不動産営業の年収はいくら?年齢別・男女別と「660万円」の正しい読み方|35歳から入る人向け
不動産営業の平均年収は約660万円前後です。厚生労働省の令和7年の統計で不動産に近い3つの区分を見ると、どれも655万〜665万円に収まり、年齢別では35〜39歳で約647万円、50〜54歳で約830万円です。長く続けた人を含む平均なので、35歳から未経験で入る人は「何年目にどこまで上がるか」で見てください。
不動産営業は稼げると聞くけれど、本当のところ年収はいくらなのか。35歳を過ぎて別の仕事から入っても、その数字に届くのか。調べると600万円台、700万円、1,000万円以上と数字がばらばらで、かえって分からなくなった人もいると思います。
この記事では、厚生労働省の令和7年の統計から、不動産営業の年収を平均・年齢別・男女別・経験年数別に並べます。数字がばらばらに見える理由と、給料が決まる仕組み(歩合・宅建・1件の単価)も整理しました。地域別・会社の規模別・売買や賃貸といった職種別の年収、歩合の率や宅建手当の相場は、国の統計に無いため扱いません。
不動産営業の平均年収はいくら?
不動産営業の平均年収は約660万円前後です。厚生労働省のjob tagは「住宅・不動産営業」を660.7万円としていて、同じ調査で不動産に近い区分を3つ見ても、655万〜665万円に収まります。
job tagの「660.7万円」は、何の数字?
job tagの数字は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を加工したものです。ただ、この調査には「不動産営業」だけの区分がありません。調べると、660.7万円は同じ調査の「その他の営業職業従事者」の年収とぴったり一致しました。
この区分には、不動産セールス員のほか、食品や医薬品の営業、広告の営業なども入っています。job tag自身も、統計データは必ずしもその職業だけの数字ではないと注記しています。それでも検索で上に出る記事には、この数字を不動産営業だけの平均として紹介しているものがあり、注意が必要です。
不動産に近い3つの区分で比べると?
そこで、同じ調査から不動産に近い区分を3つ並べました。job tagの元になった「その他の営業職業従事者」に、不動産仲介人・売買人が入る「販売類似職業従事者」と、不動産業の会社で働く「販売従事者」を加えた3つです。
| 区分(令和7年) | 男女計 | 男性 | 女性 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| その他の営業職業従事者(不動産セールス員を含む。job tagの元) | 約660.7万円 | 約689.0万円 | 約552.6万円 | 42.4歳 |
| 販売類似職業従事者(不動産仲介人・売買人を含む) | 約664.5万円 | 約700.7万円 | 約559.6万円 | 40.4歳 |
| 不動産業・物品賃貸業で働く販売従事者 | 約655.6万円 | 約692.3万円 | 約539.9万円 | 39.0歳 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表・第20表、役職及び職種解説。企業規模10人以上。年収=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で計算。3つ目は物品賃貸業(レンタル・リース)の販売従事者も含む
どの区分で見ても、男女計は660万円前後です。比べると、販売従事者全体(産業計)の約536万円より、不動産業の販売従事者は約120万円高くなっています。同じ営業でも保険の営業は区分が別で、数字は保険営業の年収で見られます。
平均に入っていない人は?
この統計は、会社に雇われて働く人(一般労働者)の平均です。業務委託や自営で働く人は入っていません。job tagの「一般的な就業形態」(複数回答)では、「自営、フリーランス」が21.1%ありました。
雇われずに完全歩合で働く人の年収は、この平均の外にあります。上の数字は、会社員として入ったときの目安として見てください。
別の仕事から移って、年収はどう変わった?
平均は長く続けている人も含む数字なので、「35歳から入ったら」の答えにはなりません。採用の現場で見てきた方の中には、接客や営業の経験から転職して年収を上げた人がいます。
年収400万円 → 4年目に800万円。
年収450万円 → 4年目に900万円。
年収520万円 → 3年目に800万円。
※採用の現場で見てきた例です。年収は目安で、転職後の年数は人によって違います。個人の実績であり、全員が同じようになるわけではありません。移った先の職種は人によって違います。
3人の年収は、何年目に上がった?
3人とも、上がった年収は3〜4年目の数字です。入ってすぐではありません。5年単位で考えたら、給料の合計が大きく上がるケースは十分にある、と監修者は話しています。1〜2年で判断せず、5年間の給料の合計で今の仕事と比べると、見え方が変わります。
1年目は、下がることもある?
