不動産・建設の「採用」だけを、現場の目線で。 元・不動産特化の人材紹介エージェントが執筆
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応募が「来た」求人票と「来なかった」求人票。実物ビフォーアフターで、何を変えたか全部見せます

2026.07.10読了 約11分

こんにちは、株式会社Jingasの濱名です。

同じ会社、同じ給与、同じ休み。求人票の書き方だけを変えたら、応募が来なかった1枚が、来る1枚に変わりました。

条件は、1つも良くしていません。給与も休みも、そのままです。

手を入れたのは書き方だけ。それでも応募は動きました。

正直に言うと、最初にこれを目の当たりにしたときは、自分でも半信半疑だったんです、、。盛ったほうが効くに違いない、とどこかで思い込んでいた。

ところが現場は逆でした。同じ事実でも、求職者が判断できる形に書き換えるだけで、応募は変わる。

求人票は「盛る」より「伝わる」が効くんですよね。

前回は「応募が来ない求人票のNG文言」の話をしました。今日はもっと生々しく、実際に「応募が来なかった求人票」を「来る求人票」へ直す手つきを、実物のビフォーアフターでお見せします。

【ビフォー】応募が来なかった求人票

まずは、ありがちな「応募ゼロ」の1枚を、匿名の作例で。売買仲介でよく見るやつです。

【不動産営業募集】 やりがいのある仕事です!未経験歓迎、アットホームな職場。 営業全般をお任せします。頑張り次第で高収入も可能! 給与:月給25万〜80万円 ※インセンティブあり ノルマあり。まずはお気軽にお問い合わせください。

一見、ふつうに見えますよね。私も昔はそう思っていました。

でも求職者の目線に立つと、これは「判断できる情報がほぼゼロ」なんです。何をやるか、いくらもらえるか、自分にできそうか。

全部がふわっとしていて、掴むところがない。

直したのは、この5箇所

条件はそのまま。触ったのは、次の5箇所の書き方だけです。

① 「アットホームな職場」→ 事実(数字)に置き換える

「アットホーム」は、もう誰も信じていません、、。むしろ「他に書くことがない会社」に見えてしまう。

ここは、その会社にしか書けない事実に置き換えます。

Before(NG):「アットホームな職場」

After(OK):「営業チーム5名(20代3名・30代2名)。毎朝15分の朝礼で案件を共有。定着率85%・平均残業は月20時間」

同じ職場を指しているのに、後者は求職者が入社後の毎朝を頭の中で再生できます。信じる信じない以前に、絵が浮かぶんですよね。

② 「やりがい」で始める → 冒頭に「条件」を置く

最初の3行で、求職者は去るか残るかを決めます。ここで欲しいのは、やりがいではなく、条件と「自分にできそうか」。

×「やりがいのある仕事です!」

○「反響のお客様に物件をご提案する売買仲介。飛び込み・テレアポなし。」

飛び込みの有無は、売買仲介の求職者が最初に確認する決め手のひとつです。ここを冒頭で潰しておくだけで、読み手はやっと先を読む気になります。

③ 高収入を「トップ1人の数字」で釣らない

「頑張り次第で高収入」「年収1,000万も」。気持ちはわかります。

ただ、トップ営業1人の数字を全体のように見せると、入社後に「話が違う」で、すぐ辞められます。使うなら、全営業の平均と、経験年数別のモデルで。

経験モデル年収(例・平均値)
未経験1年目400万円前後
3年目550〜650万円

派手さはありません。でも、この地味な2行のほうが「自分の3年後」を計算できる。

釣り針より、定規のほうが人を動かすんですよね。

④ 給与レンジが広すぎる → 「検索に引っかかる下限」を意識

「月給25〜80万」は、まず「どうせ下限でしょ」と読まれます。しかも地味に大事なのが、求人サイトは「月給いくら以上」で絞り込まれる点。

下限が全国平均の月29.5万円を下回ると、そもそも検索結果から漏れます(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「住宅・不動産営業」求人賃金・月額/令和6年度)。

読む読まない以前に、画面に出てこない。インセンティブも同じで、「月給25万+インセンティブ」ではなく、「月給28万+仲介手数料の10%(入社2年目の平均年収520万)」と、手取りを計算できる形にします。

