資格なし・経歴に自信がない35歳以上の転職|年収は上がる?会社が本当に見ているものを国の調査で確かめる
資格や経歴に自信がなくても、35歳から年収を上げる転職はできます。厚生労働省の調査で、会社が転職者の給料を決めるときに最も重視したのは「これまでの経験・能力・知識」53.7%で、「免許・資格」は10.7%、「学歴」は0.6%でした。立派な職歴でなくても、今の仕事で工夫してきたことを言葉にできれば、それが評価の材料になります。
資格欄に書けるのは運転免許だけ。職務経歴書に書けるような肩書きも、人に言える実績もない。35歳を過ぎて、そんな自分が応募しても書類で落とされるだけではないか。そう考えて、求人サイトを開いては閉じていませんか。
この記事では、その「自信がない」の中身を、資格・学歴・職歴の種類ごとに分けて確かめます。使うのは、会社が転職者の給料を何で決めたかを聞いた厚生労働省の調査と、採用の現場で見てきた実例です。おすすめの転職サービスのランキング、資格ごとの難易度、具体的な会社名や求人は扱いません。
資格なし・経歴に自信がなくても、35歳から年収は上げられる?
上げられます。会社が転職者の給料を決めるときに最も重視したのは「これまでの経験・能力・知識」53.7%で、資格は10.7%でした。35〜49歳で転職した人の4割以上は、前の会社より賃金が増えています。
35〜49歳で転職した人の賃金は、実際どう変わった?
厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査」で、転職した人の賃金が前の会社と比べてどう変わったかを見ると、次のとおりです。
| 年齢 | 増えた | うち1割以上増えた | 減った |
|---|---|---|---|
| 35〜39歳 | 45.5% | 35.3% | 24.3% |
| 40〜44歳 | 45.9% | 33.2% | 29.0% |
| 45〜49歳 | 46.4% | 29.1% | 23.8% |
出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」表6 転職入職者の賃金変動。前の職場で雇われて働いていて、調査時点で転職先に勤めている人の数字です。
どの年齢でも、増えた人が減った人を上回っています。35〜39歳では、3人に1人以上が1割以上増えました。この調査は資格の有無で分けた数字ではありませんが、35歳を過ぎたら年収が下がるしかない、という見方とは合いません。
資格がないと、応募すらできない?
年齢で応募を断ることは、法律で原則禁止されています。ハローワークの案内では、平成19年10月から募集・採用での年齢制限が禁止され、例外に当てはまる場合を除いて「不問にしなければなりません」とされています。
資格やスキルが足りないことで仕事につけない人も、多数派ではありません。総務省の「労働力調査」2025年平均では、35〜44歳の失業者32万人のうち「自分の技術や技能が求人要件に満たない」を理由に挙げた人は3万人でした。45〜54歳では35万人のうち2万人です。
中途採用で、会社は資格と経歴のどちらを見ている?
会社が一番見ているのは、資格より「これまで何をしてきたか」です。厚生労働省は、転職者を採った事業所に、給料や役職を決めるときに考えた要素を聞いています。
資格は、どのくらい評価に関係する?
資格を考えに入れた事業所は37.3%で、3社に1社ほどです。ただ「最も重視した要素」を1つだけ選んでもらうと、資格は10.7%に下がります。最も多いのは「これまでの経験・能力・知識」の53.7%でした。
資格がまったく関係ないわけではありません。仕事によっては、資格がないと任せられない業務もあります。ただ、資格がないだけで評価の対象から外れるわけではない、というのがこの数字の読み方です。
学歴に自信がないと、不利になる?
学歴を考えに入れた事業所は11.0%、最も重視したのは0.6%でした。年齢(最も重視11.9%)や前職の賃金(同6.8%)より低い数字です。高卒や中卒であることを理由に、最初から転職をあきらめる必要はありません。
「経験・能力・知識」は、立派な職歴のこと?
肩書きや有名な会社の名前のことではありません。採用の現場で35歳以上が評価されているのは、これまでの社会人経験と、お客さんから見た信頼しやすさです。若い人だと不安に思われる営業もあります。
接客の仕事を何年も続けてきたなら、それも経験です。パチンコ店・ホテル・エステなどで身につけたホスピタリティは、営業で信頼をつくるときに大事になります。
あなたの「自信がない」は、どのタイプ?