固定給が決まった時点で比べると、前の仕事より下がる人は多いです。一方で、インセンティブが加わって上がる人も多くいます。前と同じ職種への転職なら、固定給の段階で上がるケースもあるそうです。
監修者の話では、不動産のように1件の値段が高い商品は、成果が出るまでの時間が長くなります。そのかわり、安いものを数多く売る仕事より楽な面もある、とのことです。最初の3か月は、知識を覚えることと先輩から吸収することに使ってください。
不動産営業の年収は、年齢別にどう変わる?
job tagの年齢別の年収は、35〜39歳で約647万円、50〜54歳で約830万円、55〜59歳で約872万円です。60歳を過ぎると約635万円に下がります。
35〜39歳・40代・50代の年収は?
| 年齢 | 年収 | 1つ下の年齢との差 |
|---|---|---|
| 35〜39歳 | 約646.8万円 | +約50.1万円 |
| 40〜44歳 | 約720.0万円 | +約73.2万円 |
| 45〜49歳 | 約745.2万円 | +約25.2万円 |
| 50〜54歳 | 約830.1万円 | +約84.9万円 |
| 55〜59歳 | 約871.9万円 | +約41.8万円 |
出典:job tag(厚生労働省)「住宅・不動産営業」年齢別の年収(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)。差は前の年齢階級(30〜34歳は約596.7万円)との差を計算
年齢ごとに別の人を並べた平均で、1人の給料がこう増えていくわけではありません。元になった「その他の営業職業従事者」の50〜54歳は、平均の勤続年数が20.9年です。
経験年数で見ると、最初の給料は?
年齢より自分に近いのが、経験年数別の数字です。job tagの経験年数別の所定内給与(残業代と賞与を除いた月給)は、0年で34.2万円、15年以上で46.2万円でした。
| その仕事の経験年数 | 所定内給与(月額) |
|---|---|
| 0年 | 34.2万円 |
| 1〜4年 | 35.4万円 |
| 5〜9年 | 37.2万円 |
| 10〜14年 | 39.9万円 |
| 15年以上 | 46.2万円 |
出典:job tag(厚生労働省)「住宅・不動産営業」経験年数別の所定内給与額(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
経験0年と15年以上の月給の差は、約12万円です。経験年数はその仕事に就いてからの年数で、年齢とは別に数えています。
同じ不動産営業でも、給料の差は大きい?
job tagの所定内給与の分布を見ると、月30万円未満が約3割、50万円以上が約2割いました。最も多い層は月40万〜45万円未満の約11%で、1か所に固まっていません。
同じ「不動産営業」でも、受け取る額には幅があります。平均の660万円だけを見て、自分も同じになると考えない方が安全です。入る会社の給料の組み立ては、後半のチェックリストで確かめてください。
男女別の年収は?女性は不利?
令和7年の統計で、不動産業の会社で働く販売従事者は、男性が約692万円、女性が約540万円でした。差は約150万円です。
男女の差は、どこから来ている?
統計から理由は言い切れませんが、並べると違いが見えます。女性の平均年齢は36.9歳で男性(39.7歳)より若く、平均の勤続年数も7.6年と男性の9.9年より短めです。年収の差約150万円の内訳は、毎月の給与で年に約82万円、賞与で約71万円です。
年齢も勤続年数も違う人どうしの平均なので、同じ条件で働いたときの差ではありません。
女性はどのくらい働いている?
不動産業の販売従事者のうち、女性は約24%です。4人に1人が女性という計算になります。
監修者によると、女性が評価されやすいのは、細やかさや丁寧さが求められる営業です。勢いだけで押す営業とは違います。
不動産営業の給料は、どう決まる?
job tagは、給与は会社ごとの規定によるとしたうえで、基本給のほかに売上に応じた歩合給がつく場合もある、と書いています。同じ不動産営業でも、給料の組み立ては会社ごとにばらばらです。
歩合がつきやすいのは、1件の単価が高いから?
