ルート営業はきつい?やめとけと言われる3つの中身を本当と誤解に分け、40代から次に活かす強みを解説
ルート営業のきつさの中身は、既存のお客様の要望に合わせ続けること、毎日の単調さ、年収の伸び方の3つです。どれも本当の部分はありますが、身についた力もあり、39歳・46歳でルート営業から移り2年目に年収が200万円以上上がった人もいます。今の会社で給料の上がり幅が見えないなら、身についた力を整理して外の選択肢を確かめておきましょう。
担当の得意先を毎日回り、夜や休みの日にも電話が鳴る。同じ道を同じ時間に走り、給料は年に少し上がるだけ。40歳前後でルート営業を続けていて、「このままでいいのか」と調べると「きつい」「やめとけ」という言葉が並びます。
この記事では、ルート営業のきつさを3つの中身に分け、それぞれどこまで本当かを確かめます。そのうえで、毎日の仕事で身についた力を、次の仕事でどう話せるかまで整理しました。数字は厚生労働省の統計、現場の話は採用の現場で見てきたことだけを使っています。
先にお断りすると、ルート営業だけの平均年収や離職率は扱いません。国の統計に「ルート営業」という区分がないためです。1日のスケジュールや、働きやすい会社を求人票で見分ける方法も、確かめられる材料がないので書きません。
ルート営業のきつさは、何から来ている?
きつさの中身は、既存のお客様の要望に合わせ続けること、毎日の単調さ、年収の伸び方の3つです。どれも本当の部分はありますが、「何も身についていない」「年収はもう上がらない」と決めつけるのは言いすぎです。
実際、39歳と46歳でルート営業から移り、2年目に年収が200万円以上上がった人もいます(4つ目の章で紹介します)。
きつさの中身は、どの3つ?
上位の記事で挙がる理由のうち、主なものを3つに分けると次のとおりです。
- お客様の要望への対応: 急な注文、休日の連絡、値引きの相談に応え続ける
- 毎日の単調さ: 同じ得意先を同じ順番で回り、成長している実感が持ちにくい
- 年収の伸び方: 頑張りが給料に出にくく、年に少しずつしか上がらない
「ノルマがある」「接待がある」という声もありますが、これは会社によって大きく違います。営業全体のノルマの話は「「営業はやめとけ」は本当?」で判定しました。
新しいお客様を探す営業と比べて、何がきつい?
一般に、新規開拓の営業は断られる場面が多い仕事だと言われます。ルート営業は取引のある相手を回るので、知らない相手に一から声をかける場面が少なく、その点の気持ちの負担は小さいと感じる人もいます。
その反対に、きつさの元になるのは相手がずっと同じであることです。断りにくい関係が続き、変化の少ない毎日が続く。
きつさの向きが違うので、「ルート営業は楽」と言われても本人には当てはまらないことがあります。法人向けの新規開拓のきつさは「法人営業はきつい?」にまとめています。
お客様の急な要望に応え続けるのは、どれくらいきつい?
担当先が決まっている以上、相手の都合に合わせる場面が出てくるのは本当です。ただ、言われたことに応えてきた時間は、そのまま「信頼を保つ力」の記録でもあります。
休日や夜の連絡に、ずっと応えないといけない?
どこまで応えるかは、会社の決まりと担当の数しだいです。つらさが時間の長さなのか、頼まれごとの中身なのかを分けて考えると、次に何を変えればいいかが見えてきます。時間の長さが問題なら、転職の面接で働く時間や連絡の決まりを確かめることになります。
断れない関係がつらいときは、どうすればいい?
まず社内の上司や同僚に、担当の量や対応の線引きを相談してください。「辞めたい」と言っていたのに残った人は、会社の人としっかり話していることが多いそうです。話しても変わらないなら、そのときに外を考えても遅くはありません。
この経験は、次の仕事で何に変わる?
急な依頼を受けて社内の配送や在庫を調整した経験は、「社内外をつないで約束を守る力」として話せます。相手の機嫌ではなく、相手の困りごとに先回りした場面を思い出してみてください。
同じ得意先を回る毎日で、力はついていない?
仕事の形が繰り返しなのは本当です。ただ、単調に見える毎日の中で、得意先の変化に気づく力と、限られた時間で回る段取りの力は積み上がっています。
成長していないと感じるのは、なぜ?