ひとことで「経歴に自信がない」と言っても、中身は人によって違います。タイプごとに、分かっている事実と最初にやることを分けました。
| 自信がない中身 | 分かっていること | 最初にやること |
|---|---|---|
| 資格がない | 給料を決めるとき資格を最も重視した事業所は10.7%(転職者実態調査) | 応募したい仕事に必須の資格があるかだけ、求人票で確かめる |
| 学歴に自信がない | 学歴を最も重視した事業所は0.6%(同) | 学歴欄より、仕事で工夫したことを書く時間を取る |
| 同じ仕事しかしていない・役職がない | 35歳以上は社会人経験と信頼しやすさが評価される(採用の現場) | 今の仕事で工夫したことを1つ、場面ごと書き出す |
| 転職回数が多い | 4社経験から年収を上げた人がいる(採用の現場の実例) | 1社ごとに「何を工夫したか」を1〜2行で書く |
| 正社員の経験が少ない・空白がある | 35歳前後でフリーターから決まった人は多い。大事なのは前向きさ(採用の現場) | 公的な専門窓口も候補に入れ、応募書類の相談先を決める |
※国の調査と、採用の現場で聞いてきた言葉をもとに、編集部で整理したものです。
転職回数が多いと、それだけで落とされる?
回数だけで決まるわけではありません。職務経歴書で大事なのは、それぞれの会社で工夫したことの中身が伝わるように書くことです。短い在籍でも、何を任され、何を変えたかが書いてあれば、読む側は「次の会社でも動いてくれそうか」を判断できます。回数の悩みをもっと詳しく知りたい方は「転職回数が多いと不利?」も参考にしてください。
正社員の経験が少ない・空白期間があるときは?
35歳前後でフリーターや無職から転職が決まった人は、採用の現場ではいくらでもいます。空白の長さは人それぞれで、見られているのは前向きさがちゃんとあるかどうかです。ただし40〜50代で2年ほど空くと、厳しくなることも多くなります。
公的な支援もあります。ハローワークの「中高年層(ミドルシニア)専門窓口」は、概ね35〜59歳で正社員を希望し、安定した就労経験が少ない人が対象です。応募書類の作成支援や模擬面接があり、令和7年度中に21,034人がこの窓口を使って正社員で就職しています。空白期間の不安は「35歳・無職からの転職」でも詳しく扱っています。
ずっと同じ仕事で、人に言える実績がないときは?
実績は、売上の数字や表彰だけではありません。「新人に教える順番を変えたら、早く独り立ちするようになった」「常連さんの好みを覚えて、指名が増えた」といった場面も、職務経歴書に書ける材料です。面接で詰まりやすい「これまでの経験をどう活かすか」には、経験を抽象化して、応募先の仕事に具体的に落として答えます。
資格や目立つ経歴がなくても、年収を上げた人はいる?
います。採用の現場で見てきた、35歳以上で転職して年収を上げた方の例です。前職と年収の記録で、資格の有無は記録していません。
年収250万円 → 3年目に500万円。
年収300万円 → 2年目に520万円。
年収400万円 → 営業に移り、数年後に700万〜1000万円の幅に(同じ時期に移った3人の幅)。
年収380万円 → 3年目に580万円。
年収300万円 → 2年目に520万円。
※採用の現場で見てきた例です。年収は目安で、転職後の年数は人によって違います。個人の実績であり、全員が同じようになるわけではありません。
実例の「2年目」「3年目」は、どう考えればいい?
実例の「数年後」は、2〜3年のことです。転職は1年ごとの年収ではなく、5年ほどの給料の合計で比べると判断しやすくなります。採用の現場の実感では、転職して2年目なら年収500万円を超えている人がほとんどです。
未経験の仕事に移ったら、1年目の年収は下がる?
固定給がはっきり決まった形で入ると、35歳前後でも1年目は下がることが多いです。一方で、インセンティブ(成果に応じて上乗せされる給料)で上がる人も多くいます。固定給のまま確定して上がりやすいのは、同じ職種に移るときです。
最初の年が苦しくなりそうなら、家族には早めに相談しておきましょう。家族を説得できた人がやっていたのは、決めてから伝えるのではなく、早めに話しておくことでした。
資格は、転職の前に取った方がいい?
応募する仕事に必須でなければ、先に取る必要はありません。転職した人の多くは、資格を取ってから動いてはいません。
転職した人は、どのくらい資格を取ってから動いている?
厚生労働省「令和2年 転職者実態調査」で、転職前に準備活動をした人は30.9%(35〜39歳32.5%、40〜44歳33.9%)でした。準備をした人のうち「今の会社で役立つ資格・免許を取得」は13.9%です。最も多かったのは「産業・職業に関する情報等の収集」の42.9%でした。
| 準備活動の内容(準備をした人=100・複数回答) | 全年齢 | 40〜44歳 |
|---|---|---|
| 産業・職業に関する情報等の収集 | 42.9% | 37.6% |
| 今の会社で役立つ資格・免許を取得 | 13.9% | 14.7% |
| 通信教育等で勉強 | 10.3% | 14.8% |
| 学校等に通った | 9.8% | 12.9% |
出典:厚生労働省「令和2年 転職者実態調査の概況」個人調査 表18 転職準備活動の内容。準備活動をしなかった人(全年齢66.1%)は含みません。
入ってから取ればいい資格もある?
