転職理由が人間関係でも大丈夫?35歳以上の面接での伝え方と、次で繰り返さない会社の選び方
転職理由が人間関係でも、面接で本音を入り口に話して大丈夫です。厚生労働省「令和2年 転職者実態調査」では、自分から辞めた人のうち人間関係を理由に挙げた人は40〜44歳で20.5%、50〜54歳で31.9%でした。大事なのは、何がつらかったのかを分けて言葉にし、次の会社を給料や休みの条件だけで選ばないことです。
上司の顔を見るだけで胃が重い。職場の空気が張り詰めていて、毎朝ため息が出る。辞めたい本当の理由は人間関係なのに、35歳を過ぎて面接でそれを言ったら「この人はどこへ行っても同じでは」と思われそうで、言葉が出てこない。
この記事は、人間関係で辞めたい・辞めた人のためのものです。面接でどう話すかと、次の会社で同じことを繰り返さないための選び方の2つだけを扱います。転職理由の伝え方の基本は転職理由の伝え方にまとめています。パワハラなどに当たるかの法的な判断と、求人票で人間関係の良い会社を見分ける方法は、確かな根拠がないのでここでは扱いません。
転職理由が人間関係でも、面接で正直に話していい?
はい、話して大丈夫です。人間関係を入り口にして、何がつらかったのかを環境の言葉に直し、次にどう働きたいかまで話せば伝わります。落ちる理由になるのは、人間関係という中身ではなく、本音を隠すことです。
隠して別の理由を話すと、何が起きる?
採用の現場では、本音を隠していることが選考に落ちる理由のひとつだと見てきました。本当は人間関係で辞めたのに「スキルアップのため」と話すと、深掘りされたときに答えが続きません。
面接官は、話のつじつまが合っているかを見ています。最初から本音をもとに組み立てておけば、何を聞かれても同じ話に戻れます。
人間関係で辞める人は、どれくらいいる?
自分から会社を辞めた人に理由を3つまで聞いた厚生労働省の調査では、人間関係を挙げた人は年齢が上がるほど増え、50〜54歳では3割を超えました。
面接官の側から見ても、人間関係は見慣れた理由です。ほかの理由と並べた年代別の順位は転職理由ランキングで見られます。
面接官は「人間関係で辞めた」と聞いて、何を確かめたい?
確かめたいのは、うちの会社に入って力を出してくれるかです。採用の現場でも、企業が転職理由で一番気にしているのはここでした。人間関係が理由の場合は、とくに次の2つを見ています。
うちに来ても、また同じことにならない?
前の職場で合わなかった相手や環境が、うちにもあるかもしれない。面接官はそう考えます。そこで「何が合わなかったのか」が具体的に分かると、自社と比べて判断できます。
「人間関係が悪かった」だけでは、比べる材料がありません。上司の指示の出し方なのか、チームの連携なのか、中身まで話せる人なら、面接官も安心して採用を決められるでしょう。
人のせいだけにしていない?
「上司が悪い」「同僚が動かない」で話が終わると、うちでも同じ言い方をするのでは、と受け取られかねません。相手に非があったとしても、面接の場で人を評価する言葉は使わないほうが無難です。
代わりに添えたいのが、自分がその中でどう動いたかです。会社に相談した、担当の替え方を提案した、といった行動を1つ話せれば十分でしょう。
人間関係で動いても、収入はあきらめなくていい?
あきらめなくて大丈夫です。厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」では、転職して賃金が増えた人は40〜44歳で45.9%、45〜49歳で46.4%でした。採用の現場でも、職場の人と毎日顔を合わせる仕事から移り、年収を上げた方を見てきました。
チームで働く仕事から移った人は?
年収350万円 → 2年目に530万円。
年収330万円 → 2年目に520万円。
年収350万円 → 2年目に520万円。
※採用の現場で見てきた例です。年収は目安で、転職後の年数は人によって違います。個人の実績であり、全員が同じようになるわけではありません。3人が前の職場を辞めた理由は、ここでは書いていません。
移った1年目は、年収が下がらない?
採用の現場では、固定給が決まっている形だと1年目は下がることもあると見てきました。ただ、インセンティブで上がる人は多くいます。固定給のまま上がるのは、同じ職種に移るときです。
国の調査でも、転職して賃金が増えた人は35〜39歳で45.5%、40〜44歳で45.9%、45〜49歳で46.4%でした(厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」表6)。人間関係で動くことは、収入をあきらめることと同じではありません。
何が「人間関係」だったのか、分けて書き出すと?