⑤ 「営業全般」→ 「育つ道筋」と「1日の流れ」

未経験は、「歓迎」の一言では不安が消えません。知りたいのは「どう一人前になるか」の一点です。

○「入社1ヶ月は先輩に同行、3ヶ月目から自分の顧客を持ち月5〜8件、半年で独立が平均ペース。前職が飲食・アパレルの先輩も活躍中です」

前職が飲食・アパレル、という一言が効きます。「自分と同じ地点から始めた人がいる」——未経験がいちばん見たいのは、そこなんですよね。

【アフター】直した求人票(全文)

同じ会社、同じ条件のまま、5箇所だけ書き換えた1枚が、これです。

【売買仲介の反響営業/飛び込み・テレアポなし】 反響のお客様に物件をご提案する仕事です。飛び込み・テレアポはありません。 未経験1年目で年収400万円前後、3年目で550〜650万円がモデル(全営業の平均)。 月給28万円+仲介手数料の10%を支給。宅建をお持ちなら資格手当3万円。 入社後3ヶ月は先輩に同行、半年で独立が平均ペース。前職が飲食・アパレルの先輩も活躍中。 営業5名(20代3名・30代2名)、定着率85%・残業は月20時間。 まずは30分のカジュアル面談から、どうぞ。

冒頭で半信半疑だった、と書きました。その答えがこれです。

給与も休みも1つも変えていないのに、上のビフォーとは別の会社に見える。変えたのは、盛りではなく、伝わる形への置き換えだけ。

そのまま使える早見表(NG→OK)

NGOK
アットホームな職場営業5名・20代3名/毎朝15分の朝礼
やりがい重視反響のみ・飛び込みなし
高収入も可能(トップの数字)経験年数別のモデル年収(平均値)
月給25〜80万円月給28万+手数料10%(下限は月29.5万以上)
未経験歓迎1ヶ月同行→3ヶ月で月5-8件→半年で独立
まずはお問い合わせまず30分のカジュアル面談から

左の列、どれも自分の会社で1つは書いた覚えがあるはずです。私も、と言いたいところです、、。

右へ寄せるのに、予算はいりません。

そのまま使えるチェックリスト

  • 冒頭3行に「誰が・何を・どんな条件で」があるか
  • 主観(アットホーム等)を数字に置き換えたか
  • 年収は経験年数別のモデル&平均値か
  • 月給の下限は29.5万円以上か
  • 育つ道筋が時系列で書いてあるか
  • 応募の入口をカジュアル面談まで下げたか

よくある質問

Q. 条件を良くしないと、やっぱり応募は増えませんか? A. まずは書き方です。同じ条件でも、伝わる形に直すだけで応募は変わります。

条件を上げるのは、書き方をやり切ってからでも遅くありません。

Q. 「ノルマあり」は隠したほうがいい? A. 隠すと入社後のギャップで辞められます。「目標(例:月◯件)」と、それを支える仕組み(同行・追客ツール)をセットで見せると、むしろ誠実に映ります。

Q. トップ営業の実績は載せてはダメ? A. 「一例です」と明記し、必ず全営業の平均も併記してください。平均のない「最高値」は、入社後の不信につながります。

最後に

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

最初の1枚に戻ります。応募が来なかった求人票と、来た求人票。

両者を分けたのは、条件でも運でもなく、同じ事実を求職者が判断できる形に置けたかどうか、それだけでした。求人票は、会社が候補者を口説くラブレターですよね。

盛らずに、伝わるように。

一つだけ、宿題が残ります。今日並べたのは「未経験も見る一般的な売買仲介」の1枚でした。

では、未経験そのものを本気で採りにいく求人票は、どこをどう変えれば刺さるのか。答えは、今日の5箇所と地続きです。

手元の1枚を開いて、まずは冒頭3行から直してみてください。

濱
濱名 勇輝
元・不動産特化の人材紹介エージェント/株式会社Jingas COO

不動産に特化した人材紹介のエージェントとして上位の成績を残し、メンバーのマネジメントや教育制度の構築も担ってきました。採用を「送り出す側」と「育てる側」の両方から見てきた立場で、「なぜ応募が来ないのか」「なぜ決まらないのか」を、きれいごと抜きで書いています。

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