歩合制とは?完全歩合制は違法か、保障給「平均賃金の6割」と最低賃金の計算まで法律で解説
歩合制(ぶあいせい)とは成果に応じて給料が決まる仕組みで、固定給も保障給もない完全歩合が成り立つのは、実態も業務委託の場合に限られます。40代で歩合の求人を見ている人も、まず確かめたいのは、固定給が賃金総額のおおむね6割に届かない雇用なら、会社に労働基準法27条の保障給を定める義務があることです。厚生労働省は、定めがないだけでも違反になると解されると紹介しています(罰則は30万円以下の罰金)。
気になる求人の給与欄に「歩合給あり」「完全歩合」「フルコミッション」と書いてある。成果を出せば年収が上がるのは魅力ですが、40代で家族がいると「売れない月は給料ゼロなのでは」「そもそも違法じゃないのか」と引っかかります。
この記事では、歩合制の仕組みを、労働基準法の条文と厚生労働省の説明だけを使って整理します。保障給の額、最低賃金と残業代の計算、雇用か業務委託かの分かれ目、内定のときに書面で確かめることまでが、この記事の範囲です。業種ごとの歩合率の相場、歩合制がある職種の一覧、特定の会社の評判、ご自身の未払い額の計算、業務委託の税金は扱いません(未払いの計算は労働基準監督署で確かめてください)。
歩合制とは?固定給との違いは?
歩合制(ぶあいせい)とは、売上や契約件数などの成果に応じて給料が決まる仕組みです。固定給は成果に関係なく毎月決まった額が出ます。歩合制なら、成果が増えた分だけ給料も増えていく形です。
歩合制・出来高払制・インセンティブは同じもの?
厚生労働省は、歩合給制を「売上高や契約成立件数等の一定の成果に対して、定められた金額を支払う賃金制度」と説明し、「出来高払制」「請負給制」とも呼ばれるとしています。労働基準法の条文で使われている言葉は「出来高払制その他の請負制」です。
求人票の「インセンティブ」は法律の言葉ではありません。固定給に成果分を足す意味で使われる言葉ですが、中身は会社ごとに違います。言葉ではなく、給料の計算式を見て判断しましょう。
固定給+歩合と、完全歩合はどう違う?
歩合制には大きく2つの形があります。
- 固定給+歩合: 毎月の固定給に、成果に応じた額が上乗せされる
- 完全歩合(フルコミッション): 固定給がなく、成果だけで給料が決まる
同じ「歩合制」でも、成果がゼロの月に何が残るかは、この2つで違います。完全歩合が法律上どう扱われるかは、次の章で条文から確かめましょう。
歩合制が多い仕事は?
この記事で扱うのは、タクシー・トラックの運転手と営業の仕事です。運転手には、厚生労働省の改善基準告示に関する通達で、歩合給の保障給について別の決まりがあります(保障給の章で説明します)。不動産営業と保険営業の年収は不動産営業の年収と保険営業の年収に、今の年収が40代の平均と比べてどうかは40代で年収400万は低い?にまとめました。それ以上の職種の一覧は扱いません。
完全歩合制は違法?
会社に雇われて働く場合、固定給も保障給もない完全歩合は労働基準法第27条に反します。業務委託で働く場合は27条が適用されないので、完全歩合でも法律上成り立ちます。ただし、業務委託かどうかを決めるのは契約書の名前ではなく、働き方の実態です。
労働基準法27条には何と書いてある?
条文は次のとおりです。
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
この「一定額の賃金」を保障給と呼びます。厚生労働省の説明では、歩合給の会社で賃金率を不当に低くしたり、仕事の出来を理由に賃金を払わなかったりする弊害があったことが、この条文ができた背景です。
保障給を決めていないだけで、違反になる?
なります。厚生労働省のQ&A(スタートアップ労働条件「歩合給制とはどのような制度ですか?」)は、実際に保障給を払わなかった場合だけでなく、保障給を定めていない場合にも法違反が成立すると解されると紹介しています(令和3年版 労働法コンメンタール)。そのうえで、27条の対象になる歩合給制を入れる会社は、就業規則や労働契約で保障給を定めておく必要があるとしています。
つまり、雇用の求人なのに「保障給はありません」「売れなければゼロです」という説明なら、その時点で条文と合いません。
違反すると、会社はどうなる?
労働基準法第120条により、27条に違反した会社(使用者)は30万円以下の罰金の対象です。最低賃金を下回った場合は、最低賃金法第40条により50万円以下の罰金の対象になります(地域別最低賃金の場合)。
罰金は国に納めるもので、働く人が受け取るお金ではありません。働く人の側でできるのは、入社前に保障給の定めを書面で確かめることと、入社後に足りないと感じたら労働基準監督署に相談することです。
バイト・インターンも同じ?
