こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。
以前、「売買仲介の営業が入社3ヶ月で辞める構造」についてお話ししました。今日はその続きで、じゃあ実際に、入社した初月に何をすればその離職を防げるのか、週ごとの型にしてお渡しします。
先に結論を言うと、採用の成功は「決まったとき」ではなく「定着したとき」に決まります。せっかく口説いて決めた一人を、初月の過ごし方で失うのは、一番もったいないパターンです。
なぜ初月が大事なのか
早期離職の原因として最も多いのが「聞いていた話と違う」というミスマッチです(出典:エン・ジャパン『人事のミカタ』アンケート「従業員の早期離職対策」2025年)。このミスマッチは、入社してから最初の数週間で一番強く感じられます。求人票や面接で語った期待値と、実際の現場が一致しているかを、候補者は初月でずっと確認しているんです。
私はエージェント時代、「初月は放置気味だったけど、3ヶ月目からちゃんと育成した」という会社をいくつも見てきました。でも、それでは遅いんです。放置された最初の数週間で、候補者はもう「この会社、大丈夫かな」と感じ始めています。
初月オンボーディングの型(週ごと)
1週目:不安を潰す週 仕事を教えるより先に、会社の仕組みを見せる週です。誰が何をしているか、1日の流れ、社内のツール・ルールを一通り共有します。営業に同行させるにしても、まだ見学が中心でいいです。この週にやるべきは「わからないことを聞ける関係」を作ることです。毎日15分でいいので、その日困ったことを聞く時間を作ってください。
2週目:型を渡す週 反響対応・追客・内見同行の一連の流れを、実際にやらせながら覚えてもらう週です。いきなり一人でやらせず、必ず先輩が同席します。この段階で大事なのは、「できた・できなかった」を評価するのではなく、「次はここを見てみよう」と次の一歩を渡すことです。
3週目:小さな成功を作る週 一人でできる範囲を少しずつ広げ、小さな成功体験を意図的に作る週です。反響対応を1件任せる、内見に一人で行かせてみる、など。ここでの成功体験が、「自分はこの仕事でやっていけそうだ」という自信につながります。
4週目:期待値をすり合わせる週 初月の終わりに、上司と1on1で振り返りをします。ここでやることは評価面談ではなく、「入社前に聞いていた話と、実際の1ヶ月はどうだったか」のすり合わせです。ギャップがあれば、この段階で早めに言語化してもらうことが、後の離職を防ぎます。
やってはいけない初月のNGパターン
- 初日に「あとは自由にやってみて」と放置する
- 同行なしで、いきなり一人で現場に出す
- 「忙しいから」で1on1・振り返りの時間を作らない
- できなかったことだけを指摘し、できたことを言語化しない
- 求人票・面接で語った話(飛び込みなし、育成体制ありなど)と、実際の現場が違う
最後の1つが一番危険です。入社前の期待値と現場が違うと、どれだけ丁寧に育成しても、根っこの信頼が崩れます。求人票・面接で語ったことは、初月で必ず現実として見せてください。
初月オンボーディングのチェックリスト
- 1週目は「教える」より先に「不安を潰す」時間を取っているか
- 2週目以降、必ず先輩が同席する形で実務を渡しているか
- 3週目までに、小さくてもいいので成功体験を1つ作れているか
- 4週目に、評価でなく期待値すり合わせの1on1を入れているか
- 求人票・面接で語った内容と、実際の現場にギャップが無いか確認したか
- 初月の間、毎日または毎週、決まったタイミングで話す機会を作っているか
よくある質問
Q. 初月から数字(成約件数など)を求めてもいいですか? A. 初月から成約を求めるのは早すぎます。初月のゴールは「型を覚えて、小さな成功体験を積むこと」に置いてください。数字を追わせるのは、型が身についた2ヶ月目以降で十分です。
Q. 人手が足りず、初月から一人で現場に出さざるを得ません。 A. 完全に同行できなくても、「困ったら誰に聞けばいいか」だけは初日に明確にしておいてください。同行の量より、「一人にされていない」という感覚のほうが、初月の安心感には効きます。
Q. 中途採用者にも、この型は同じでいいですか? A. 経験者でも、自社のやり方に慣れるまでは同じ型で構いません。ただし1週目の比重を軽くし、2週目から実務の比重を上げるなど、経験に応じてペースを調整してください。経験者だからと初日から放置するのは、未経験者への放置と同じくらい危険です。
濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
採用は、決まった瞬間がゴールではありません。初月の1ヶ月をどう設計するかで、そこまでかけた採用の労力が活きるかどうかが決まります。まずは来月入社する一人のために、週ごとにやることを紙に書き出してみてください。
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