)。
第1層:建築で、用途も近い人
いちばん近い層です。当然、他社もここから送っています。ここだけで終わらせないことが大事です。
第2層:建築で、用途・構造・規模が違う人
マンションの会社にとってのオフィス・工場・商業施設の経験者、新築の会社にとっての改修の経験者です。同じ建築一式の中での違いです。どこが違うかを面談で確かめて、最初の現場を選ぶ余地がある層です。
第3層:土木や専門工事で、工程・安全を回してきた人
とび・土工や鋼構造物、解体のように、建築の現場にも入る業種の経験がある人は、建築の現場との共通点を面談で具体的に確かめやすい層です。検索条件で「建築のみ」にしていると、この層は1人も見えません。
③の「面談で聞く」に回したものは、落とす理由ではなく、入社後の配属と立ち上がりを設計する材料です。つまずきの原因が工種の違いなのか、仕事の進め方の違いなのかは、人と会社によって違います。だからこそ、検索条件で機械的に切らずに、会って確かめる側に置いてください。
工種の条件で起きている、よくある失敗5つ
- 専門工事の会社なのに「建築のみ」で検索している。とび・土工、鋼構造物、塗装などは、1級の土木施工管理技士でも要件に当たります
- 配置技術者として置く人と、所長を支える人を、1つの検索条件で探している。後者のために、前者の厳しい条件で母数を削っています
- 用途・構造・規模・新築改修を全部そろえて検索する。掛け算で母数が消え、返信がゼロでも原因が分からなくなります
- 求人票に「建築施工管理」とだけ書いて、工種・用途・規模を書かない。土木から来る人には、自分がどこから入れるのかが分かりません
- スカウトの1行目で、相手の工種の違いに触れない。土木の人に建築の求人を送るなら、「なぜあなたに送ったのか」を書かないと、誤送信に見えます
求人票とスカウトの1行目に、こう書いてください
送る先を広げたら、次は受け皿です。応募が来ない理由として私がいちばん多く見てきたのは、他社との違いと魅力が読み取れないことでした。工種をまたいで来てもらう場合、その「読み取れない」の中身は、「自分でも入れるのか」になります。
Before(よくある書き方)
- 【必須】建築施工管理の経験
- 仕事内容:建築工事の施工管理全般
After
- 【必須】施工管理の実務経験(建築・土木を問いません)
- 【歓迎】建築の現場経験、1級・2級建築施工管理技士
- 担当する現場:RC造の中高層マンション(新築中心)。1現場あたりの工期は1年前後です
- 土木や専門工事から来られた方は、最初の現場は所長の下で工程と安全の管理から入っていただきます。建築の資格の受検は会社で支えます
そして、スカウトの1行目です。
- Before:「施工管理のご経験を拝見し、ご連絡いたしました」
- After:「橋梁の現場で、工程と安全の管理を長く担当されてきたご経歴を拝見しました。当社は建築(マンション)の会社ですが、土木で現場を回してきた方に、所長の右腕として入っていただいた経験があり、ご連絡しました」
After の2文目は、自社に実際にそういう配属の実績がある場合だけ書いてください。無い場合は「最初の現場は所長の下で工程と安全の管理から入っていただく形を考えています」と、これからの形として書けば十分です。
1行目以外の組み立て方は施工管理のスカウトで返信が来る文面を見てください。求人票の側に工種・用途・規模・工期が入っているかどうかは、施工管理の求人票セルフ添削チェッカーに貼り付ければ、その場で分かります(登録不要)。
チェックリスト:工種の条件を入れる前に
- 今回採るのは「配置技術者として置く人」か「所長を支える人」かを決めた
- 配置技術者として採る場合、自社の許可業種と、資格・実務の対応(施行規則第7条の3)を確認した
- 専門工事の会社なら、土木の資格でも要件に当たる業種かどうかを確認した
- 2級の資格者は、検定種別(建築・躯体・仕上げ/土木・鋼構造物塗装・薬液注入)まで見ることにした
- 用途・構造・新築改修・規模は、検索条件から外して送る順番に回した