同じです。労働基準法第9条は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所…に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めていて、最低賃金法もこの定義を使っています(最低賃金法第2条)。この労働者に当たれば、正社員かアルバイトかを問わず、27条と最低賃金法の対象です。インターンも、労働基準法第9条の「使用される者で、賃金を支払われる者」に当たるかどうかで決まります。
別の仕事に移って、1年目と3年目の年収はどうなる?
35歳前後で移った人について監修者は、固定給が確定している状態だと1年目は下がることが多い一方で、インセンティブで上がる人は多いと話しています。固定給で年収が確定して上がるのは、同じ職種に移るときです。
3年目に年収を上げた人はいる?
います。採用の現場で見てきた3人で、3人とも3年目です。
年収450万円 → 3年目に850万円。
年収480万円 → 3年目に700万円。
年収400万円 → 3年目に650万円。
※採用の現場で見てきた例です。年収は目安で、転職後の年数は人によって違います。個人の実績であり、全員が同じようになるわけではありません。移った先の職種や給料の形(固定給か、歩合を含むか)は、ここでは書いていません。
監修者は、実例の「数年後」は2〜3年のことで、1年ごとではなく5年単位で見ると、給料の合計が格段に上がるケースは十分にあると話しています。
歩合の営業は、きつくないの?
監修者の答えは「死ぬほど大変なわけではないが、すぐには稼げない」です。きつさの中身と、続く人・辞める人の違いは歩合制・インセンティブの営業はきつい?にまとめました。
保障給はいくら?「平均賃金の6割」は本当?
労働基準法の条文に金額はありません。厚生労働省のQ&A(スタートアップ労働条件)は、通達(昭和22年9月13日 基発17号、昭和63年3月14日 基発150号・婦発47号)を引いて、少なくとも平均賃金の6割程度を保障するのが妥当と紹介しています。
通達には、どう書いてある?
通達は「通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定める」べきだとしています。Q&Aの書き方では、この「余りへだたらない程度」が原則で、「6割程度」はそのあとに「少なくとも」と付けて示された線です。
「平均賃金の100分の60」という言葉そのものは、労働基準法第26条の休業手当(会社の都合で休ませたときの手当)の条文にあるものです。27条そのものには書かれていません。ネットで「27条で6割と決まっている」と読んだら、条文ではなく通達の話だと覚えておいてください。
平均賃金は、どう計算する?
平均賃金は労働基準法第12条で決まっています。原則は、直前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った額です。
歩合給のように出来高で決まる賃金には、最低額の決まりもあります。賃金の総額をその期間に働いた日数で割った額の100分の60を下回ってはいけません。
タクシー・トラックの運転手は、決まりが違う?
運転手には、厚生労働省の改善基準告示に関する通達(令和4年12月23日 基発1223号ほか)があります。歩合給制度をとる場合は「労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるもの」とされています。「6割以上」という数字まで示されているのが、ほかの仕事との違いです。
固定給があれば、27条の対象外?
固定給の割合で変わります。固定給の部分が賃金総額のおおむね6割程度以上を占める人は、27条の対象になりません。固定給が少なく歩合の割合が大きい給料なら、27条の対象です。
この記事に出てくる「6割」の決まりは5つあり、下の表ではあわせて27条の条文と最低賃金の線も並べます。保障給の額の目安は、一般は通達の「平均賃金の6割程度」、運転手は「固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上」の2つで、残りは別の決まりです。並べて区別しておきます。
| 何の決まりか | 根拠 | 書いてあること |
|---|---|---|
| 27条の条文 | 労働基準法第27条 | 「労働時間に応じ一定額」。金額や割合は無い |
| 保障給の額の目安 | 昭和22年基発17号・昭和63年基発150号 | 通常の実収賃金と余りへだたらない程度。少なくとも平均賃金の6割程度が妥当 |
| 運転手の保障給 | 改善基準告示に関する通達(令和4年基発1223号ほか) | 固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上 |
| 27条の対象にならない人 | 厚生労働省のQ&A | 固定給が賃金総額のおおむね6割程度以上の人 |
| 時間あたりの下限 | 最低賃金法第4条・同施行規則第2条 | 時間あたりに直して最低賃金以上 |
| (別の話)平均賃金の計算の下限 | 労働基準法第12条 | 出来高払制などは、賃金総額÷働いた日数の100分の60を下回らない |
| (別の話)休業手当 | 労働基準法第26条 | 会社の都合で休ませたとき、平均賃金の100分の60以上 |
出典:労働基準法・最低賃金法・最低賃金法施行規則(e-Gov法令検索)、厚生労働省 スタートアップ労働条件「歩合給制とはどのような制度ですか?」(Q&A)、厚生労働省「改善基準告示」。通達の内容は厚生労働省のQ&Aの紹介によります。
歩合給にも最低賃金は適用される?どう計算する?