「人間関係がつらい」をそのまま話そうとすると、悪口か愚痴に聞こえます。何がつらかったのかを分けると、面接の言葉も、次の会社で確かめることも決まります。
つらかった中身ごとに、面接の言葉と確かめることは?
| つらかった中身 | 面接での言い方の方向 | 次の会社で確かめること |
|---|---|---|
| 上司の指示や評価が人によって変わる | 評価の基準が見える環境で、成果を出したい | 評価を誰が、何で決めているか |
| 部署どうしの連携がなく、孤立していた | チームで目標を共有して働きたい | 配属先の人数と、目標の決め方 |
| 職場の空気が張り詰め、相談しにくい | 分からないことを聞ける環境で早く覚えたい | 入社後に誰が仕事を教えるか |
| 社内の調整ばかりで、お客様と向き合えない | お客様との関係づくりに時間を使いたい | 1日のうち社外の仕事がどれくらいか |
| いじめ・ハラスメントがあった | 事実を1文で伝え、働きたい環境を話す | 相談できる窓口や上司がいるか |
※編集部が整理した書き出しの例です。左の列は自分の場面に置き換えて使ってください。
「人」を「仕組み」に言い換えるには?
主語を人から職場の仕組みに替えるだけです。「課長が気分で評価を変えた」なら「評価の基準が決まっていなかった」。
この言い換えは、本音を消すことではありません。何に困ったのかは同じで、相手を責める言葉を外しただけです。だから深掘りされても、話がぶれません。
辞める前に、自分で試したことは書く?
書いておきます。上司に相談した、異動を願い出た、といった行動が1つあれば、面接で「自分なりに動いた人」として伝わります。
何も試していないなら、今からでも遅くありません。採用の現場では、辞めたいと言いながら残った人は、会社の人としっかり話していました。話してみて変わらなかったという事実は、そのまま面接で使えます。
面接では、どの順番でどこまで話す?
1分ほどにまとめ、「辞めた理由」は短く、「次にしたいこと」を長くするのが基本です。話す長さの目安と、退職理由・志望動機との違いは転職理由の伝え方で説明しました。
話す順番は?
- 結論:何が合わなかったのかを、仕組みの言葉で1文に
- 自分が試したこと:相談した、提案したなど、1つ
- 次にしたいこと:どんな環境で、何をしたいか
- それを裏づける経験:前の仕事でうまくいった場面を1つ
例えば、上の表の1行目なら次のようになります。
前の職場では、評価の基準がはっきりせず、何を頑張れば認められるのかが見えにくい環境でした。上司にも基準を確認しましたが、変わりませんでした。次は、成果の基準がはっきりした場所で、数字を追って働きたいと考えています。前職では【毎月の目標を自分で立てて振り返り、達成を続けてきました】。
【 】はあなた自身の経験に入れ替えてください。同僚・雰囲気・調整などほかの場面の例文は転職理由の例文にあります。
パワハラやいじめが理由のときは?
事実を1文で伝え、すぐに次の話へ移ります。「上司から人格を否定される言葉が続き、会社にも相談しましたが改善しなかったため退職しました」で十分です。細かい出来事を並べるほど、面接の時間が前の職場の話で埋まってしまいます。
職場のいじめ・嫌がらせは、国の窓口に寄せられる民事上の個別労働関係紛争の相談で一番多い内容です。厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」では、民事上の個別労働関係紛争の相談のうち「いじめ・嫌がらせ」が5万5,614件(17.0%)で、14年続けて最多でした。あなただけが特別に弱かったわけではありません。
「具体的には?」と深掘りされたら?
| 深掘りの質問 | 答えの方向 | 避けたい答え |
|---|---|---|
| 具体的に何があったのですか? | 場面を1つだけ、仕組みの言葉で | 出来事を時系列で全部話す |
| あなたにも原因はありましたか? | 自分が変えられた点を1つ認め、試したことを話す | 「ありません」で終える |
| うちでも合わない人がいたらどうしますか? | 前の職場で試した相談のしかたを、次も使うと話す | 「合わなければまた考えます」 |
| 異動などで解決できなかったのですか? | 相談した事実と、結果を短く | 「言っても無駄だと思った」 |
※編集部が整理した答え方の例です。答えは必ずあなたの実際の経験で組み立ててください。
1〜2年で辞めていても大丈夫?