あります。たとえば不動産の営業には宅地建物取引士という資格が関わります。それでも厚生労働省の職業情報サイト「job tag」の「住宅・不動産営業」では、入職に学歴・資格は必須ではないという説明です。求められているのは、従事者5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置くこと(同じページの説明)で、全員が持っていなければ働けない仕組みではありません。
不動産営業の年収は「不動産営業の年収」にまとめました。
資格の勉強より先に、準備した方がいいことは?
転職理由です。採用の現場では、選考の結果を分けるのは経歴や資格より転職理由のほうでした。企業は転職理由を通して「この人はうちで活躍してくれるか」を確かめています。資格は今からでも取れますが、なぜ移りたいのかを自分の言葉にする準備は、資格の勉強より先にできます。
経歴に自信がない人は、書類と面接で何を伝える?
伝えるのは、肩書きではなく「何のために移り、前の仕事で何を工夫してきたか」です。面接全体の答え方は「35歳以上の面接で落ちるのはなぜ?」で詳しく扱っているので、ここでは経歴に自信がない人がつまずきやすい点にしぼります。
転職理由は、どう言えば伝わる?
選考に通った人の言い方には「家族のために選択肢を増やしたい」「成長したい」「稼ぎたい」がありました。給料を上げたいという本音は、隠さずに言って構いません。
落ちやすいのは「楽をして給料を上げたい」「なんか飽きた」、どこの会社にも言える理由、本音を隠した理由、「大手だから」です。最初は「大手に行きたい」と言っていた人が、整理すると「選択肢を増やして、この後安定したい」が本音だったこともあります。言い方の例は「転職理由はどう伝える?」にあります。
書ける実績がない職務経歴書は、どう厚くする?
35歳を過ぎると、職務経歴書の中身の厚さを見られます。厚くする方法は、具体的なエピソードを足すことです。売上の数字がなくても、「どんな場面で」「何を変えて」「どうなったか」の3つがそろえば1つのエピソードになります。
「何もない」と思っている前職の経験は、何に活きる?
接客・サービスの経験は、営業に移ったときに活きる部分と、苦労しやすい部分がはっきりしています。採用の現場で聞いてきた話を前職ごとにまとめました。
| 前職 | 営業で活きること | 最初に苦労しやすいこと |
|---|---|---|
| 接客・サービス業全般 | 第一印象の良さ | 契約を取ること、新しい知識を覚えること |
| パチンコ店・ホテル・エステ | ホスピタリティ(信頼をつくる場面で大事) | 契約を取ること |
| 飲食・アパレル | 第一印象の良さ | 営業のやり方と接客の違いに迷う |
※面談で聞いてきた言葉をもとに、編集部で整理したものです。
接客と営業の違いに迷ったら、最初の3か月は知識を学ぶことと、先輩から吸収することに集中します。成果が出るまでの期間は、早いところで3か月ほどですが、職種によってかなり左右されます。
経歴より大事なものは?向いていない人もいる?
一番大事なのは、頑張りたい気持ちがあることです。残業がまったくできないなど物理的に難しい事情がなければ、経歴の弱さより、前向きな気持ちのほうが次につながります。
経歴に自信がなくても、営業は務まる?
数字を追うのが苦手でも、やっていけないわけではありません。数字の追い方は会社によって違うので、合うところを選ぶ余地があります。この記事を監修している渡辺も、自分が営業に向いているのかを悩んだ時期があり、とにかくPDCAを回して乗り越えてきた一人です。向き・不向きの見方は「営業に向いている人・向いていない人」にまとめています。
向いていないのは、どんな人?
人と関わるのが嫌な人、家で仕事をしたい人、ゆったり働きたい人は、営業には向いていません。子育て中で本当に残業が難しい人も、やめておいた方がいいでしょう。調整がつけられるなら、面接で「残業は平気か」と聞かれたら、調整できることを伝えます。
給料や休みの条件だけで次の会社を選ぶと、どうなる?
選び方に気をつけないと、同じ理由でまた辞めることになりがちです。採用の現場では、合わなくて辞めた人が、次も条件で選んで合わない会社に入ってしまう例を見てきました。次の会社が合うかどうかは、給料の額より、あなたの話し方や志向性、これまでの経験と照らして判断してください。
経歴に自信がない人が、今週やることは?