適用されます。会社が最低賃金額以上の賃金を払う義務は、最低賃金法第4条にある決まりです。歩合給は、時間あたりの額に直してから比べるのが決まりです。
歩合の部分は、何で割る?
最低賃金法施行規則第2条により、歩合の部分は「その賃金算定期間の歩合の総額」を「その期間に歩合で働いた総労働時間」で割ります。残業した時間も含めた、実際に働いた時間で割るところがポイントです。
固定給と歩合が両方あるときは?
2つを別々に時間あたりに直して足します。
- (A)固定給の部分: 固定給 ÷ 1か月平均の所定労働時間
- (B)歩合の部分: 歩合の額 ÷ その月の総労働時間
- (A)+(B)を、働く都道府県の最低賃金と比べる
比べる対象に入れない賃金もあります(最低賃金法第4条第3項)。
実際の数字で計算すると?
固定給15万円、1か月平均の所定労働時間160時間、その月に実際に働いた時間が180時間の人で計算しました。(A)は15万円÷160時間=937.5円です。歩合の額を3通りに変えると、次のようになります。
| その月の歩合 | (B)歩合÷180時間 | (A)+(B) | 東京(1,280円)と比べると | 宮崎(1,085円)と比べると |
|---|---|---|---|---|
| 0円 | 0円 | 937.5円 | 下回る | 下回る |
| 3万円 | 約166.7円 | 約1,104.2円 | 下回る | 上回る |
| 8万円 | 約444.4円 | 約1,381.9円 | 上回る | 上回る |
※計算の方法は厚生労働省 スタートアップ労働条件「歩合給制とはどのような制度ですか?」の(A)+(B)によります。固定給・時間・歩合の額は説明のために置いた数字で、実在の人の給料ではありません。最低賃金は令和8年度の答申額です。
同じ給料でも、宮崎なら最低賃金を上回り、東京なら下回ります。どの都道府県で働くかによって、下限の線は違うということです。
自分の都道府県の最低賃金は、いくら?
令和8年度の地域別最低賃金は、最も高い東京が1,280円、最も低い宮崎が1,085円です。主な都道府県を並べました。
新しい額が使われ始める日は、都道府県によって違います。たとえば東京・大阪・愛知は令和8年10月1日、熊本と岩手は12月1日、沖縄は12月2日の予定です。
歩合給の残業代は、どう計算する?
歩合給でも残業代は出ます。ただし歩合の部分は、固定給と計算の仕方が違います。
歩合の部分は「0.25倍」だけ?
歩合給は残業した時間も含めた成果で計算されるので、時間あたりの賃金の「1倍分」はすでに払われているという考え方です。残業代として払うのは割増分だけ、というのが原則で、計算式は次のとおりです。
- 時間外労働: 歩合の総額 ÷ 総労働時間 × 0.25 × 時間外労働の時間
- 法定休日の労働: 歩合の総額 ÷ 総労働時間 × 0.35 × 法定休日に働いた時間
- 深夜(22時〜翌5時)は、さらに0.25を足す
- 時間外労働が1か月60時間を超えた分は、さらに0.25を足す
出典:厚生労働省 スタートアップ労働条件「歩合給制とはどのような制度ですか?」、労働基準法第37条・同施行規則第19条
上の計算例(歩合3万円・総労働時間180時間)で、うち20時間が時間外だった場合、歩合の部分の残業代は3万円÷180時間×0.25×20時間で、約833円になります。
固定給の部分は、どう計算する?
固定給の部分は、ふだんの残業代と同じ考え方です。労働基準法第37条により、時間あたりの賃金に2割5分以上の割増をつけます。労働基準法施行規則第19条第1項第7号により、固定給と歩合が混ざった給料は、それぞれの部分を計算して合計します。
最低賃金に入れない手当の扱いも含め、自分の給料で具体的にいくらになるかは、給与明細と労働時間の記録を持って、勤務先か労働基準監督署で確かめてください。
雇用か業務委託か、どこで分かれる?
業務委託(個人事業主として仕事を請ける形)なら、労働基準法27条も最低賃金法も原則として適用されません。ただし、どちらに当たるかは契約書の名前ではなく、働き方の実態で決まります。
契約書に「業務委託」とあれば、業務委託?