短い在籍で次に移る人は珍しくありません。令和2年 転職者実態調査(表12)では、転職した35〜39歳の28.2%が、前の会社に2年未満しかいませんでした。
見られるのは長さより、なぜ合わなかったのかと、次は何を基準に選んだのかです。後者は次の章で決めます。在籍が短い場合ほど、この2つを先に用意しておきましょう。
履歴書や職務経歴書には、どう書く?
自分から辞めたなら「一身上の都合により退職」で足ります。人間関係の中身は書類に書かず、面接で聞かれたときに話せば十分です。
職務経歴書には、前の職場で工夫したことを具体的に書いておきましょう。面接で話す「裏づける経験」と同じ場面を書いておくと、書類と話がつながります。面接の態度や準備で差がつくところは35歳以上の面接で落ちる人・通る人で扱っています。
次の会社で同じことを繰り返さないには、何で選ぶ?
答えは、辞めた理由と同じ物差しで選ぶこと。人間関係で辞めたのなら、人との関わり方が自分に合うかを、条件より先に確かめます。
人間関係で辞めたのに、条件で探してしまうのはなぜ?
採用の現場で見てきた人間関係で辞めた人のつまずきは、次の会社を給料や休みで探していたことでした。つらさから早く抜けたいとき、比べやすい数字に目が向くのは自然なことです。
国の調査でも、今の会社を選んだ一番の理由として並ぶのは、労働条件・技能が生かせる・仕事の内容などで、人間関係という項目はありません(令和2年 転職者実態調査 表21-2)。この調査では、選んだ理由の選択肢に人間関係がありません。選び方に気をつけないと、同じ理由でまた辞めることにもなります。
合う会社かどうかは、何で見る?
採用の現場で合う仕事を見極めるときに見ているのは、条件ではなく、その人の話し方、何を大事にしたいか(志向性)、これまでの経験の3つです。
例えば、上の表で「評価の基準が見えない」がつらかった人なら、数字で評価が決まる仕事のほうが合うかもしれません。「孤立していた」人なら、チームで目標を追う職場が向いているかもしれません。辞めた理由の書き出しが、そのまま選ぶ基準になります。
入社前に、人間関係について何を聞ける?
入社してから「話とちがった」と感じる例の中には、社内の人間関係が入社前に聞いていた話と違った、というものもあります。面接の最後の質問の時間を使って、次のように聞いてみてください。
- 配属先は何人くらいで、誰の下で働きますか
- 入社後、仕事は誰から教わりますか
- 評価は誰が、どんな基準で決めますか
- 困ったときに相談できる人や窓口はありますか
聞きにくいと感じるかもしれませんが、どれも仕事の進め方の質問です。答え方が具体的かどうかも、判断の材料になります。入社前に確かめることの全体は40代の転職で失敗しないためににまとめています。
求人票で、人間関係の良い会社は見分けられる?
求人票だけで見分ける方法は、採用の現場でも「分からない」というのが正直な答えです。この記事でも、見分け方は作りません。
見分ける手がかりは、上の質問への答えと、面接で会う人の話し方です。自分ひとりで判断がつかないときは、あなたの話し方や経験を知った人と一緒に考えると、条件だけで選ぶのを避けられます。
辞める前に、今の職場でできることは?
まず、会社と話してみることです。そのうえで、変わる見込みがなければ、在職中に次を探し始めます。
会社と話せば、残れる?
辞めたいと言いながら残った人は、会社の人としっかり話していました。不満を伝え、異動や担当替えで変わるかを確かめてから決めても遅くはありません。
判断の目安は、本当に良くなるなら残る、3年後にまた辞めたくなりそうなら辞める、です。辞めると決めたあとの伝え方は退職の伝え方を読んでください。
心がしんどくて、考えがまとまらないときは?
先に公的な窓口で話を聞いてもらってください。厚生労働省の「総合労働相談コーナー」は、職場のトラブルの相談を予約不要・無料で受けています。「こころの耳」では、働く人のメンタルヘルスの相談先(電話・SNS・メール)を案内しています。
転職の判断は、少し落ち着いてからでも間に合うはずです。40代で辞めたい気持ちそのものの整理は、40代で仕事を辞めたいと思ったらを読んでみてください。
次を決めずに辞めてもいい?