新しい契約を取る場面が少ないと、成果が目に見えにくくなります。売上の数字が前年並みでも、取引が切れなかったこと自体は成果です。ただ、それを自分で言葉にしておかないと、転職のときに「何をしてきた人か」が伝わりません。
単調な毎日で、何が身についている?
たとえば次のようなものです。
- 何十社もの担当先の担当者、注文の癖、困りごとを覚えておく力
- 道順と時間を組み立て、決まった日数で全件を回り切る段取り
- 小さな変化(注文が減った、担当者が替わった)に気づいて手を打つ力
- クレームや欠品のときに、相手との関係を切らさず収める力
35歳以上の転職で評価されるのは、これまでの社会人経験と信頼しやすさです。担当先と長く付き合ってきた経験で、その「信頼しやすさ」を具体的に示せます。
ルート営業から動いて、年収が上がった人はいる?
います。次の2人は、採用の現場で見てきた、ルート営業から転職した方です。
年収430万円 → 2年目に680万円。
年収500万円 → 2年目に700万円。
※採用の現場で見てきた例です。年収は目安で、上がるまでの年数は人によって違います。個人の実績であり、全員が同じようになるわけではありません。
1年目から年収は上がる?
上がるとは限りません。監修者によると、35歳前後で転職した人は、固定給が決まっている状態で移ると、1年目は下がることが多いものの、インセンティブで上がる人は多いそうです。移ってすぐ固定給で上がる形になるのは、ルート営業から同じ職種へ移る場合です。
40代・50代でも、ルート営業の経験で動ける?
動けます。46歳の方の例のように、40代でルート営業から移った人もいます。50代では、決まる人に営業経験がある人が多いのが特徴です。次の方も、50歳でルート営業から転職しました。
年収520万円 → 2年目に650万円。
※年収は目安で、個人の実績です。
年齢別の年収の変わり方は「50代の転職で年収はどうなる?」にまとめました。
ルート営業はキャリアの幅が狭くなる?
狭くなるとは言い切れません。法人営業やルート営業から移った人の移り先の営業には、特に決まった傾向がなく、人によって違います。上の39歳・46歳・50歳の3人も、ルート営業から別の会社へ移って年収を上げました。50代で決まる人に営業経験がある人が多いことを考えると、ルート営業の年数は次を選ぶときの材料になります。
ルート営業の年収は、国の統計でどう見える?
ルート営業だけの年収の統計はありません。営業の区分ごとの数字と、毎年の賃上げの数字から、伸び方の手がかりを見ていきます。
国の統計に「ルート営業」という区分はある?
ありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、営業の区分は5つです。そのうち「その他の営業」には、食料品販売外交員・化学品営業部員・医薬品販売外交員・印刷外交員などが入ります。
| 区分 | 年収(計算) | 月の残業 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 金融営業 | 約674.4万円 | 18時間 | 営業の区分 |
| その他の営業 | 約660.7万円 | 10時間 | 食料品・化学品・医薬品・印刷などの外交員を含む |
| 機械器具・通信・システム営業 | 約659.4万円 | 13時間 | 営業の区分 |
| 車の営業 | 約585.7万円 | 15時間 | 営業の区分 |
| 保険営業 | 約540.6万円 | 1時間 | 営業の区分 |
| 清涼飲料ルートセールス(job tag) | 406.5万円 | 表示なし | 職業分類は「ルート配送員」 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表(男女計・企業規模10人以上。年収はきまって支給する給与×12+賞与で計算)。清涼飲料ルートセールスは厚生労働省 job tag の表示(令和7年賃金構造基本統計調査を加工。ルート配送員等の分類に対応する数字)
どの営業区分に入るかは扱う商品で決まり、ルート営業かどうかでは分けていません。配達を兼ねる仕事は、表の最後の行のように配送員の側に入る例があります。
会社の賃上げは、毎年どれくらい?
厚生労働省の調査では、2025年の1人平均賃金の改定率は4.4%でした(月13,601円)。月の賃金の改定率で、年収ではありません。会社が大きいほど率は高く、100〜299人の会社では3.6%です。この調査は100人以上の会社だけが対象で、99人以下の会社は含みません。
今の会社の昇給は、何で決まっている?