それだけでは決まりません。厚生労働省は、労働基準法上の労働者に当たるかどうかは「契約の形式や名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断される」としています。労働基準法第9条は、労働者を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めています。
何を見て判断される?
労働者かどうかの判断基準をまとめた資料に、昭和60年の労働基準法研究会報告があります(厚生労働省のサイトに掲載)。報告は「指揮監督下の労働」と「報酬が労務の対価か」を合わせて「使用従属性」と呼び、次の材料で総合判断するとしています。
| 判断の材料 | 労働者性を強める事情 | 労働者性を弱める事情 |
|---|---|---|
| 仕事の依頼を断れるか | 断る自由がない | 断る自由がある |
| 仕事の進め方の指示 | 内容や進め方を具体的に指示される | 注文する側がふつうにする程度の指示だけ |
| 勤務場所・時間 | 指定され、管理される | 指定も管理もされない |
| 代わりの人 | 本人が働くしかない | 他の人に任せたり、補助者を使ったりできる |
| 報酬の性格 | 時間給が基礎で結果による差が少ない、欠勤で減る、残業で別の手当が出る | ― |
| 道具・機械 | ― | 著しく高価なものを自分で持つ |
| 報酬の額 | ― | 同じ仕事の正社員より著しく高い |
| 専属性 | 他社の仕事が制度上・事実上できない、固定給があり生計を維持できる額 | ― |
| 会社の扱い | 給与所得として源泉徴収、労働保険の適用、服務規律や退職金の適用 | ― |
出典:厚生労働省掲載「労働基準法研究会報告(労働基準法の『労働者』の判断基準について)」(昭和60年12月19日)の要素を、記事用に短くまとめたもの。「―」は報告にその向きの記載がない欄です。1つの事情だけでは決まらず、総合判断です。
たとえば、出社時刻と担当エリアを決められ、上司の指示どおりに回り、他社の仕事はできない。それなのに契約は業務委託で報酬は成果だけ、という場合は、労働者に当たる可能性があります。
業務委託でも、守られることはある?
あります。2024年11月から、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)が施行されました。従業員を使わずに1人で仕事を請ける人に業務委託をした会社は、仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどで示さなければなりません(第3条)。
従業員を使っている会社が発注する場合、報酬の支払期日は、成果物や役務を受け取った日から60日以内で、できる限り短く定める決まりです(第4条)。報酬がゼロの月があり得ること自体は変わらないので、業務委託を選ぶなら、報酬の計算方法と支払期日を書面で受け取ってから始めます。
迷ったら、どこに相談できる?
全国の労働基準監督署に、自分が労働者に当たるかもしれないと考えるフリーランス向けの相談窓口があります(平日8時30分〜17時15分)。雇用の契約で保障給や最低賃金が気になるときも、労働基準監督署か、都道府県労働局などにある総合労働相談コーナー(378か所)で相談できます。
内定したら、書面で何を確かめる?
労働基準法第15条により、会社は労働契約を結ぶときに労働条件を示さなければなりません。賃金の決め方・計算・支払の方法は、書面で渡すことが決まっています(労働基準法施行規則第5条)。歩合の計算式も、この書面で確かめられます。
聞いていた話と違ったら?
労働基準法第15条第2項により、示された労働条件が事実と違う場合、働く人はすぐに労働契約を解除できます。採用の現場で聞いた40代・50代の転職の失敗談でも、「話とちがった」(入社前に聞いていた話と実際が違う)が挙がっていました。入社前に聞いた話を書面と照らしておくと、違ったときに比べる材料が残ります。
入社前に確かめる手順は40代の転職で失敗しないためににもまとめています。
書面で確かめる7項目は?