基本は在職中に動くほうが、落ち着いて選べます。収入が途切れない分、次の会社を辞めた理由と照らして選ぶ時間を取れます。
ただし、心や体が限界なら、休むことを先にしてください。体調を崩してまで続ける必要はありません。
面接の前に、今週やることは?
次の5つを、上から順に進めてください。
- つらかった場面を3つ書き出す:いつ、誰と、何があったか
- 中身を分ける:上の表のどの行に近いかを決める
- 自分で試したことを1つ書く:なければ、今週中に上司か人事に話してみる
- 次の会社で確かめる質問を2つ選ぶ:面接の最後に聞く
- 前の仕事でうまくいった場面を1つ選ぶ:お客様や同僚と信頼をつくれたこと
5つ目まで書けたら、面接で話す材料はそろっています。キャリアアップなど前向きな理由も混ぜて話したい人は転職理由「キャリアアップ」も参考にしてください。
まとめ
人間関係で辞めたことは、面接で隠さなくていい理由です。大切なのは、何がつらかったのかを仕組みの言葉に分けて話すことと、次の会社を辞めた理由と同じ物差しで選ぶことです。
話し方や大事にしたいことに合う仕事なら、同じことを繰り返さずに働けます。
一方で、55〜59歳になると、転職で賃金が減った人(36.6%)が増えた人(27.4%)を上回ります(令和6年 雇用動向調査)。我慢を続けて数年後に後悔しないよう、あなたに合う職場があるかだけは、今のうちに確かめておきましょう。
「転職理由 人間関係」が自分の場合どうなのか、話して確かめたい方へ
よくある質問
転職理由が人間関係だと、35歳以上は面接で不利になりますか?
人間関係が理由だから不利、ということはありません。厚生労働省「令和2年 転職者実態調査」では、自分から辞めた人の23.0%(全年齢)が人間関係を理由に挙げています。採用の現場で落ちる理由になるのは、本音を隠した話や、どこの会社にも言える話のほうです。
上司のパワハラで辞めました。面接でパワハラと言っていいですか?
事実として短く伝えるのはかまいません。ただ、相手を責める言葉を重ねると、聞き手は判断に困ります。「何が起きたか」を1文、「次はどんな環境で働きたいか」を2〜3文にして話しましょう。パワハラに当たるかの判断や相談は、厚生労働省の総合労働相談コーナー(予約不要・無料)でできます。
人間関係が理由のとき、履歴書の退職理由には何と書きますか?
自分から辞めたなら「一身上の都合により退職」で足ります。人間関係の中身は書類に書かず、面接で聞かれたときに話します。書類と面接で話が食い違わないよう、面接で話す内容を先に決めておきましょう。
前の職場を1〜2年で辞めています。人間関係が理由だと印象が悪いですか?
短い在籍で次に移る人は珍しくありません。令和2年 転職者実態調査では、転職した35〜39歳の28.2%が前の会社の在籍2年未満でした。在籍の長さより、なぜ合わなかったのかと、次はどう選んだのかを話せるかが見られます。
人間関係の良い会社は、求人票で見分けられますか?
求人票だけで見分ける方法は、採用の現場でも「分からない」というのが正直なところです。だからこそ、面接や面談の場で、配属先の人数や上司との関わり方、評価の決め方を自分から聞いて確かめます。
人間関係で辞めた人が、次の会社選びで失敗しやすいのはどこですか?
採用の現場で見てきたのは、人間関係がつらくて辞めたのに、次の会社を給料や休みなどの条件で探してしまうことです。辞めた理由と選ぶ基準がずれていると、同じ理由でまた辞めることにもなります。
- 給料が上がらず、このままでいいか迷っている方
- 未経験の仕事に移りたいが、35歳以降で大丈夫か不安な方
- 転職エージェントで紹介できる求人がないと言われた方
人材紹介の仕事に約5年携わり、人材紹介会社で事業部の責任者も務める。これまで数千人以上の求職者と面談。営業職への転職支援を得意とする。印象に残っているのは、営業未経験だった40代の方が転職し、3年目以降に年収2000万円を超えたこと(個人の実績で、全員が同じようになるわけではありません)。「年齢に関係なく、キャリアは変えることができる。」
プロフィール ›
執筆:35歳からの稼げる転職 編集部。採用の現場で見てきた実例と、公的な統計をもとに書いています。