同じ調査では、定期昇給の制度がある企業は81.2%でした。その中身は、勤続などで決まった額が上がる形が27.5%、業績評価などそれ以外が72.4%です(複数回答)。「頑張っても給料に出ない」と感じるなら、自分の会社の昇給が何で決まるのかを、就業規則や上司への質問で確かめてみてください。給料が上がらない仕組みそのものは「給料が上がらないのはなぜ?」で詳しく扱っています。
ルート営業で身についた力は、面接でどう話す?
「決まったお客様を回っていました」だけでは、中身が伝わりません。きつさの裏で身についた力を、次の表のように言い換えて話します。
きつかったことは、どんな力として話せる?
| きつかったこと | 実際にやっていたこと | 面接で話せる力 |
|---|---|---|
| 急な依頼・休日の連絡 | 社内の在庫や配送を調整して約束を守った | 社内外を動かして約束を守る力 |
| 断れない値引きの相談 | 条件を社内に持ち帰り、取引を続けてもらえる形を探した | 関係を切らさず条件を詰める力 |
| 毎日同じ得意先を回る | 担当先ごとの注文の変化を覚え、先に提案した | 小さな変化に気づいて動く力 |
| 決まった日数で全件を回る | 道順と時間を組み立て、抜けなく回り切った | 段取りを組んで続ける力 |
| 給料が上がらない | 前年並みでも取引を切らさなかった | 長く信頼され続けた実績 |
※編集部の整理です。
職務経歴書には、何を書けばいい?
担当していた社数、地域、扱った商品、何年担当したかを、まず数字で書きます。そのうえで、取引が増えた・続いた場面を1つか2つ、具体的なエピソードで足してください。薄い職務経歴書を厚くする方法を監修者に聞いたときの答えも、具体的なエピソードを足すこと、でした。年齢を重ねているのに中身が薄いと、それだけでマイナスに見えることがあります。
「経験をどう活かすか」と聞かれたら?
監修者がすすめるのは「抽象化して、具体に落とす」答え方で、たとえば「長く信頼されるために、相手の変化に先回りしてきました(抽象)。御社でも、担当のお客様ごとに注文の変化を毎月確かめて先に提案することを続けます(具体)」という順番で話します。転職理由の言い方は「転職理由の例文はどう作る?」にルート営業の例文があります。
新しいお客様を探す営業に移ると、何がきつい?
監修者の話では、未経験から営業に移った35歳以上が最初につまずくのは、成果が出るまで耐えられるかどうかです。辞めてしまう人は「成果が出ないことを怖がりすぎている」。移り先は人によって違いますが、最初の3か月は、知識を学ぶことと先輩から吸収することに集中してください。
続けるか動くか、どう決める?
決め手は、今の会社でこの先、給料の上がり幅があるかどうかです。監修者は、上がり幅がない人は「動いた方がいい」と話しています。
続けた方がいいのは、どんな人?
すでに十分な年収があり、なんとなく辞めたいだけの人は、無理に移る必要はありません。また、つらさの原因が担当の量や社内の決まりなら、社内で話して変わることもあります。
動いた方がいいのは、どんな人?
会社の昇給の決まり方を確かめても、5年後の給料が今とほとんど変わらない人です。転職は5年単位で考えると、給料の合計が大きく上がるケースは十分にあります。
「給料を上げるから」と引き止められたら?
退職を伝えたときに揉めやすいのが、この引き止めです。本当に良くなるなら残る。3年後にまた辞めたくなるなら辞める。
「それで数年やってみて…」と思うだけなら、辞めた方が良いかもしれません。伝え方は「退職の伝え方は?」を参考にしてください。
次の会社は、何で選べばいい?
先に、ルート営業のきつさのどれから離れたいのかを決めてください。相手に合わせ続けることか、単調さか、昇給の仕組みか。監修者は、選び方に気をつけないと同じ理由で辞めることになることも多い、と話しています。
人間関係で辞めた人でも、結局は給料や休みの条件で探してしまうことがあります。昇給が理由なら給料の決まり方を、単調さが理由なら仕事の中身を、相手に合わせ続けることが理由なら担当の持ち方を、条件より先に確かめましょう。
動く前に、何を確かめればいい?