- 工種の側の送る順番を決めた(建築×近い用途 → 建築×違う用途 → 土木・専門工事)
- 求人票に、担当する現場の工種・用途・規模・工期を書いた
- 工種をまたいで来た人の、最初の現場と入り方を求人票に書いた
- 土木の人に送るスカウトは、1行目で「なぜあなたに送ったか」を書いた
9つ全部を今日やる必要はありません。先にやるのは上の2つです。この2つが決まると、残りの7つは、迷わずに答えが出ます。
よくある質問
Q. 土木出身の人を、建築の現場の主任技術者にできますか。
A. その人の資格と実務経験によります。1級土木施工管理技士の資格だけでは、建築一式工事の主任技術者の要件には当たりません(建設業法施行規則第7条の3)。一方で、とび・土工・コンクリート、鋼構造物、塗装などの工事なら、1級土木施工管理技士でも要件に当たります(解体工事は、平成27年度までの合格者には講習の修了か解体の実務1年以上が別に要ります)。すぐに配置技術者として置くのか、所長の下で現場を回してもらいながら建築の資格を目指すのかを先に決めると、検索条件と求人票の書き方が決まります。
Q. 2級の資格者は、どこを見ればいいですか。
A. 検定種別です。2級は、建築なら「建築」「躯体」「仕上げ」、土木なら「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」に分かれていて、種別によって要件に当たる業種が変わります。たとえば鋼構造物工事に2級でそのまま当たるのは、2級建築の「躯体」と2級土木の「土木」です。媒体の資格欄が種別まで分かれていない場合は、経歴の記述か面談で確認してください。
Q. 用途(マンションとオフィスなど)が違う人は、どれくらい苦労しますか。
A. 人と会社によって違うので、一律には言えません。だからこそ、用途は検索条件で落とさず、送る順番に回してほしいんです。面談で、1人で持っていた現場の数、書類の量、協力会社や施主とのやり取りの形を聞くと、どこでつまずきそうかが具体的に見えます。それを最初の配属先の選び方に反映させるのが、いちばん確実です。
Q. 監理技術者として置く人を採りたい場合も、同じ考え方でいいですか。
A. 監理技術者の場合は、線がさらに厳しくなります。特定建設業のうち、土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7つの指定建設業では、監理技術者は1級の国家資格者などに限られます(建設業法第15条第2号ただし書・第26条第2項・施行令第5条の2)。この場合は資格の条件を必須にするのが正しいので、代わりに用途・構造・規模の好みを外して母数を確保してください。技士補を監理技術者補佐として置く考え方は前回の記事にまとめています。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
「建築のみ」のチェックは、画面の上では1クリックです。でもそのクリックで、法律上は自社の現場に置けたかもしれない人や、所長の右腕になれたかもしれない人が、まとめて見えなくなっています。今日はまず、いまの検索条件を開いて、工種の欄に何が入っているかと、その条件が法律の線なのか好みなのかだけ、確かめてみてください。
求人票の見直しから媒体・スカウトの運用、選考支援、定着まで、採用の実務ごと私たちが人の手で伴走します(基本料金は月額10万円)。まずは無料相談で、いまの求人が「置く人」と「支える人」のどちらを探しているのかの整理から、一緒にやらせてください。
この記事で参照した一次情報
- 建設業法 別表第一(建設工事の種類・29業種)
- 建設業法 第7条第2号(営業所技術者の要件・イ・ロ・ハ)/第15条第2号(特定営業所技術者・指定建設業)/第26条(主任技術者及び監理技術者の設置等)
- 建設業法施行令 第5条の2(指定建設業)/第37条(技術検定の検定種目・検定技術)
- 建設業法施行規則 第7条の3(法第7条第2号ハの国土交通大臣が認定する者・業種ごとの資格の対応)