- 契約の名前は雇用か業務委託か。業務委託なら、時間・場所の指定や仕事の断りにくさが、上の表のどちら寄りか
- 歩合の計算式が書いてあるか(何を1件決めると、いくら入るか)
- 歩合の割合が大きい給料なら、保障給の定めと額
- 固定給と歩合の割合(固定給が賃金総額のおおむね6割程度より少ないか)
- 残業代の扱い(歩合の部分の割増をどう計算するか)
- 働く都道府県の最低賃金と、固定給÷1か月平均の所定労働時間の額
- 業務委託なら、報酬の額と支払期日が書面かメールで示されているか
年収の話は、面接で普通に伝えて大丈夫です。監修者は、面接で「給料を上げたい」とそのまま言って良いと話しています。聞き方に迷う人は35歳以上・40代の面接で落ちるのはなぜ?も参考にしてください。
まとめ
歩合制は、成果に応じて給料が決まる仕組みです。雇われて歩合で働き、固定給が賃金総額のおおむね6割に届かないなら、保障給の定めは会社の義務で、目安は平均賃金の6割程度です(厚生労働省のQ&Aが紹介する通達)。最低賃金も残業代も歩合給に適用されます。固定給も保障給もない完全歩合が成り立つのは、実態まで業務委託の場合です。
仕組みを知れば、雇用なら「売れなければゼロ」にはならないと分かります。そのうえで監修者は、数字の追い方は会社によって違うので、合うところを選べば数字が苦手でもやっていけると話しています。
一方で、年齢を重ねるごとに移るのが難しくなるのは事実です。監修者は、動かなかったことを悔やむ人から「あの時やっていれば、これくらいの年収になっていたのかもしれない」と打ち明けられてきました。応募するかどうかは後で決めてかまいません。給料の形まで含めて、自分に合う会社があるかだけは、今のうちに確かめておきましょう。
「歩合制 完全歩合制」が自分の場合どうなのか、話して確かめたい方へ
よくある質問
歩合制とは何ですか?
売上や契約件数などの成果に応じて給料が決まる仕組みです。厚生労働省は「出来高払制」「請負給制」とも呼ばれると説明しています。固定給に成果分を足す形と、固定給がなく成果だけで決まる完全歩合(フルコミッション)があります。
完全歩合制は違法ですか?
会社に雇われて働く場合、固定給も保障給もない完全歩合は労働基準法第27条に反します。厚生労働省は、保障給を実際に払わなかったときだけでなく、保障給を定めていないだけでも法違反になると解されると紹介しています。罰則は30万円以下の罰金です。実態も業務委託なら、27条は適用されません。
保障給はいくらですか?平均賃金の6割というのは本当ですか?
労働基準法の条文に金額はありません。厚生労働省のQ&A(スタートアップ労働条件)は、通達(昭和22年基発17号・昭和63年基発150号)を引いて「通常の実収賃金と余りへだたらない程度」とし、少なくとも平均賃金の6割程度を保障するのが妥当だと紹介しています。タクシー・トラックなどの運転手は、別の通達で「固定的給与と併せて通常の賃金の6割以上」とされています。
歩合給でも最低賃金や残業代はもらえますか?
どちらも対象です。最低賃金は、歩合の総額をその期間の総労働時間で割った額に、固定給を1か月平均の所定労働時間で割った額を足して比べます。残業代は、歩合の部分は「歩合の総額÷総労働時間×0.25×残業時間」が原則です(厚生労働省のQ&A)。
固定給と歩合の両方がある場合も、保障給は必要ですか?
厚生労働省のQ&Aでは、固定給の部分が賃金総額のおおむね6割程度以上を占める人は、27条の対象にならないとされています。固定給が少なく歩合の割合が大きい場合は対象になるので、保障給の定めがあるかを確かめてください。
契約書が「業務委託」なら、完全歩合でも問題ありませんか?
契約書の名前だけでは決まりません。厚生労働省は、労働者に当たるかどうかは「契約の形式や名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断される」としています。仕事を断れるか、時間や場所を指定されるかなどで判断され、迷ったら全国の労働基準監督署にある相談窓口で聞けます。
- 給料が上がらず、このままでいいか迷っている方
- 未経験の仕事に移りたいが、35歳以降で大丈夫か不安な方
- 転職エージェントで紹介できる求人がないと言われた方
- e-Gov法令検索「労働基準法」第9条・第12条・第15条・第26条・第27条・第37条・第120条
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条・第19条
- e-Gov法令検索「最低賃金法」第2条・第4条・第40条
- e-Gov法令検索「最低賃金法施行規則」第2条
- 厚生労働省 スタートアップ労働条件「歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。」
- 厚生労働省「改善基準告示」(トラック・バス・タクシー運転者の労働時間等の基準)
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」(令和8年9月3日)
- 厚生労働省掲載「労働基準法研究会報告(労働基準法の『労働者』の判断基準について)」(昭和60年12月19日)
- 厚生労働省「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を労働基準監督署に設置します(令和6年10月25日)
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」第3条・第4条
人材紹介の仕事に約5年携わり、人材紹介会社で事業部の責任者も務める。これまで数千人以上の求職者と面談。営業職への転職支援を得意とする。印象に残っているのは、営業未経験だった40代の方が転職し、3年目以降に年収2000万円を超えたこと(個人の実績で、全員が同じようになるわけではありません)。「年齢に関係なく、キャリアは変えることができる。」
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執筆:35歳からの稼げる転職 編集部。採用の現場で見てきた実例と、公的な統計をもとに書いています。