次の5つを、在職中のうちに確かめておきます。
- 今の会社の昇給は、勤続で上がるのか、評価で上がるのか
- 5年後に同じ仕事を続けたときの年収の見込み
- 担当社数・年数・扱った商品を、職務経歴書に数字で書けるか
- 取引が続いた・増えた場面を、2つエピソードで話せるか
- 家族に、動きたい理由と1年目に年収が下がる可能性を話したか
家族の反対を越えられた人に共通していたのは、動く前から話しておいたことです。辞めてから探すより、在職中に動く方が基本です。
まとめ
ルート営業のきつさを分けると、お客様の要望への対応、単調さ、年収の伸び方の3つになります。どれにも当てはまる面はありますが、毎日の中で「信頼を保つ力」「変化に気づく力」「段取りを組んで続ける力」は積み上がっています。
年齢を重ねるごとに動きにくくなるのは事実です。動かなかったことを後悔している人の言葉は「あの時やっていれば、これくらいの年収になっていたのかもしれない」。
辞めるかどうかを今決める必要はありません。後悔しないように、自分の経験を活かせる先があるかだけは、在職中の今のうちに確かめておきましょう。経験と合う仕事を選べば、ルート営業で積んだ年数はそのまま強みになります。
「ルート営業」が自分の場合どうなのか、話して確かめたい方へ
よくある質問
ルート営業はなぜきつい・やめとけと言われますか?
よく挙がるのは、既存のお客様の急な依頼や休日の連絡に応え続けること、毎日同じ得意先を回る単調さ、成果が給料に出にくく年収が伸びにくいことの3つです。どれも本当の部分はありますが、会社や担当によって重さが違います。
ルート営業は楽だと聞きましたが、本当ですか?
新しいお客様を一から探す場面が少ない点では、気持ちの負担が小さいと感じる人もいます。一方で、相手が決まっているぶん頼まれごとを断りにくく、同じ毎日に成長を感じにくいというきつさがあります。楽かどうかは、担当の数や会社の評価の仕方で変わります。
ルート営業の平均年収はいくらですか?
国の賃金統計(賃金構造基本統計調査)には「ルート営業」という区分がありません。営業の区分ごとの年収(令和7年・計算値)は、車の営業約585.7万円、機械器具・通信・システム営業約659.4万円、金融営業約674.4万円、その他の営業約660.7万円、保険営業約540.6万円です。配達を兼ねる「清涼飲料ルートセールス」は、job tagではルート配送員の区分に入り、年収406.5万円と表示されています。
ルート営業から転職すると年収は上がりますか?
上がった人はいます。採用の現場で見てきた例では、39歳の方が年収430万円から2年目に680万円、46歳の方が500万円から2年目に700万円になりました。ただし個人の実績です。35歳前後で転職した人の場合、固定給が決まっている状態で移ると1年目は下がることが多く、インセンティブで上がる人が多いそうです。
ルート営業の経験は、転職の面接でどう伝えればいいですか?
「決まったお客様を回っていました」だけでは中身が伝わりません。担当していた社数や年数を添えたうえで、お客様の変化に気づいて動いた場面、取引を続けてもらえた理由を、具体的なエピソードで話します。経験をどう活かすかは「抽象化して、具体に落とす」と答えるのがコツです。
ルート営業を辞めるか続けるか、どう決めればいいですか?
今の会社でこれから給料の上がり幅がないなら、動いた方がいいと監修者は言います。反対に、すでに十分な年収があり、なんとなく辞めたいだけなら無理に移る必要はありません。辞める前に在職中のまま外の選択肢を確かめ、家族には早めに相談しておきましょう。
- 給料が上がらず、このままでいいか迷っている方
- 未経験の仕事に移りたいが、35歳以降で大丈夫か不安な方
- 転職エージェントで紹介できる求人がないと言われた方
人材紹介の仕事に約5年携わり、人材紹介会社で事業部の責任者も務める。これまで数千人以上の求職者と面談。営業職への転職支援を得意とする。印象に残っているのは、営業未経験だった40代の方が転職し、3年目以降に年収2000万円を超えたこと(個人の実績で、全員が同じようになるわけではありません)。「年齢に関係なく、キャリアは変えることができる。」
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執筆:35歳からの稼げる転職 編集部。採用の現場で見てきた実例と、公的な統計をもとに書いています。