全部を一度にやる必要はありません。上から順に、できるところまで進めてください。
- 応募したい仕事に、必須の資格があるかだけ確かめる:求人票の「必須」の欄を見ます。なければ、資格の勉強は後回しで構いません
- 自分の「自信がない」がどのタイプか決める:上の表の5つから選び、その行の「最初にやること」を1つ実行します
- 前の仕事で工夫した場面を3つ書き出す:「どんな場面で」「何を変えて」「どうなったか」をメモに残します
- 本音の転職理由を一文にする:「稼ぎたい」「家族のために選択肢を増やしたい」で構いません。そのあと、応募先でなければいけない理由を一言足します
- 家族に、転職を考えていることを先に話す:決めてからではなく、考え始めた段階で伝えます
- 自分に合う仕事があるかを、人に聞いてみる:一人で考えると「経歴がないから無理」という思い込みで選択肢を狭めがちです
まとめ
国の調査では、会社が転職者の給料を決めるときに最も重視したのは「これまでの経験・能力・知識」で、資格や学歴を最も重視した会社は少数でした。資格や肩書きがなくても、今の仕事で工夫してきたことを言葉にできれば、それが評価の材料になります。実際に、フリーターや倉庫作業、農業から移って年収を上げた人がいます。
一方で、新しい仕事への挑戦が年齢を重ねるほど難しくなるのも事実です。挑戦を見送った人が、何年かたって「あの時やっていれば、これくらいの年収になっていたのかもしれない」と口にする場面も、採用の現場で見てきました。経歴の強さより、あなたの話し方や志向性に合う仕事を選べば大丈夫です。後で悔やまないように、選択肢があるかどうかだけは、今のうちに確かめておきませんか。
「資格なし 経歴 自信がない」が自分の場合どうなのか、話して確かめたい方へ
よくある質問
35歳で資格なし、職歴にも自信がありません。正社員に転職できますか?
できます。採用の現場では、35歳でフリーターから転職し、年収250万円から3年目に500万円になった方がいました(年収は目安で、個人の実績です)。正社員の経験が少ない方は、ハローワークの「中高年層(ミドルシニア)専門窓口」も使えます。対象は概ね35〜59歳で正社員を希望し、安定した就労経験が少ない方です。
40代・資格なしで転職すると、年収は下がりますか?
下がる人も上がる人もいます。厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」では、転職で賃金が増えた人は40〜44歳で45.9%、減った人は29.0%でした。固定給が決まった形で別の職種に移ると、1年目は下がることがあります。一方で、インセンティブ(成果に応じた給料)で上げる人もいます。
転職する前に資格を取った方がいいですか?
取ってから動く人は多くありません。厚生労働省「令和2年 転職者実態調査」では、転職前に準備活動をした人は30.9%で、そのうち「今の会社で役立つ資格・免許を取得」は13.9%でした。応募する仕事に必須の資格でなければ、先に転職理由と、前の仕事で工夫したことを整理するほうが選考の準備になります。
高卒で学歴に自信がありません。転職で不利になりますか?
学歴だけで決まる場面は多くありません。厚生労働省の調査で、転職者の給料や役職を決めるときに学歴を考えた事業所は11.0%、最も重視した要素として学歴を挙げた事業所は0.6%でした。最も重視されたのは「これまでの経験・能力・知識」で53.7%です。
転職回数が多く、経歴に一貫性がありません。何を書けばいいですか?
1社ずつ、何を工夫したかの中身が伝わるように書きます。採用の現場では、4社を経験した38歳の方が飲食店から営業に移り、数年後に年収700万〜1000万円の幅に入った例もあります(年収は目安で、個人の実績です)。
経歴に自信がない人が面接で一番気をつけることは?
転職理由を、その会社に向けた自分の言葉で話すことです。「楽をして給料を上げたい」「なんか飽きた」、どこの会社にも言える理由、「大手だから」は選考で落ちやすい言い方です。「家族のために選択肢を増やしたい」「稼ぎたい」のような本音は、そのまま伝えて構いません。
- 給料が上がらず、このままでいいか迷っている方
- 未経験の仕事に移りたいが、35歳以降で大丈夫か不安な方
- 転職エージェントで紹介できる求人がないと言われた方
人材紹介の仕事に約5年携わり、人材紹介会社で事業部の責任者も務める。これまで数千人以上の求職者と面談。営業職への転職支援を得意とする。印象に残っているのは、営業未経験だった40代の方が転職し、3年目以降に年収2000万円を超えたこと(個人の実績で、全員が同じようになるわけではありません)。「年齢に関係なく、キャリアは変えることができる。」
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執筆:35歳からの稼げる転職 編集部。採用の現場で見てきた実例と、公的な統計をもとに書いています。