不動産会社が受け取る仲介手数料には、国の決めた上限があります(宅地建物取引業法 第46条)。国土交通省の説明では、売買なら物件価格に応じて段階的に決まります。
| 取引 | 会社が受け取れる仲介手数料の上限(税込) |
|---|---|
| 売買・物件1,000万円 | 依頼者の一方から39.6万円 |
| 売買・物件3,000万円 | 依頼者の一方から105.6万円 |
| 売買・物件800万円以下(空き家等の特例) | 依頼者の一方から33万円 |
| 賃貸・家賃8万円(居住用) | 貸主・借主の合計で8.8万円 |
出典:国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」。1,000万円は同ページの計算例。3,000万円と家賃8万円は同ページの計算方法(200万円以下5.5%・200万超400万円以下4.4%・400万円超3.3%/賃貸は家賃1か月分×1.1倍)で計算
これは会社に入るお金の上限で、営業担当者の給料ではありません。ただ、1件で動く金額が大きく、1件の成約がそのまま会社の売上に表れる仕事だということは分かります。
歩合の率は、どのくらい?
歩合の率は会社ごとに違い、公的な統計はありません。求人票の「月給◯万円+インセンティブ」だけでは中身が分かりません。何が成約1件として数えられ、売上の何割が歩合になるのかを、面接で聞いてください。
会社に雇われて歩合で働く場合、労働基準法第27条で、会社は労働時間に応じた一定額の賃金を保障する義務を負います。くわしくは歩合制とは?完全歩合制は違法かにまとめました。
労働時間と休日は?
令和7年の統計では、不動産業の販売従事者の所定内の労働時間が月164時間、残業が月12時間(合わせて176時間)でした(6月分の平均)。job tagは、お客様の都合に合わせて日曜・祝日に案内することが多く、休日は平日に取るところが多いと書いています。
土日に家族と過ごしたい人は、休みの曜日を応募前に確かめてください。歩合の営業のきつさは歩合制・インセンティブの営業はきつい?、ノルマや残業のうわさの真偽は「営業はやめとけ」は本当?で確かめられます。
宅建を取ると、年収は上がる?
宅建(宅地建物取引士)の資格手当の額は会社ごとで、国の統計にはありません。ただ、会社が宅建を持つ人を必要とする理由は、法律で決まっています。
宅建士がいないと、会社は何が困る?
宅地建物取引業法は、不動産会社に、事務所ごとに一定数の専任の宅建士を置くよう義務づけています(第31条の3)。施行規則では、その数を、事務所で働く人の5分の1以上としています。
契約前に行う重要事項の説明も、宅建士にしかできません(第35条)。途中で足りなくなったら2週間以内に補う決まりです(第31条の3第3項)。
宅建は、どのくらい難しい?
不動産適正取引推進機構によると、令和7年度の宅建試験は受験者245,462人に対し、合格者は45,821人でした。合格率は18.7%です。
job tagも、入職に学歴や資格は必要ないとしています。資格がないまま入って、働きながら取る道も選べます。
入社前に取っておくべき?
入る時点では必須ではありません。宅建を持っていると手当がつくのか、合格したら給料がどう変わるのかは会社ごとに違うので、応募先に聞いてください。入社後に取るなら、会社が勉強の時間や費用をどう支えてくれるかも確かめておくと安心です。
未経験でも入れる?求人は多い?
求人は多い仕事です。job tagのハローワーク求人統計(令和7年度)では、住宅・不動産営業の有効求人倍率は2.72倍でした。仕事を探す人1人に対して、求人が2.72件ある計算です。
求人の月給は、どのくらい?
ハローワークの求人賃金(月額)は令和7年度で30.4万円、前年度より0.9万円上がっています。令和8年6月の求人では30.2万円でした。
求人賃金はハローワークの求人票に書かれた月額で、賞与を含む統計の年収とは集め方が違います。月給の目安として見てください。
35歳を過ぎてからでも、評価される?
監修者は、35歳以上の強みとして、社会に出てから積んだ経験の長さと、相手から信頼されやすいことを挙げています。営業によっては、若いことがかえって不安に思われる場合もあるそうです。40代で営業未経験から移るときの準備は、40代・未経験からの転職は厳しい?にまとめました。
向き不向きは不動産営業に向いている人の特徴は?、営業全般の向き不向きは営業に向いてる人・向いていない人の違いは?にまとめています。
応募する前に、年収面で何を確かめる?
