不動産・建設の「採用」だけを、現場の目線で。 元・不動産特化の人材紹介エージェントが執筆
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売買仲介の採用要件、決め方で応募数が変わります【絞りすぎ・緩めすぎの境界線】

2026.07.21読了 約10分
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こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。

「求人票を直しても応募が来ない」というご相談を受けたとき、実は求人票より先に、その手前の「採用要件」でつまずいていることがよくあります。今日は、売買仲介の採用要件をどう決めるか、というお話をしたいです。

先に結論を言うと、要件は絞りすぎても、緩めすぎても失敗します。「必須条件は3つ以内」を軸に、資格や経験年数をどう扱うかを、この記事で整理していきます。

なぜ要件定義でつまずくのか

不動産営業の有効求人倍率は約3.0倍で推移しています(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「住宅・不動産営業」の有効求人倍率/令和6年度)。求人1件あたり、応募側は約3社から選べる状態です。この売り手市場で「宅建士必須・営業経験3年以上・即戦力」のように必須条件を積み上げると、応募できる人がその場でごっそり減ります。

エージェント時代、要件を積みすぎている会社の担当者に理由を聞くと、だいたい「優秀な人だけに絞りたいから」と返ってきました。気持ちは分かるのですが、実際には「優秀な人」ほど今の会社からも引く手あまたなので、要件で絞るほど、むしろ取り合いの激しい狭いプールで戦うことになります。

必須条件は3つ以内に。それ以外は歓迎条件へ

売買仲介で本当に必須なのは、多くの場合この程度です。

  • 普通自動車免許(現場・物件案内で必要な場合)
  • 自社の営業エリアに通える範囲であること
  • 反社会的勢力に該当しないこと(共通の基本要件)

宅建士の有無、営業経験の年数、業界経験の有無は、多くの場合「歓迎条件」で十分機能します。必須にしてしまうと、母集団が絞られるだけでなく、「経験は無いけど接客の素養がある人」のような、実際に活躍しやすい層まで弾いてしまいます。

宅建士は「必須」にすべきか

売買仲介で必ず論点になるのが宅建士の扱いです。重要事項の説明と、その書面・契約書面(37条書面)への記名は宅建士でないとできませんが、営業活動そのもの(反響対応・追客・内見同行)は無資格でも可能です。

多くの会社が実際にやっているのは、「営業は無資格でも採用し、契約フェーズだけ有資格者がフォローする」体制です。この体制が組めるなら、宅建士を必須要件にする必要はありません。「宅建士歓迎、資格取得支援あり、資格手当は年換算◯万円」という形にしたほうが、母集団を狭めずに済みます。

未経験可否は「前職の何が活きるか」で判断する

未経験を採るかどうかは、「不動産の知識があるか」でなく「反響営業に必要な素養があるか」で判断すると精度が上がります。売買仲介の反響営業で活躍しやすいのは、前職が接客業(飲食・アパレル・美容など)で、お客様に丁寧に向き合う経験がある人です。

要件を立てるときは、「不動産営業経験◯年」ではなく「接客・提案営業の経験(業界不問)」のように、求める素養を具体的な経験の形で書き直すと、未経験者にも「自分は当てはまるかもしれない」と伝わります。

要件を絞りすぎている求人票の言い換え例

Before(必須が多すぎる):「宅建士必須。営業経験3年以上。即戦力のみ募集」

After(必須3つ以内+歓迎):「必須:普通自動車免許/当社エリア(◯◯市周辺)に通勤可能な方。歓迎:宅建士(資格取得支援あり)、接客・提案営業の経験」

採用要件を決めるときのチェックリスト

  • 必須条件は3つ以内に絞っているか
  • 宅建士を「必須」にする本当の理由(契約フェーズを自社で担えるか)を確認したか
  • 「営業経験◯年以上」を、具体的な素養(接客・提案経験など)に言い換えられないか検討したか
  • 未経験可否を、不動産経験の有無でなく前職で培った素養で判断しているか
  • 「即戦力のみ」のような、応募前に候補者を怯ませる表現を使っていないか

よくある質問

Q. 要件を緩めると、ミスマッチな応募ばかり増えませんか? A. 必須条件を減らすことと、求める人物像を曖昧にすることは別です。必須条件は絞りつつ、「歓迎する経験・素養」を具体的に書けば、応募のハードルは下げつつ、求める人物像はぶれません。要件を緩めるのではなく、必須と歓迎を正しく仕分けるという発想です。

Q. 即戦力がどうしても欲しい場合はどうすればいいですか? A. 「即戦力募集」と書くこと自体が、実は即戦力を遠ざけます。優秀な経験者ほど、今の会社で評価されているので、抽象的な「即戦力募集」には反応しません。具体的な還元率・裁量・成果への評価軸を示すほうが、経験者には刺さります。

Q. 要件定義は誰が決めるべきですか? A. 現場の意見(こんな人が欲しい)と、実際に活躍している人の共通点(こんな人が活躍している)の両方を、採用の意思決定者がすり合わせて決めるのが理想です。現場の希望だけで積み上げると、要件はどんどん膨らみます。


濱名勇輝/元・不動産特化の人材紹介エージェント(株式会社Jingas COO)。エージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担当。採用の現場を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきました。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

要件定義は、求人票を書く前の一番最初の工程です。ここが盛りすぎだと、どんなに求人票を磨いても母集団は増えません。まずは今の応募資格欄を、必須と歓迎に仕分け直すところから始めてみてください。

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濱
濱名 勇輝
元・不動産特化の人材紹介エージェント/株式会社Jingas COO

不動産に特化した人材紹介のエージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担ってきました。採用を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきた立場で、「なぜ応募が来ないのか」「なぜ決まらないのか」を、きれいごと抜きで書いています。

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