job tagも書いているとおり、給料は会社ごとの規定で決まるものです。自分の年収を見積もるには、平均より入る会社の仕組みを知る必要があります。面接や内定の段階で、次の7つを確かめてください。
- 固定給はいくらか。歩合を除いた月給で、今の手取りと比べて生活できるか
- 歩合は何に対して、何割つくか。成約1件の数え方
- 歩合が少ない月でも、最低いくら受け取れるか
- 入社3年目くらいの社員は、年収いくらになっているか
- 宅建を持っていると手当はつくか。合格すると給料はどう変わるか
- 休みは何曜日か。土日に休める日はあるか
- 雇用契約か業務委託か。書面(労働条件通知書)で確かめられるか
「給料を上げたい」は、面接でそのまま伝えて大丈夫です。40代・50代で転職して失敗したと話す人に一番多い理由は「話とちがった」だと、監修者は話しています。聞いた数字は、書面で残してください。
まとめ
不動産営業の平均年収は約660万円前後で、年齢別には35〜39歳の約647万円から、55〜59歳の約872万円まで上がります。ただし、これは長く続けてきた人を含む平均です。35歳から入る人が見るべきなのは、経験0年の月給(34.2万円)と、3〜5年で給料がどう変わる会社かです。
監修者は、家族から「大変なんじゃないの?」と聞かれたら「大変です」と答えるそうです。年収を上げるには時間がかかる、でも挑戦できるのは今しかない、とも話しています。監修者も、若い方が求められやすいと話しています。
採用の現場では、合う仕事かどうかを話し方・志向性・これまでの経験で見てきました。あなたに合う会社なら、未経験からでも年収を積み上げていける人がいる、というのが現場の実感です。後悔しないために、今の仕事以外に選択肢があるかだけは、早めに確かめておいてください。
「不動産営業」が自分の場合どうなのか、話して確かめたい方へ
よくある質問
不動産営業の平均年収はいくらですか?
約660万円前後です。厚生労働省の職業情報サイトjob tagでは「住宅・不動産営業」の年収が660.7万円(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)。同じ調査で不動産業の会社で働く販売従事者を見ても約656万円で、ほぼ同じ水準です。会社に雇われている人の平均で、業務委託や自営の人は入っていません。
不動産営業の年収は、年齢別にどう変わりますか?
job tagのデータでは、35〜39歳で約647万円、40〜44歳で約720万円、45〜49歳で約745万円、50〜54歳で約830万円、55〜59歳で約872万円です。60〜64歳は約635万円に下がります。年齢ごとに別の人を並べた平均で、1人の給料の推移ではありません。
女性の不動産営業の年収はいくらですか?
令和7年の賃金構造基本統計調査で、不動産業の会社で働く販売従事者の女性は約540万円、男性は約692万円です。女性の平均年齢は36.9歳で男性より3歳ほど若く、働く人の約4分の1が女性です。
未経験から不動産営業に入ると、1年目の年収はどうなりますか?
固定給だけで比べると、前の仕事より下がる人は多いです。一方でインセンティブ(歩合)が加わって上がる人も多く、固定給の時点で上がりやすいのは同じ職種に移るときです。応募前に、固定給と歩合の内訳を書面で確かめてください。
宅建を取ると、不動産営業の年収は上がりますか?
宅建の資格手当の額は会社ごとで、国の統計にはありません。法律上、不動産会社は事務所で働く人の5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置く必要があり、契約前の重要事項の説明も宅建士にしかできません。資格がある人を会社が必要とする仕組みは法律で決まっています。
売買と賃貸の営業では、どちらが年収が高いですか?
国の統計に売買・賃貸を分けた年収はありません。分かるのは会社が受け取る仲介手数料の上限で、売買は物件価格に応じて決まり、3,000万円の物件なら一方から最大105.6万円(税込)、賃貸は双方合わせて家賃1か月分×1.1倍までです。歩合の率は会社ごとなので、応募先で確かめてください。
- 給料が上がらず、このままでいいか迷っている方
- 未経験の仕事に移りたいが、35歳以降で大丈夫か不安な方
- 転職エージェントで紹介できる求人がないと言われた方
人材紹介の仕事に約5年携わり、人材紹介会社で事業部の責任者も務める。これまで数千人以上の求職者と面談。営業職への転職支援を得意とする。印象に残っているのは、営業未経験だった40代の方が転職し、3年目以降に年収2000万円を超えたこと(個人の実績で、全員が同じようになるわけではありません)。「年齢に関係なく、キャリアは変えることができる。」
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執筆:35歳からの稼げる転職 編集部。採用の現場で見てきた実例と、公的な統計をもとに書いています。